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憑依小説 ”悪の魂” ③

憑依<”悪の魂”>
05 /22 2017
あるとき、親友に悪の魂について告げた

「--つまり、その人間の意識を乗っ取るということか」
親友はそう言った。

「違うな」
俺はそう修正した。

”悪の魂”に意思はない。
死した人間の魂はカラっぽだ。

そこに意識はない。

だから、悪の魂を入れられた人間は他の人間の意思に
乗っ取られているわけではない。

あくまでも本人の意思のまま、
その人間は”悪”に染まっていくのだ。

「……そうだな 例えるならこんな感じだ」

俺はグラスに注いだコーヒーの中に
カップミルクを入れた。

コーヒーは、ミルクと混ざり合い、
ちょっとだけ白くなった。


「……そう。
 善の人間という存在に、”悪”が注がれることによって、
 その人間は悪に染まっていくんだよー」

コーヒーにミルクを入れると、甘い味に変わっていくようにーーー

人に”悪”と言う名のミルクを入れると、人はいとも簡単に悪に染まっていくのだー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ジョーは見つめていた。
西原愛華の様子を。

いじめられっ子の黒滝に罵声を上げて以来、
彼女は変わっていった。

1日、1日、日が経つごとに
少しずつ、けれども確実に変わっていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

私は自分の財布の中身を確認した。
お札がたっぷり入っている。

親友の紗枝ちゃんが、
無防備に鞄に財布を入れたままにしていた。

誰も見ていないのを確認して、私は財布の中身を
全て抜き取った。


ーーーでも、誰も私を疑わなかった。

「なんだ、カンタンじゃん」

私はそう思った。

今までは罪悪感を感じてしまい、できなかった。
でも、今はできるー。

私は、悪い事だと思っていた。

でも、違う。
いつも私は学校行事から生徒会活動、
あの臆病者の黒滝のことまで、
何でもかんでも、面倒を見てきた。

なのに、みんなは私に「ありがとう」と言うだけ。


確かにうれしかった。
でも、今は違う。

少しぐらい、私がご褒美をもらうのは何も悪くない

紗枝は悲しんでいた。

「誰が盗んだんだろう?」とも。

私は「気を落とさないで」と笑顔で励ました。


カンタンだー。
私は優等生なのだから。

何をしても、何をしても、みんなにはばれない。

本当に馬鹿なヤツら!


私は一人、笑みを浮かべた。

そういえば、今日は昼休みに黒滝と会う約束がある。
行かなくちゃ。

ーーーー。

「また栗本さんたちに嫌がらせされちゃったよ…」

黒滝が言う。

「うん…大変だったね。。」
私はそう返事をした。


ちょっと前まで、私は親身にコイツの話を
聞いていた。
でも、今は馬鹿らしくなってしまった。
それどころか、凄くイライラする。
なよなよしやがって…。


「黒滝君にもさ、
 何か問題があるんじゃない?」
私は優しい笑顔を作ってそう言った

「えーーー。そ、それは…」

黒滝は黙り込んだ。

何よ!私が少し煽っただけで!

「---僕は、ただ…
 皆と仲良くできたらいいな…って」


「ふぅん…そっか!
 優しいんだね黒滝くんは」

私は心にもない言葉を口にした


ーーーいつからだっただろうか。

コイツがむかつくようになったのはーーー

先週からだっただろうか。


「うんーーーありがとう」

黒滝が満面の笑みで私を見た


その顔を見て、私の中の怒りが込み上げてきた。
理由は分からない

ウゼェ!ウゼェ!ウゼェ!

私の心がそう叫んでいる。


ダメーーーー
私は優等生なんだからーーー


「………また何かあったら言って」

私は話を切り上げて、
立ち去ろうとした。


「西原さんーーー
 実は僕ね…」

黒滝が私を呼び止めた

「西原さんの事、
 ずっと…その、、、、、
 気になって」

あ??

あぁああ?

告白されてんの?私?

こんなゴミみたいなやつに?


ウッッッッゼェェェェ!


「調子こいてんじゃねーよ!」

私の怒りが爆発した。


「え、ごめ…」

馬鹿がおびえている。

私は馬鹿の顔をビンタして、
続けて顔をわしづかみにして壁に叩きつけた

「ヒッ…」


「私がさ、大人しくしてりゃ、何なの?ねぇ…。
 いつもいつも お前もクラスの奴らも、
 私にばっか 面倒ごと押し付けてさぁ、
 何なの?

 私は貴方の召使い?しもべ?
 何?言ってみなさいよ!」

私はありったけの怒りをこめて言い放った。

むかつく!
本当にむかつく!


「…や、やめてよ…西原さん!何かあったの?」

馬鹿が私にそう言った。


「ちげーよ!」
私は黒滝を床にたたきつけた


「もういいわ、辞める。
 優等生やめる

 私ばっか損して!
 ばかばかしい!

 ふざけんな!」

そう言って、私は廊下に飛び出した。

どいつもこいつも、
ふざけんな!!

私はずっと、良い子だった。

皆が喜んでくれることがうれしかった。

でもーーー。


馬鹿じゃねーの!
やってられるかよ!



私は決めた。
もういい、一度きりの人生。
好きなだけ楽しんでやる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ジョーはそんな様子を見つめ、失笑した。

「彼女も……壊れたか…」

ジョーは目の前にあるグラスに入ったサイダーを見つめた。

サイダーにメロンシロップを入れる。


「……純粋で無垢な色ほど、
 別の色に染まりやすい…。

 彼女のような、真面目で、純粋な子には、
 悪の魂は荷が重すぎた…か」


彼女は自らの意思で、悪の道に堕ちてしまったのだ。

翌日から、彼女は不良生徒に成り下がった。
授業をさぼり、いじめっ子の栗本らをこき使うようになり、
幼馴染の黒滝を徹底的にいじめた。

そのうち、髪を染めだして、地元のワルと付き合うようになった。


あまりの豹変ぶりに西原愛華の周囲では
”彼女は悪魔に憑かれたー”とまで噂された。

「----悪魔…か。」

あながち間違えではないな、とジョーは一人笑った。



さて…と次は…

ジョーは次のターゲットに悪の魂をねじ込むことにした。

もう、西原愛華はダメだろう。
悪の魂に勝てる人間は、やはり居ないのだろうか?


新婚の、藤森 彩乃(ふじもり あやの)
次のターゲットだ。


「---今度こそ、人間の可能性を、見せてくれよ」

ジョーは次の”悪の魂”を手にそうささやいた。




第2部へ続く


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
コメント

悪の魂 第1部終了です。

自分で書いておいて言うのもアレですが、
このジョーと言う人は一体何なんでしょう(笑)

次は第2部。
また別の人間が悪の魂のターゲットになります。

次回更新からはいったん別の小説を書いて、
その後に悪の魂 第2部を書く予定なので、
またその時はよろしくお願いします!

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憑依小説 ”悪の魂” ②

憑依<”悪の魂”>
05 /21 2017
死んだ人間から”悪の部分だけ”を取り出すことができる能力。
最初は何の意味も無いと思っていた。

取り出した魂を彼は”悪の魂”と呼んだ。

ある日、その魂を生きている人間にねじ込むことができると
知った彼は、それからあらゆる人間に悪の魂をねじ込んだ。

するとどうだろう。

人々はみんな、悪の魂に浸食されていき、
悪の道へと堕ちて行った。

悪の魂を憑依させられた人間はみな、悪の道へと堕ちてゆくのだ。

だが、あくまでも魂だけだ。
意識を乗っ取られているわけではない。

悪の魂の持ち主、ジョーは待っていた。

悪の魂に侵されることなく、
自分の意思で悪の魂を打ち消すことのできる人間が現れるのをーー。

人は、そこまで弱いモノではないとーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

西原 愛華に今のところ変わった様子はない。

ジョーはそう思いながら彼女の様子を”観察”していた。

ジョーには自分の姿を消すことができる能力も備わっていた。
自分が何者かは分からない。
もはや、人間ではないのかもしれない。

だが、そんなことはどうでもいい。

あれから3日。
愛華はいつも通り、優しい笑みを浮かべ、
クラスメイトたちとのかかわりも、授業中も変わった様子が無い。

この娘はーー
ずっと自分が探し求めていた、
悪の魂に浸食されない人間なのかも知れない。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「また明日~!」

「バイバイ!」

紗枝ちゃんと別れた私はため息をついた

”今日も、何もしでかさなくて良かった”

「・・・どうしたんだろ、、私・・・」


学校ではいつも通り振る舞うようにしている。

でも、何だろう。。
日に日に、衝動が強くなる。

”無防備な財布など盗んでしまえ!”

”いじめられている幼馴染の黒滝くんなんて
 面倒なヤツ、見捨ててしまえ!”

”黒滝くんをいじめている栗本さんのグループ
 なんて脅して黙らせればいい”

そんな心の声が聴こえて来る。

「・・・・・・私、、今までそんな事考えたことも
 無かったのに・・・」

心の叫びが日に日に大きくなる。

今日の昼間も危なかった。
いじめの相談をしてくる黒滝くんと話していると
凄くイライラしてきた。


でも、、黒滝くんは何も悪くない。

私はいつも通りの笑顔を作って、
いつも通り、優しく微笑んで
彼の話を

”聞いてやった”


「----え?
 今、わたし・・・」

思わず口に出してしまう。

いつから”聞いてやった”などと偉そうなことを思える
人間になってしまったのかーーー

自分はーーー


私は家に帰ると、部屋に駆け込んだ


「・・・・・・何なの、、もう。。
 盗んだりとか、暴力とか、、、
 そんなの私は絶対にしないでしょ・・・」

自分で呟いた。


”盗め” ”殴れ” ”見捨てろ”


欲求が爆発しそうだ。

ふと、私なら何をしても疑われない・・・
そんな考えが頭を過った


しかし一瞬で我に返った。

違うでしょ!
ばれるばれないの問題じゃない!

私ったら何考えてるの!

”盗め”


「あーー!!うるさい!!」

私は大声で怒鳴った。

こんな声、、自分でも初めて聞いた・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「むっ・・・」

愛華が一人、自分の部屋で怒鳴ったのを見て
ジョーは何かを感じ取った。


「・・・やはり彼女も・・・。

 彼女の経歴は完璧だった。 
 小学校、中学校、高校。
 どこでも優等生として通っている。
 プライベートにも問題なし。

 その彼女でも、悪の魂には勝てないのか?」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

翌日。

「・・・僕、どうしたらいいのかな?」

昼休み。
黒滝くんがいつものように私に相談してきた。

「・・・・・・・・・」

「・・・?西原さん?どうしたの?」

黒滝くんが私の異変に気付いたのか
悩みの話を切り上げて、私のコトを訪ねてきた。

「・・・・・・え、な、何でもないの。
 気にしないで」

私は・・・
どうしたら・・・。

昨日よりもひどくなってる。
真面目にやってるのがバカらしく思えてきた。。

どうしてーーー?


「でも、西原さん、なんか今日顔色が・・・」


「-----うっさいわね!」

咄嗟に私はカチンときて怒鳴ってしまった。


「えっーーー」

黒滝くんがおびえた表情で後ろに1歩下がる。

私は今ーーー?

急速に私の中で罪悪感が芽生えてきた。

「--ーー・・・ご、、ごめん、、」

私は咄嗟に謝った。
でも、、黒滝くんは怯えている

「・・・ちょ、ちょっと疲れてるのかな私・・・
 ごめんね・・・・・・」

私は無理やり作り笑いを浮かべて足早に立ち去った。


「・・・何なの・・・私は・・・」

わけがわからないーーー
どうしてしまったのーーー?

ーーーーー。。

真面目にやってるのがバカみたい!
なんで私だけいつもいつも、
ニコニコしてなきゃいけないのよ!

今だってそう・・・。



愛華の心は確実に「悪」に浸食されていた。。


その様子を見てジョーはため息をつく。

「彼女もーーーダメだな・・・
 もう見込みはないだろう。

 次のターゲットに移るか・・・」

そう呟き、ジョーは99人目のターゲットに定めた

藤森 彩乃(ふじもり あやの)の写真を見た。

新婚の24歳。
良妻として近所からの評判も良い


「---だが、」

ジョーは今一度 落ち込んだ様子の愛華を見た。


彼は 人を悪の魂で狂わせることに罪悪感を感じてはいない。
だが、その行く末を最後まで見届けること。
これは、礼儀だと考えていた。


「西原愛華ー。
 まだ浸食され尽くしてはいない。

 もう少しだけ、見届けなくてはな」


③へ続く

憑依小説 ”悪の魂” ①

憑依<”悪の魂”>
05 /20 2017
俺の名はジョー。

仮名だ。
検死官として働いている。

本名?
そんなことはどうでもいい。

大事なのは俺がこれから話すことだ。

俺はある能力を持っている。
それは、死んだ人間から”悪の魂”を取り出すことのできる能力だ。

人間の悪い部分のみを取り出すことのできるこの能力。

最初は「意味のねー能力だな」そんな風に思っていた。
特に意味もなく、検死のついでに悪の魂を取り出し、
自宅でかざっていた。

だが、俺は死者から悪の魂を取り出しているうちに気付いた。

”取り出す”こともできれば”入れる”こともできるのだと。


それ以降、俺には密かな楽しみができた。

真面目な人間に、悪の魂を入れ込んだらどうなるのか?

俺は今までに100人近くの人間に死んだ人間から取り出した
悪の魂をねじ込んできた。

人の悪い心の部分だけを、他の人間に憑依させるのだ。
もちろん、死人の魂だから、そこに意思はない。
ただ、思念として残った”悪意”が入れられた人間を
蝕んでいくのだ。

反応は様々だった

控えめだった性格がねじ曲がり、暴力的になった女。
清楚なアイドルから体を売るアイドルに変貌した女。
優しい夫からDV夫に変化した男。
良い子で評判だった子に入れた時は突然ヤンキーになったりもした。


俺にはたまらなく楽しかった。

悪の魂が同化し、変わっていくサマが…。

人間とはこんなにも愚かなのだと。


今まで、俺が悪の魂をねじ込んだ人間は
誰一人として自分を保てなかった。

全員が、悪の道へと堕ちた。


「さてさて、今回はどうかなーー?」


俺は”98人目の獲物”を既に定めていた。


今回のターゲットは俺の近所の高校に通う子。

西原 愛華(にしはら あいか)。


彼女は、学年一の優等生で、
小さいころに父を亡くしているから、苦労したらしい。
それゆえ、真面目で、優しい性格に育ったのだとか。

そんな子に”悪の魂”をいれたら、どうなるんだろうな?
楽しみだぜ。

今回こそ、悪の魂を乗り越えられるのかーーー?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「……またいじめられたの?」

私は幼馴染の黒滝くんに話しかけた。

「うん…
 栗本さんたちが…」

”栗本さん”
この高校の陰険な女子グループのトップに立つ子で
かなり陰険な性格をしている。

「…そう、、大丈夫?」

黒滝くんは小学生時代からの幼馴染。
元々気弱な子だったものの、
最近は栗本さんらのターゲットにされて、
さらに元気をなくしてしまっている。

「…何かあったら私も力になるから…
 がんばろ?」

私がほほ笑むと、黒滝くんも少しは元気を出してくれたみたいだった。


人の笑顔を見ると、何となく心が安らぐ。

よく、お人よしと言われるけれど、
私もうれしい気持ちになるし…


放課後、私は親友の紗枝ちゃんと帰る約束をしていた。

紗枝ちゃんを待つ間、教室で私は一人待機していた。

「紗枝ちゃん、まだかな~」
紗枝ちゃんは部活で少し遅れると言っていた。


その時だった。
突然、窓の方から人の気配がした。


そして、何かが私の体にぶつかってきた気がした


「えーーーー?」

私は慌てて振り返ったけれど、
そこには誰もいなかった。


「いまのはーーー?

 …気のせいかな。」

私は何事も無かったことに安心して、一息ついた。


「あ、ごめんごめん 愛華」

「あ、紗枝ちゃん」

紗枝ちゃんは私と同じく、大人しめの方だと思う。
けれども、しっかりモノで、一緒に居て安心できる存在だった。

「じゃ、行こう」
教室から紗枝ちゃんが先に出て行こうとする。


その時だった、
紗枝ちゃんのカバンから財布が零れ落ちた

紗枝ちゃんは気づいていない


教えてあげなくちゃーー。

私は手を伸ばして財布を拾う。


財布を見ていた私に、ある考えが浮かんできた


”1枚ぐらいお札を抜いても、ばれないかな…”


!???!?


「えーーー」
私は今、自分の頭の中に浮かんだ考えに驚き、
声をあげてしまった


「--どうしたの?」
紗枝ちゃんが不審げに振り向く


「あ、私の財布、拾ってくれたんだー!
 ありがと愛華!」

そう言うと、笑顔で私から財布を受け取った。


「----…うん、良かった、
 私が気付けて」

私は紗枝ちゃんに微笑んだ


でもーーー
今のはーーーー

私 今 一瞬、変な事を…?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

その様子を俺は遠くから眺めていた。

「いまのところ…変化なし…か。」

”悪の魂”は徐々に入れられた人間の精神と同化していく。

俺は、その人間の精神力が強ければ、悪の魂に呑まれることなく、
”自分”を保ったままでいられると思っている。

だが、今のところ、俺が実験した全員が悪の道へ進んでしまった。


「彼女は、どうなんだろうな…」



そう呟くと、ジョーは意味深な笑みを浮かべた。


②へ続く

憑依復讐!コンビニバイトの悲劇 外伝

憑依<コンビニバイトの悲劇>
05 /19 2017
このサイト、最初の小説
コンビニバイトの悲劇 の外伝です。

元作品はこちらでどうぞ!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

雪村朱里は、あれから、落ち込みがちになった。

「……大丈夫だよ、きっと疲れてたんだよ」

彼氏が必死に励ますも、
朱里は落ち込んだまま。

彼女がコンビニで復讐を目論む男に憑依され、
コンビニでさんざん暴れてから2週間がたった。

だが、彼女の心の傷はいえなかった。

居心地のよかったコンビニバイトはクビになり、
大学でも変な噂が流れるようになった。


「……疲れててあんなに暴れなんかしないよ…」

朱里は落ち込んだ様子で呟く。

彼氏の男は、朱里が憑依されたことは黙っていた。
誰が憑依したのかもわからない。
必要以上に朱里を怖がらせないためだ。


「私・・・何であんなことしちゃったのかな…
 こわいよ…」

彼氏に泣きつく朱里。
彼氏の男は戸惑っていた。

どうすれば朱里の傷をいやしてあげられるのだろうか。

憑依されてー
好き勝手に体を使われた朱里の心の傷は
計り知れない。

彼氏は「俺が朱里を支えていかなくては」と改めて
かたく決心していた。


「俺は、何があっても朱里を嫌いにならないから。
 な…元気出せよ」

彼氏の男がそう言うと、朱里も涙を拭いて答えた

「うん…ありがとう

 ……ひっ!?」

突然 朱里が悲鳴をあげた

「どうした!朱里!」

彼氏が気を失った朱里を抱きかかえる。


すると突然、朱里が笑みを浮かべて起き上がった

「久しぶり~♪
 元気してた?」

今まで泣いていたとは思えない様子で笑う朱里。

「…え」
あまりの豹変ぶりに男はうろたえた

しかし、すぐに理解した。

「お前!まさかあの時の!」

男が指摘すると
朱里がいやらしく笑った

「ぴんぽーん!
 
 いやぁあの時さ、
 この娘が絶対しないようなあんなこと、
 俺がさせてるって思ったらさ、
 スゲー興奮したんだよね!」

朱里が汚い言葉を口にする

「見ろよ!こんなかわいい子がコンビニで
 一人暴れたり、暴言吐いたり、たばこ吸ったり、
 たまんねぇよな」

朱里がケラケラと笑う

「おい、お前!早く朱里が出て行けよ!」

彼氏が朱里に掴みかかった

「殴れば?
 俺は痛くねーけど」

朱里がバカにしたように笑う

「くっ・・・」
彼氏は悔しそうな顔を浮かべて手を放した


「さーて!
 朱里の大暴れショー 第2回 はじめまーす♪」

朱里は前と同じように可愛らしく言うと、
彼氏の家のモノを次々となげたり蹴ったりしはじめた

「おい!何をする!」

朱里が振り向いて笑う

「あはは!これだよコレ!
 見てよ!
 
 私、本当はこんなことしたくないのに!
 こんな可愛い私が、こんな乱暴でとんでもないことしてる!

 興奮しない?」

朱里が顔を赤くしながら言う。
完全に意識を乗っ取られている


朱里がガラスを割った。

「いたっ!」
朱里の手から血が出る。

それでもなお朱里は笑っている


「自分が怪我したのに笑ってる。
 うふふふふふ…たまらなーい!」

朱里が自分のスカートで乱暴に手をふくと、
そのまま再び家で暴れはじめた。

血がついたスカートがふわふわと舞う。

「あはははは!あはは、あははは!
 最高~~~!!

 朱里、興奮する~~~~!」

朱里のマネをしながら大笑いしている。

ついに、彼氏の怒りは頂点に達した。

「テメェ!」
彼氏は目の前の朱里をつかみ、殴りつけた

そのまま床に倒れる朱里。

「いったー…
 あはは、私を殴るなんて!最低!」

朱里は狂ったように笑っている。
手からは血が流れ、
タイツにもガラス片が刺さっている。

「あ~~~うっとおしい!」
朱里がタイツを自らびりびりに破いて
足に刺さったガラス片を乱暴に引き抜いた。

朱里の綺麗な足に血が流れる

「チッ…」
朱里が舌うちをして、自分の手についた血をなめた

「ま、朱里がどうなっても、困らないしね!」

そう言うと、彼氏の方に突然朱里が歩みより、彼氏を殴りつけた。

「がっ!」
男は倒れた。

朱里が玄関から自分のブーツを持ってくると、
彼氏の顔面を踏みつけた

「私を殴ったよね?
 謝りなさい」

朱里が言う。
その声には怒気がこもっていた

「、、、ふ、、ふざけるな」
男が懸命に声を出すと、
朱里が男を睨みつけた

「このまま、お前に乱暴されたって、外に助けを
 求めてもいいんだぜ?」

朱里が男言葉で言う

「ほら、早く謝りなさいよ」

朱里の血が彼氏の顔に垂れてくる。

心なしか朱里の顔色が悪い気がする

「もう…やめろ」

「なら、私の靴をお舐め」
朱里が女王様口調で言った。


……彼氏は朱里の顔を見た。
意地悪そうに笑っている。

だが、朱里のけがの事を心配し、
彼氏はブーツをなめた。

恥も、プライドも全て捨てて。


「あははははは!ばっかじゃねぇの!
 
 楽しいモノを見せてもらったよ…
 マジ傑作だわ!」

朱里はそう言うと、乱暴にブーツを投げ捨てて彼氏の方を向いた

「返してやるよ、この体… じゃあな」

最後にいやらしく笑うと朱里は気を失った。


彼氏はすかさず立ち上がった。
ボロボロになった室内。
怪我をして血を流している朱里

「うっ・・・」

朱里が意識を取り戻した。


…一体、、、この状況、どう説明すれば…

彼氏は絶望に打ちひしがれていた。。



おわり

憑依小説 元カノの報復⑤

憑依<元カノの報復>
05 /18 2017
「…出て行け?」
優奈が俺を睨みつける。

中身は優奈じゃない。
元カノの理沙だ。

理沙のヤツ、まさか優奈の体を乗っ取って
優奈の体が好き勝手するなんて…

俺は理沙を引っ張り出して殴りつけて
やりたかった。

だが、今、行動を起こせば傷つくのは優奈だ。


目の前の優奈が信じられないような悪態をついて
俺に言った

「それって、、私に死ねってコト?」

優奈が俺を睨みつける。

あの優しい優奈がこんな表情をするなんて…
中身が理沙だからと言って…。


「なんだって?」
俺は聞き返す

死ねなんて俺は言ってない


「…よ~く考えてよ。
 この女を乗っ取った時、私の体は死んじゃったの。

 と、いうことは分かる?
 私がこの女から出て行っても、
 戻るべき体がないの」

優奈が複雑な表情で言う

「…!!」

確かにそうだ。
理沙を追い出すということは、理沙を殺すってことか・・・。


「…ふざけるな!お前の自己中心な考えで、
 優奈を傷つけるな!」

優奈はもう十分傷ついているーー

したくも無い恰好をさせられーー

言いたくもない発言をさせられーーー

人としての尊厳も傷つけられているーー


「……私より優奈を選ぶの?」
優奈が自分の事を他人事のように言う

「…いいから、優奈を解放しろ」
俺は言った。

頼み込むしか手段はない


「はっ…私はどうなってもいいんだ。
 アンタの出方次第じゃ、
 わたし、この体で好き放題遊んじゃうよ?

 男を誘惑したり、お酒を朝まで飲んだり、 
 風俗店で働くのもいいかな?」

優奈が色っぽく言う

「ほら、優奈可愛いから、
 いっぱい稼げるよ。

 その辺の中年のおっさん捕まえてもいいし」


…俺の頭の中の何かが切れた

そして俺は、、、


ーーーーーーーーー

土下座した。


人通りの多い歩道で、土下座した。


「はぁ?」
優奈が心底驚いたという声を出した


「頼むーーーー
 優奈を解放してくれーーー」

俺は地面に頭を押し付けて土下座した。


今や優奈の運命は理沙の手の中にある。

俺は、ひたすら頼み込むしかなかった。


「---優しいね。。
 でも、もうお別れ」


夢の中で見た優奈の切ない顔を思い出す

ふざけるな!!!!

俺は必ず優奈をーーーー


「…あはははは、恥ずかしい~~!
 ばっかじゃないの!」

優奈が俺を罵る。

通行人の視線が俺たちに注がれる。


「…ふざけんな!」
優奈が怒声をあげる。


「私の時はそんな風にしてくれなかった!
 いつもいつもいつも私を避けるようにして!

 で、気づいてみたら優奈優奈優奈??
 ふざけんじゃないわよ!」

そう言うと、優奈が俺の手をヒールで踏みつけた

俺は必死に痛みに耐える

「……頼む。。
 今の俺には頼むことしかできない。
 優奈を、、解放してくれ。
 優奈に罪はない」

俺はひたすら土下座した。
痛みに耐え…


周囲が騒然としている

「…………何なんだよ!」
優奈が涙声でわめく


「頼む」

それしか俺には言う言葉が無かった。

ひたすらにーー
ひたすらにーーー


「…分かったわよ…
 興ざめ…

 この女乗っ取って、義信を私に振り向かせようとしたけど
 無理みたいね…」

優奈が悲しそうな目でそう言った


「……」
俺は顔を上げる

「……もういいよ。サヨナラ!
 いつまでもこの女とラブラブしてなよ!」

そう優奈が叫ぶと、ふっと気を失った。

「優奈!!優奈!」
俺は周囲の騒然とした様子を気にもせず、
優奈を抱きかかえた

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

1週間後。

大学の食堂で俺と優奈は談笑していた。

いつものように優しい笑みを浮かべ、
落ち着いた服装の優奈だ。


「---理沙さん、どこ行っちゃったんだろうね?」
優奈が言う。

「…さぁな…でも、もう優奈をあんな目には
 ゼッタイに合わせさせない」

俺が言うと、優奈が笑みを浮かべた

「ありがとうーー
 本当に、、ありがとう」

あの後、優奈は正気を取り戻した。
一瞬、理沙が演技してるのではとも思ったが、
俺には分かる。

彼女は正真正銘の優奈だと。


「…本当にごめんね。。色々迷惑かけたよね」
優奈が申し訳なさそうに言う

「いや、大丈夫だよ。。
 戻ってきてくれて、本当に良かった」

俺が優しくそう言うと、彼女もやさしく微笑んだ。



「あ、、優奈~!
 今日も彼氏とお食事?」

通りかかった優奈の親友、智香が優奈を茶化す。


「ちょ、ちょっと智香、声が大きいよ!」

そう言うと、智香は笑いながら、
たっぷり楽しみなさい!と言って立ち去っていった。


「---まったく智香ったら」
優奈が笑う

「ハハ、良い友達じゃないか」

ーーーーー
こうして、俺は優奈を取り戻すことが出来た。

理沙には悪い事をしたかも知れない。
けれども、よくよく考えれば自業自得だ。

あの1件で俺は優奈の大切さを再認識した。

これからも
俺は彼女をしっかりと守っていこうーーーーー


俺はそう、決意した。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


食堂から出た 宮川 智香が笑う

「……幸せそうにしちゃって…許さない。。
 二人の関係、、滅茶苦茶にしてやるから…

 義信、、アンタの彼女は私なの。。
 うふふ、、あはははは!」

智香は狂ったように笑いながら、その場を立ち去った…。



おわり

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元カノの報復 完結です!

よくよく考えたら男→女じゃなくて
女→女の憑依ものでした(笑)

元カノの理沙は、また別の人に憑依して、
何かを企てているようです。


果たしてこの後は…。

お読み頂きありがとうございました!

無名

普通の人です。
ここでは無名と名乗っておきます。

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