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<憑依>絶望の二択① ~”彼女”と”妹”~

もしも、決して選ぶことのできない二択を迫られたらー。

それでも、どちらか一方を選ばなくてはいけないのだとしたらー。

決断を迫られたその時、
人は、どんな決断をするのかー。
------------------------------------

「---さぁ、、どうするのーー?
 博康くん?」

制服姿の女子高生が笑う。


”どうしてこうなったー?”

立ち尽くす男は、冷や汗をかきながら
自分をあざ笑う女子高生の近くで、
柱に縛り付けられている女子中学生の
姿を見るー。

彼女はー、
彼のー妹だ。

幼い顔立ちの明るく元気な少女。
ツインテールがトレードマークだー。

「---春奈(はるな)、今、助けるからー」

彼はそう叫んだ。
縛られた女子中学生の兄、
堂島 博康(どうじま ひろやす)は、
うろたえていた。

何故ならー。
妹を人質にとっているのはーーー


「へぇ、妹さんを選ぶんだ。
 ざんねん!
 博康君のコト、信じてたのに…」

妹を人質にとっている女子高生が笑う。

「---じゃ、私は
 好き勝手されちゃっていいんだね?

 知らない男の人に体を売って、
 毎晩毎晩、自分の体で遊んで、
 男を誘惑して、ホテルに連れ込んで!

 わたし、滅茶苦茶に壊されちゃっても
 いいんだねー?

 えへへ、私は別にかまわないよ」

女子高生はーー。
博康の彼女で、同級生の
響 千穂(ひびき ちほ)。

整った黒髪と、
大人しそうなメガネが特徴の子だー。

彼女はーーー
”何者かに憑依されていた”


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その日の朝―。

博康はいつものように登校した。

「ねぇねぇ、今日の放課後って空いてる?」
メガネをかけた可愛らしい子が博康に話しかける。

彼女は高校1年の時からクラスが一緒の女子生徒、
響 千穂。

千穂は、博康の彼女でもあった。

優しい性格で、裁縫と料理が得意な子だった。


「今日の放課後?
 あ~今日、委員会活動があってさ」

博康が言うと、千穂は微笑んだ

「そっか。ザンネン!」
千穂がザンネンそうに言う。

聞けば、弟の誕生日プレゼントを買いに行くから
良ければ一緒に、と誘おうとしたとのことだった。

「ごめんごめん。
 俺も千穂と一緒に行きたいけどさ…
 
 先生に怒られちゃうしさ」

博康が言うと、千穂は微笑みながら
「大丈夫。委員会、頑張って!」
と笑顔を振りまいた。


博康が座席に戻ると、
幼馴染のクラスメイト 長尾 璃乃(ながお りの)が
小声で言う

「今日も楽しそうね」

その言葉を聞いて博康が顔を赤くする

「な、何だよ急に!」

その様子を見て璃乃は笑う。

「あははっ、すぐ照れちゃうんだから。
 そんなに千穂ちゃんのこと、好きなんだね」

璃乃が悪戯っぽく笑う。

璃乃は小学生時代から一緒の
幼馴染だ。

璃乃はよく博康のことを茶化すし、
博康も璃乃のことをよく茶化す。

「ーーいつまでも子供だなぁ、璃乃は」
博康が言うと、
璃乃がふてくされて言う

「なによ!あんただって子供じゃない!」

「なんだとこの野郎!」

いつものいがみ合いが始まった…。


その様子を遠くから見ていたひとりの男子生徒が
険しい目つきで呟く

「あいつ…最近モテモテでうざくね?」

その言葉を聞いた、隣の男子生徒が笑う

「モテナイからってひがむなよ、太郎!」

太郎と呼ばれた男子生徒は
友人に肩を叩かれてもなお、
博康の方を睨んでいた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

放課後。

「あ~あ、意外と長かったな、委員会…」

博康がつぶやいて時計を見る。

「18時か…
 帰ってごはん食べてっと…」

その時、スマホに着信が入った。

スマホに目をやると
彼女の”千穂”の名前が表示されていた。

「もしもしーどうした?」
博康がいつもの調子で電話に出る。

「---博康君。
 見せたいものがあるの」

千穂は挨拶もせず、
低いトーンの声で言う。

「--?」
博康は違和感を感じた。
一言だが、いつもと千穂の雰囲気が違う気がする

「見せたいモノー?」
博康が訪ねると千穂が少しだけ笑った。


「そう。西区の川辺に誰も使わない空地があるじゃない?
 あそこで待ってるから」

千穂が愛想なく言う。

「はー?
 い、いや、今日はもう遅いし…
 って、何だってそんなところに?」

博康が言うと、千穂が言い返した

「別にどうだっていいじゃない。
 早く来なさいよ」

千穂の命令口調。

博康の違和感はさらに膨れ上がる

「お、おい、どうした千穂?
 すねてるのか?」

委員会活動で、千穂の弟へのプレゼント選びを
手伝ってやれなかったことを、
怒っているのだろうかー。


「--いいから早く来いって言ってんの!
 ウダウダ面倒くさいなぁ!」

千穂が怒鳴り声をあげる。

そしてー

「ホラ、聞いてー?」

千穂がそう言うと、電話口から別の女性の声が聞こえた。


”おにいちゃん、、、助けて…”

と。


「---なっ…」
博康は唖然とする。

今のは、妹の春奈の声だーー。


「は、春奈!?
 お、おい どうなってる?千穂??」

博康が言うと

「春奈ちゃんは、わたしの人質。
 助けたかったら早く、私のところに来るのよ!」

千穂が叫ぶと、電話は切れた。

何度もかけ直したが
千穂は電話に出ない。

博康は、慌てて指定された場所へと向かった。

・・・・・・・・・・・・・・

指定された場所にやってきた博康は
彼女の千穂の姿を見つけた。

そしてその隣には、妹の春奈が柱に
縛り付けられて苦しそうな表情を浮かべている。

「は、春奈!」
博康が叫ぶと、


近くの壁に片足をつけて、
腕を組んでいた千穂が笑いながらこちらを向く。

「遅い!…
 いつまで私を待たせるの?」

千穂が敵意をむき出しにして言う。

「---ど、どういうことだよ 千穂!」
博康が戸惑って叫ぶと、
千穂は笑った。

「どういうことって?
 知りたい?」

いじわるそうに微笑む千穂。

メガネをかけた表情がいつもよりも
自信に満ち溢れているように見える。

いつも、どちらかと言うと、1歩引いたような印象の千穂だが、
今は違う。

腰に手を当て、堂々とした、
いや、見下すような態度でこちらを見ている。


「お兄ちゃん!逃げて!」

妹の春奈が叫ぶと、
千穂が「うるせぇんだよ!」と怒鳴り声をあげて
春奈をビンタした。

「おい!やめろ!」
博康は咄嗟に怒鳴り声をあげる。

千穂は、お構いなしに
妹の春奈の髪を引っ張りながら言う。

「わたしが、手順を追って
 これから説明すんだよ。

 お前は黙ってろ」

千穂とは思えないような口調に
博康は戸惑う。


そして、千穂は再びこちらを向いた。


「実はねー。
 私、他の人に体を乗っ取られちゃったの!うふふ…

 体は千穂のものだけど、
 今の千穂は、中に居る人の操り人形!

 この体で何だってできるし、
 思考も行動も全部思いのまま!

 わかる?博康君!」

笑みを浮かべながら言う千穂。


「ぷっ……
 はは、あははははははは!」

博康は突然笑い出した


「---え?」
唖然とする千穂。


博康は笑いながら口を開いた。

「なんだよびっくりさせんなよ千穂。
 ドッキリにしちゃ性質が悪いよ。

 春奈も。
 いつの間に二人、そんな仲良しになったんだ?」

博康は笑いながら言った。

確かに千穂と春奈は何度か顔を合わせている。
けれど、こんなに二人でドッキリを仕掛けるまでになったとは…。

「うふ、ふふふふふふ、
 あははははははは!
 笑わせないでよ!
 わたし、本当に憑依されてるのよ?」

千穂が笑う。

「---ははっ、そんな趣味があったのか。
 そういうところも可愛いな」

博康が言う。


「お兄ちゃーーー」
叫びかけた春奈を千穂が睨むと、
春奈は委縮して言葉を止める。


「---ねぇ、わたしがこんなことする?」
突然、千穂が自分のスカートをめくりあげた。

「なっーー」
博康が唖然とする。

千穂の綺麗な足と下着があらわになっている。

「ねぇ、これでもわたし、正気だと思う?」

千穂が制服のブレザーに手をかけると
それを脱ぎ捨てて、踏みにじる。

さらに下のシャツのボタンにも手をかける


「--や、、やめろ!!!」

ボタンを2つ外した状態で笑う千穂。


「---信じてくれる?」
千穂は微笑んだ。


「-----!!」
博康は言葉を失った。

千穂がこんなことするはずがない。

ならば、本当にー?


「--私ね、アンタのコトがうざくて仕方がないの。
 いつもいつもいつも、千穂の奴と、、、

 ううん、私とイチャイチャして、
 楽しそうにしてる。

 そんなアンタがうざくてたまらない」

千穂が憎しみを込めて言い放った。


「---……」
博康は千穂の話を黙って聞いている。


千穂はそんな博康を見て笑みを浮かべた

「だから、一つ、お前から大切なモノを奪う。
 彼女のわたしかー、
 妹の春奈ちゃんかー。

 どっちかを選びなさい」

千穂が博康に近づいてきて、
顔を見つめながら言う。

「---選ばなかった方の体は、、
 わたしのものー」

そう言うと千穂は邪悪にほほ笑んで、妹の春奈の方へ
歩いて行った


「春奈ちゃん、お兄ちゃんがどっち選ぶか
 楽しみだね?

 私かな?それとも春奈ちゃんかな???

 もし春奈ちゃんが選ばれたら
 わたし、体を奪われて、
 いろんな男の人を誘惑したり、
 いろんな人とヤラされちゃうの!

 うっふふふふふ♡」

千穂が笑う。

春奈は泣きながら言う

「響さん、しっかりして!
 目を覚まして!」

春奈は、千穂と何度も顔を合わせている。
博康が家に何回か連れてきているからだ。

春奈も千穂になつき、
姉のように慕っていた。

だからこそー
憑依された千穂を前にして、春奈は動揺していた


「目を覚ます~
 ふふふっ、無理よ!
 この女は、もう思うがまま!

 何をしてもね。

 ホラ、このエロい体をこ~んな風に
 弄んでも!
 わたし、すっごい楽しそうでしょ

 あっ…感じてきた…
 この体、ううん、私の体、
 すっごい♡

 メガネしてこ~んな大人しそうなのに
 エロエロじゃない!えへへ♡」

胸を弄ぶ千穂に
春奈が言う

「やめて!」

泣き叫ぶ春奈を見て、
千穂はその手を止める

「ふふっ・・・」

そして千穂は博康の方を振り返った。


「---さぁ、、どうするのーー?
 博康くん?」

制服姿の女子高生が笑う。


”どうしてこうなったー?”

立ち尽くす男は、冷や汗をかきながら
自分をあざ笑う女子高生の近くで、
柱に縛り付けられている女子中学生の
姿を見るー。

彼女はー、
彼のー妹だ。

幼い顔立ちの明るく元気な少女。
ツインテールがトレードマークだー。

「---春奈(はるな)、今、助けるからー」

彼はそう叫んだ。
縛られた女子中学生の兄、
堂島 博康(どうじま ひろやす)は、
うろたえていた。

何故ならー。
妹を人質にとっているのはーーー


「へぇ、妹さんを選ぶんだ。
 ざんねん!
 博康君のコト、信じてたのに…」

妹を人質にとっている女子高生が笑う。

「---じゃ、私は
 好き勝手されちゃっていいんだね?

 知らない男の人に体を売って、
 毎晩毎晩、自分の体で遊んで、
 男を誘惑して、ホテルに連れ込んで!

 わたし、滅茶苦茶に壊されちゃっても
 いいんだねー?

 えへへ、私は別にかまわないよ」

唇を舌で舐めまわしながら言う千穂。


「--ーーー…くそっ」
博康は俯く。

どうすればいいんだー。


「ねぇ、早く決めてよね」
千穂が近くの岩場に足を組んで座る。

とても退屈そうにしている。


「千穂ーー」
博康は千穂の方を見る。
岩場の上に座り、足を組んで、
バカにするような笑みでこちらを見ている。

千穂と出会ったのは高校に入学してすぐ。
二人で図書委員の仕事をするうちに
意気投合して、仲良くなった。

そして冬に告白して、付き合い始めたのだった。

千穂の家庭は複雑だった。
母子家庭の千穂は、いつも苦労しながらも
決して道を踏み外すことなく、健気に努力していた。

そんな千穂が博康は心から好きだった。
そして千穂も、博康のことを心から信頼していたー。


博康は妹の方を見る。

涙を浮かべながら、博康を見つめている
春奈を見て、博康は心を痛めた。。

大事な妹が、こんな目にあっているー。


妹の春奈は、
いつも兄である博康の後をついてくるような子だった。

それは、今でも変わらない
「お兄ちゃん」といつもいつも、博康を慕ってくれている。


博康は目をつぶるー。

二人のどちらか一人を犠牲に…?

そんなこと、、、できるものか…。



その時だった。
急激な痛みが博康を襲う。

目を開くと、
千穂が博康の髪をわしづかみにして
引っ張っていた。

「---なぁ、早く決めろよ。
 わたし、それとも妹?

 早くきめねぇなら
 この体でお前の妹、殴って殴って殴って
 殺してやるぞ!

 なぁ、早く決めろよ!」

千穂が激しい形相で怒鳴りつけた。

メガネの下の瞳には狂気が宿っている。


「あと5分、それしか待たねぇぞ」
千穂が耳元でささやくと、乱暴に博康の頭から手を離し、
再び先ほどの岩場に座り込んだ。


「博康くん、
 お願い、私を助けて!
 ねぇ、、、わたし、まだ消えたくないよ!」

千穂が”千穂の演技”をして泣き叫ぶ


「お、、、お兄ちゃん…」
春奈が嘆願するような目で博康を見る。


「---く、、くそっ」

残り5分ー。
博康は、選びようがない2択を前に、
”絶望”を味わっていた・・・



②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

さて、博康君はどうするのでしょうか!?





コメント

No title

楽しみ( ˘ω˘ )

No title

うん、こういう場合は、
どちらかを選んだ2つのルートと、
どちらも選べなかったルートの3つのエンドが必要だね。
ということで続きが楽しみです。

Re: No title

> 楽しみ( ˘ω˘ )

ありがとうございます^^
彼は、ちゃんと”選ぶ”はずです…(笑)

Re: No title

> うん、こういう場合は、
> どちらかを選んだ2つのルートと、
> どちらも選べなかったルートの3つのエンドが必要だね。
> ということで続きが楽しみです。

ありがとうございます^^
3つの道のどこに進むのか、楽しみにしていてください(笑)

2人とも助ける?
…そんなルートはありませぬ…
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無名

Author:無名
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