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<憑依>堕落③~底~(完)

娘を取り戻すために必死の行動に出る父。

薬漬けにされてしまう前に、
なんとしても、憑依された娘を
助け出さなくてはならない。
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「----娘を、解放しろ」
父・由紀也は、
娘の加奈恵に憑依している金髪の男に
向かって言う―。

金髪の男の仲間、
スケートボードの男に包丁を
突きつけながら、加奈恵の方を睨む。

加奈恵は笑いながら立ち上がると、
挑発的な笑みを浮かべて呟いた。

「おくすりおくすり~♡」
甘い声でそう言うと、
加奈恵は興奮した様子で
自分のボロボロになった腕に
注射をしたー。

「はぁぁっぁ~♡ いいきもちぃ~♡」

「--ふざけるな!」
由紀也は大声で叫んだ。

加奈恵は、大丈夫なのだろうかー
もしかしたら、もう手遅れかもしれないー

妻の伊沙子は、部屋にこもりきりに
なってしまったし、
もう、自分がなんとかするしかないー

「お父さん~?何の騒ぎ~?」
次女の麗が、芋ようかんを咥えながら
近くにやってくる。

「麗…!今は部屋にいなさい!」
由紀也が言う。

「ふぇぇ?」
天然な麗は、姉が憑依されたという状況を
あまり飲みこめていない様子だったー

いやー
わざと気づかないふりをしているのかもしれないー
麗は天然に見えて
時々計算高いところもある。

「---くへへへ…!そんなことしていいのかなぁ」
加奈恵はそう言うと、笑いながら、自分の
上着を脱いで、下着姿になった。

お腹の部分には、♡マークのタトゥーが
刻まれている。

「き…貴様!」
由紀也は思わず叫ぶ。

娘の身体に、♡マークを掘った不良男に
改めて殺意を抱く。

「--睨むなって!
 かわいいでしょ?♡…うふふ!」
自分のお腹に刻まれたハートマークを
イヤらしく撫でる加奈恵。

「おぉぉぉぉ!ハートちゃん!」
妹の麗が叫ぶ。

「へ、部屋に戻ってなさい!」
由紀也が言うと、
麗はにこにこしながら
ようやく自分の部屋の方に向かった。

「お姉ちゃん、最近、ダイナミックだなぁ~」
麗は何かを一人ブツブツ呟いている。

由紀也はさっき
次女の麗を時々計算高いと評したが、
心の中で訂正したー

やっぱ、ただの天然だー。

「---おい!俺のダチを離せよ」
加奈恵が乱暴な口調で言う。

「---なら先に、娘を解放しろ」
由紀也が言う。

「---……殺したければ殺せよ」
人質にされているスケートボードの男が
そう呟いたー

「何だと?」
由紀也は思わず叫ぶ。

「---くくく…
 この身体も、俺のものじゃないんだぜ?」

由紀也はその言葉を聞いて唖然としたー。

やってきた3人のうちー
2人は、憑依した状態ー
加奈恵と赤い髪の女にそれぞれ憑依していたー

スケートボードの男は、男だから
てっきり本人かと思っていたがー

「--俺を刺しても、
 死ぬのはこの身体だけ!
 くくく、コンビニ前でたむろしてた俺らを
 注意した、バカな優等生くんの身体だけだ!」

スケートボードの男はゲラゲラと笑った。

「ぐっ…くそっ!」
スケートボードの男を突き飛ばす由紀也。

この男を人質にしても何にもならない。

「---け、警察に通報するぞ!」
由紀也は叫んだ。

「--はぁ?」
加奈恵は鼻をほじりながら笑うー

由紀也は加奈恵にそんなことを
させている不良が許せないと言う想いで睨むー。

「--…あのさぁ?
 おっさん、バカなの?
 何度も言ってるだろ?
 通報しても、逮捕されるのはこの娘だけだって」

薬をキメてるのは加奈恵だー。
憑依なんて、誰も信じやしない。

「---……逮捕されれば…
 もう、お前らの好きにはできない」
由紀也は覚悟の眼差しで加奈恵を見る。

これ以上言いなりになっていても
加奈恵はどんどん薬や酒に溺れて行き
堕落していくだけだー

それならば、
警察に薬の件で父娘ともども逮捕されればー
もう、薬をキメることはできないし、
この男たちもそんな生活嫌だろうから
どこかへ去るだろうー

「---へぇ…なるほどなるほど
 確かに捕まっちゃえば、
 好き放題はできないね」

加奈恵は机に置いてあった飲みかけのビールを飲むと
げっぷをしながら微笑んだ。

「---……」
加奈恵はニヤニヤ笑みを浮かべている。

「---」
スケートボードの男と加奈恵が
目を合わせて何かを合図すると
加奈恵は微笑んだ。

そしてー
加奈恵が拍手を始める。

「えへへへへへ…
 感動しましたよ、お父さん~
 俺の負けだぁ~」

そう言うと、加奈恵は、さっき脱ぎ捨てた服を
身に着けて微笑んだー

「娘さんを解放してあげましょう~」

加奈恵がニヤニヤしながら言う。

「--…本当か…?」
由紀也は加奈恵の方を睨む。

こいつらのことだ。
何かあるかもしれない。

「…ほんと~ですよ~くへへへ…
 それじゃ、さよ~なら」

そう言うと、加奈恵は「うっ…」と
低くうめき声をあげて
そのまま気を失ってしまったー。

「か…加奈恵!」
由紀也が慌てて駆け寄る。

スケートボードの男が笑みを浮かべているー。

「---あ……」
そしてー
加奈恵が目を覚ました。

「お、、お父さ…ん…?」
加奈恵が不思議そうな表情を浮かべて、
父・由紀也の方を見た。

金髪にされて
耳にはピアスが揺れているー。

それでも、
加奈恵は加奈恵だったー。

「加奈恵…」
由紀也は黙って加奈恵を抱きしめた。

この状況をどうやって説明するべきかー

それにー

「---うひひひひひひひひ!
 感動の再会だなぁ~!」

2階から声が聞こえたー

「---!?」
由紀也が2階を見ると、
そこには、次女の麗の姿があった。

「うーー、、麗!?
 まさか貴様!」

加奈恵に憑依していた金髪の男は
今度は麗に憑依した。

麗は笑みを浮かべながら
1階に下りてくる。

「---ひ…い…いやああああああああ!」
突然、加奈恵が身体を震わせながら
由紀也の反対を指さした。

「--!?」
由紀也が振り返る。

しかし、そこには何もない。

「---あ…あ…あぁ…ひ…ひやあああああああ!」
加奈恵が震えながら両耳を塞いで蹲ってしまった。

「か、、加奈恵!加奈恵!どうしたんだ!」
由紀也が叫ぶ。

すると、麗が笑った。

「おね~ちゃん!
 だいじょうぶ!ほら、そのお薬注射すれば治るから!」
麗がニヤニヤしながら言う。

「--まさか…」
由紀也は唖然としたー

加奈恵に禁断症状が出ている。

「--あ…あぁ…あああああ」
言われるがままに加奈恵は震える手で
注射器を手にする。

「だ…だめだ!加奈恵!」
由紀也は叫んだ。

しかし、加奈恵は
狂ったような表情で、
自分に注射器を刺したー

「--ほら!お姉ちゃん、お酒お酒~!」
麗が笑いながら缶ビールを渡すと、
加奈恵は乱暴にそれを取り上げて
ビールをゴクゴクと飲み始めた。

「…う…うあああああああ!」
由紀也は叫んだ。

加奈恵はもうーーー
手遅れだと理解したからだー。

ボロボロの薬漬けにされてしまったー

「--貴様ぁ!!!俺の娘になんてことを!!!」
由紀也は泣き叫びながら
麗の胸倉をつかむ。

「今度は、次女の番だ」
麗は笑みを浮かべる。

「--ふ、ふざけるなふざけるなふざけるな!」

由紀也が発狂しながらそう叫ぶー。

加奈恵は、不気味な笑みを浮かべながら
笑い続けているー
明らかに、正気を失っている様子だったー

「---くそっ…くそっ…くそっ…」
由紀也はその場で蹲り、
床を叩き、うめき声を上げ始めた。

どうしてこんなことになってしまったのかー。

「---うぅぅぅううう…」
由紀也は頭を抱えて
叫び出す。

加奈恵が壊されてしまった。
今度は麗までー。
妻の伊沙子も、精神的にやられてしまった。

「泣くなよおっさん」
麗が笑いながら言う。

「---ほら、娘とエッチさせてやるからよ」
麗が挑発的な言葉を由紀也に投げかけた。

だがー
由紀也は、うずくまったまま
うめき声をあげるだけだった。

「--もう、このおっさんだめじゃね?」
スケートボードの男が言う。

「ひはは、案外、持たなかったなぁ」
麗が笑うー。

「---壊れちゃったとこで
 遊んでも仕方ないし、そろそろ行くか」

麗がスケートボードの男に言うと、
スケートボードの男も頷いた。

「---うぅぅ…」
由紀也は、乗っ取られた麗の方を睨む。

このままじゃ、麗もボロボロにされてしまうー。

けどー。

「--楽しかったぜおっさん…へへへ…
 じゃあな」

そう言うと、麗はそのまま
スケートボードの男と共に
立ち去ってしまったー。

「--くそっ…くそ…うああああああ!」

由紀也は静まりかえった部屋で大声で悲鳴をあげたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

加奈恵は、心身ともにボロボロになってしまった。

薬が切れると
狂ったように暴れたり泣きだしたりするー

だが、加奈恵を病院に連れて行くこともできなかったー。
病院に連れて行けば、薬のことが
ばれてしまうだろうー。

由紀也は、加奈恵を必死に守ろうとしたー。

けど、この状況じゃ学校に行くこともできないー。

加奈恵はそのまま退学になったー。

「--はぁ…はぁ…はぁ…」
ボサボサの髪型で顔つきまで
おかしくなってしまった加奈恵が
苦しそうに息をしているー

由紀也は、そんな加奈恵の姿を見て、
なんとかしてあげたいと思ったが
どうすることもできなかったー

加奈恵の身体は、想像以上にボロボロだった。

妻の伊沙子は、ずっと寝込んでいるー。
あまりのショックに食事ものどを通らない様子だ。

そして、麗は奪われたままー。

正気を取り戻した赤い髪の女も、
どこの子だか分からないし、
どうすることもできず、
由紀也の家にかくまっている状態だー。

「--くそっ…!俺は、俺はどうすればいいんだ」

奪われた麗を探しに行くこともできずー
加奈恵と伊沙子に何かしてやることもできずー

どうにもならない状態だったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

仕事をしなければ
家族を養うこともできないー

由紀也は職場に復帰して
働き始めた。

これから、
どうしていけばいいのだろうー。

そんな風に思いながら
由紀也が帰宅するとー

そこには、信じられない
光景が広がっていたー

「あ、お父さんおっかえり~!」

ーー!?

身体を奪われて立ち去ったはずの麗がそこにいた。

茶髪に染められた髪ー
派手なミニスカートー
ピアスー

天然な麗の姿はもうそこにはなかった。

「--う、、麗…お前…!」
由紀也が言うと、麗が微笑んだ。

麗の視線の先には、
注射器をもって
涎を垂らしながら笑みを浮かべている
加奈恵の姿があった。

「おくすりないと、お姉ちゃんつらいと思って
 持ってきてあげたの!」

麗が笑う。

加奈恵が「えへぇ…♡」と言いながら
ソファーにだらしなく横たわって
涎を垂らしている。

その視線はー
おかしな方向を見ているー

「---…もうやめろ!やめてくれー!」
由紀也は泣き叫びながら
麗の方に突進していく。

「---あ、そうだ!」
突進してきた由紀也に向かって
麗は笑った。

「--お母さん、首つっちゃったみたいだよ~?
 くへへへへへ♡」

妻の部屋を指さす麗。

「----な…」
由紀也は、妻の部屋の方を見て
身体を震わせたー

あまりの絶望に、足が動かないー

「---ふぁあ…♡ おとーさん…」
加奈恵がソファーから滑り落ちて
仰向けに倒れ、虚ろな目で
へらへら笑い続けている。

憑依から解放された加奈恵ー
けれど、加奈恵は元の優しい少女に
戻ることはできなかった。

加奈恵と、かくまっている赤い髪の女の子が
虚ろな目で何かを呟いているー

「---お、、俺は、、どうすれば…」

うろたえる由紀也ー


♪~~

玄関のインターホンがなった。

”警察だ!扉を開けろ!”
玄関から声が響く。

「----…はははは…」
由紀也は、笑みを浮かべた。

もう、何もかも終わりだー
たぶん、薬云々のことが
警察に伝わったのだろうー

自分たちは何も悪い事をしていないのに
堕落した家族して、
世間に晒されるのだろうー。

憑依されたままの麗が、
勝ち誇った表情で由紀也を見ているー。

妻が自殺したー
加奈恵は薬物中毒ー
麗は憑依されたままー
誰だか知らない赤い髪の子も薬物中毒ー

そして、おそらく自分は逮捕されるー
薬物取締だとかなんだとか…で。

家族を滅茶苦茶にした金髪の男たちは、
勝ち誇ったように笑うだけー。

「---あは、、、あはははははははは」
由紀也は笑いながら玄関に向かって歩き出した。

由紀也はー
ついに気が触れてしまった。

「いひひひひひひひ
 あはははははははははははは~」

泣きながら大笑いする由紀也は、
玄関の扉を開いたー

”堕落”させられた家族ー

もう、元には、戻れないー


おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

このお話はツイッターのツイートから
生まれたお話だったりします~!

思ったよりもダークになっちゃいましたネ!

お読み下さりありがとうございました☆!

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プロフィール

無名

Author:無名
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