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<皮>石焼き芋屋さん②~不穏~

石焼き芋を売る女性ー。

彼女に恋をする男子大学生ー。

だが、次第に不穏な空気に包まれていく…
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「---あぁ…俺の恋は終わった」
帰宅した省吾は
焼き芋を食べながら呟くー

焼き芋の移動販売をしている女性はー
きっと、友人の健太郎が言っていた
”友人の彼女”なのだろうー。

健太郎が見せてくれた写真の女性と
焼き芋販売の女性は、そっくりだったー

そっくり、というよりも、本人だと思うー。

彼女は、その彼氏と急に連絡を絶ったらしいが、
それでも”別れては”いないっぽいー。
と、なれば、彼氏持ちということになる。

「いや…待てよ?」
省吾は、焼き芋を食べながら、希望を見出したー

「健太郎の友人との連絡を絶ったってことは…
 別れる一歩手前ってことだよなー…
 
 もし別かれてくれれば…
 彼女は、フリーだぜ…!
 へっへへへへ」

省吾はニヤニヤ笑いだす。

そうだー
まだチャンスはあるー
アタック・チャンスだ。

省吾は、元気になって
焼き芋をものすごい勢いで食べ始めてー
そして、喉にひっかかって一人、もがき始めたー

・・・・・・・・・・・・・・・

「---あ…」

翌日ー
いつもより大学の帰りが遅くなっていた省吾は、
石焼き芋の車がいつもいる場所を
期待せずに通るー。

”もう、いないだろうな…時間も遅いし”

そんな風に思いながら歩いていると、
焼き芋の車は、まだいたー。

だがー。
ちょうど片付けの最中だった。

「あ!」
振り返った店主の女性が省吾に気づく。

「こんばんは!」
可愛らしく微笑む女性ー

「あ、こ、こんばんは」
省吾は顔を赤くするー。

「-ーー今日は来ないな~って思ってたんですよ~」
笑う店主の女性ー

だがー
省吾にとってはちょうどいいタイミングだったのかもしれないー
いつもはゆっくり話す時間はないが、
今日は営業後ということもあって、
店主の女性とゆっくり話す機会に恵まれた。

「--そういえば、実は俺と同じぐらいの年齢だったりします?」
省吾が、雑談の中でちょうどそういう話が
できるタイミングになったことを見計らって聞いてみるー

「え?あ、、う~ん、どうでしょう?
 あ、でも同じぐらいかな~」
店主の女性が笑う。

「--あ、いや、年齢が聞きたいわけじゃなくてー」
省吾はとっさに
女性に年齢を聞くなんて、と言葉を修正したー

「--同じぐらいの年齢だとしたら
 大学とか、どうしてるのかなって」
省吾は気になっていたー

この子が、親友の友人の彼女、
哀川菜々美なのかどうか。

知ったところで、何かあるわけでもないー。

ただ、彼氏持ちのコなのかー、
そして、この片思いの相手の名前も
知りたかったー

「---あ~…確かに、そう思われちゃっても
 仕方ないかも!」

店主の女性はにっこりと笑うー。

「わたしは、祖父が倒れたときに
 この焼き芋の販売を継ぐことにしたんで、
 大学を辞めたんですー」

店主の女性が言う。

「おじいちゃん、わたしが小さいころから
 ずっと焼き芋の移動販売をしていたんですけど、
 1年前に病気で死んでしまってー。

 それで、売るための車とか、機材とかだけ
 残っていたので、おじいちゃんが大好きだった
 焼き芋、ちょっとだけやってみようかなって」


この女性の話を思い出す。

「--…」
省吾は思うー

健太郎が言ってた”友人の彼女”が音信不通になったのは
ついこの間ー。
この店主の女性は、1年前に焼き芋屋を継いだと言っているー
と、なれば大学を辞めたのももっと前だろうー。

この人は、哀川菜々美ではない?

「--あ、そうだ、もしよければお名前を…
 あ、俺は向田省吾と言います」

省吾が頭を下げながら自己紹介する。
”お客様”と言われることに少し寂しさを感じたからだー

「--向田さん…
 素敵な名前ですね~」

社交辞令だろうか。
まぁ、きっとそうだろう。
店主の女性はほほ笑んでくれたー

「--あ、わたしは天童 美穂(てんどう みほ)ですー
 これからも、おじいちゃんの焼き芋、お願いしますね」

店主の女性ーー
美穂は、優しく微笑んだー

省吾は、なんとなくほっとしたー

友人の健太郎が言っていた子とは
たまたま似ていただけで、別人だったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・

♪~~

鼻歌を歌いながら帰宅する女ー

美穂と名乗った石焼き芋を売る女性の部屋はー
彼女のイメージとは真逆ー。

部屋は散らかっていたー

美穂は、あ~~~、と大きくあくびをすると、
自分の太ももを撫で始めるー

「--ふふふ…♡
 馬鹿なやつら」
美穂がボソッと呟くー

「女ってだけで、売上がこんなに変わるなんてな…
 へへへ…
 
 お前らどうせ焼き芋になんて興味ないんだろ?」

美穂がクスクス笑いながら言う。

そんな美穂のそばにはー
大学の学生証が転がっていたー

その学生証にはー
”哀川 菜々美”と書かれていたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・

大学ー

ニヤニヤしながら省吾がお昼を食べているー

昨日は、焼き芋を売るあの女性と
距離が近づいた気がするー

「美穂さんかぁ…えへへ」
省吾がニヤニヤしながら呟くー

「なにニヤニヤしてんだ?
 気持ち悪いなぁ」

友人の健太郎が、ニヤニヤしている
省吾を見つけて呟くー

「え?あ、いや、ニヤニヤなんかしてねーよ」
省吾が言うと、
健太郎が「まだ焼き芋に夢中なのか」と
からかうようにして言った。

「--あ、そういえばさ、
 この前、俺の友人の話しただろ?
 彼女に急に嫌われたっぽいって話ー」

健太郎が笑いながら言う。

「---あぁ、聞いたな」
省吾がニヤニヤしながら言うと、
健太郎は呟いた。

「なんかさ~、あいつの彼女、
 あいつだけじゃなくて、他の友人とか
 同性の友達とか、バイト先とも
 連絡を絶ったらしんだよな~…

 なんかの事件かも、って
 あいつ騒ぎ出してさ~」

「へ~確かにそれは不安だな~」

省吾は、適当に聞き流していたー
他人の恋愛話なんて、どうでもいいと言えば
どうでもいいー。

「---でさ、俺の友達さ、
 その彼女のことー
 探し回って見つけたらしいんだー」

「-ふ~ん」
適当に聞き流す省吾。

だがー
健太郎の次の言葉は、省吾を凍り付かせたー

「---なんか、焼き芋の販売、
 車でしてたらしいぜ
 大学にもいかずにー。」

健太郎がニヤニヤしているー

「お前が夢中な石焼き芋を売る女ってー…」

健太郎はもの凄く楽しそうだー
男女関係の話を冷やかすことに生きがいを感じているー

「---…え」
省吾は、思わず口を開いて、凍り付いたー

・・・・・・・・・・・・・・・

その日の夜ー

省吾は、いつものように、焼き芋の車があるところに向かうー

「---あの子はいったい…?」

昨日、焼き芋移動販売の店主の女性は
”天童 美穂”と名乗ったー。

だが、健太郎の話が本当なら、
健太郎の友人の彼女・哀川 菜々美が、
突然彼氏や友達との連絡を絶ち、
大学にも行かずに偽名を名乗って
石焼き芋を売っていることになるー

「----!」
石焼き芋の車の前で
店主の美穂と、大学生ぐらいの男が会話しているー

「菜々美!どうしちゃったんだよ!」
男が叫ぶー

「あ…」
物影からその様子を見つめる省吾ー。
その男に見覚えがあったー

健太郎がスマホで見せてくれた
健太郎の友人だー。
省吾とは面識はないが、
健太郎が見せてくれた写真の男と同じだったー

「---邪魔よ。どきなさい」
店主の美穂が脅すような口調で言う。

「--み、みんな心配してるぞ!?
 急にどうしたんだよ、本当に…
 せ、せめて理由ぐらい!」

健太郎の友人が叫ぶー

「---これ以上、関わらないほうがいいわよ」
美穂が低い声で言うー

いつもの焼き芋を売っているときの美穂とは
別人かのようにー

「---菜々美!」
健太郎の友人が叫ぶ。

「あ~~~~~~~~~~~~~!」
美穂がイライラした様子が髪の毛をぐしゃぐしゃに
掻きむしった。

そして、呟くー

「面倒くせぇな」
とー。

「---な、菜々美…!?」
彼氏が驚きながら言う。

省吾は、一瞬、いつものように顔を
出そうかとも考えたが、
出してはいけない気がしたー。

身を潜めて、様子を見守る。

「---お、俺、何か悪いことしたか?
 なぁ、菜々美!」
彼氏はなおも必死に叫んでいる。

店主の美穂は、鬱陶しそうに彼氏を無視している。

「----菜々美!
 頼むよ!何か悪いことしたなら教えてくれよ!

 俺だって、付きまとったりするつもりはないんだ!
 嫌いになったんならそれでもいい!

 でも、他のみんなも心配している!
 理由を教えてくれよ!」

「---」
店主の美穂は返事をしない。

「どうして、芋なんか売ってるんだよ!なぁ!?」
彼氏が叫ぶ。

「--芋なんか?」
美穂が立ち止った。

そしてー
恐ろしい形相で美穂が振り返る。

「--クソガキが…!
 もう一回言ってみろ」

鬼のような形相ー
彼氏が唖然とするー

「--あ…いや…菜々美…?」
彼氏は、美穂に睨まれて後ずさっているー

「---……どいつもこいつも、
 馬鹿にしやがって」

次の瞬間ー

聞いたことのない奇妙な音がしたー

「---!?」
物影からその様子を見ていた省吾は目を疑ったー

店主の美穂が
”ぱっくりと”割れたー。

まるで、昆虫が脱皮するかのようなー
皮を脱ぎ捨てるかのようなー

「ぎやああああああああああああ!?」
彼氏が叫ぶー

「--この女は、わしのものだー
 彼氏だかなんだか知らないが、
 ぜんぶ、わしのものだ」

老人のような声とー
美穂の綺麗な声が混じっているー

「な、、な、、な、ななみ…?」
彼氏の男が、恐怖に満ちた声を出す。

「--ななみ?
 くくく…そうだ!この女はお前の彼女の菜々美だ!

 でも、今はァ…」

皮から飛び出していた男が、再び
菜々美の皮を身に着けるー

「もう、菜々美じゃないのぉ!
 あっははははははぁ♡」
狂った笑い声を出す美穂ー…
いいや、菜々美ー。

「--な、、なんだお前は…!
 菜々美に…何をしたんだ!」

彼氏の男が叫ぶー

「--お前も、同じ目に遭わせてやるー」
菜々美が笑みを浮かべたー

逃げ出す彼氏ー
菜々美は悪い笑みを浮かべながら、
その彼氏を追いかけたー

一人残された省吾は、その場で
震えることしかできなかったー

・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

大学で、親友の健太郎が
暗い表情で、省吾の前にやってきたー

「---…」
省吾も、昨日のことを考え込んでいて
その表情は暗い。

「---よぉ…」
あまりにも元気のない健太郎。

省吾は「どうかしたのか?」と尋ねる。

すると、健太郎は口を開いた。
「彼女と音信不通になった友人の話、しただろ?
 あいつがー今朝、変死体となって発見された」

健太郎の言葉に、
省吾は凍り付くー

そして、昨日の光景が、
脳裏に浮かぶのだったー

・・・・・・・・・・・・・・・

「--ーくくくくくく、この女の彼氏も
 始末してやった…!
 
 この女はわしのものだ…!」

菜々美の自宅ー。
散らかった部屋で菜々美はゲラゲラと笑うー

「わたしは…焼き芋を売る女よ…!
 くくく、あははは、ははははははははっ♡」

部屋で、
偽名を名乗り、焼き芋を売っている菜々美は
げらげらと一人、笑っていたー


③へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・

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次回が最終回デス~!

焼き芋…
私は何年も食べてないですが、
食べるとおいしいですよネ…!

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無名

Author:無名
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