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<憑依>憑依警察①~対策~

裏社会で出回る憑依薬ー

しかし、乗っ取られた人間が罪を犯せば、
現行の法律では、乗っ取られた人間が罪を被ることになってしまうー

そんな状況に危機感を抱いた警察組織は
秘密裏に”憑依警察”を結成したー。
-----------------------

「くくく…ふふふふふ…ひゃはははははははははは!」
遊園地で、セーラー服姿の女子高生が暴れているー

突然、ナイフを手に、暴れ出したのだー。

「---紗代(さよ)ちゃん!どうしちゃったの!」
友達らしき二人の女子高生が必死に声をかける。

「うるせぇ!
 おれ…いいや、わたしは、お前らみたいなリア充が
 むかつくんだよぉ!あっははははははは!」
狂った笑い声ー

大人しい女子高生であったはずの紗代が
表情を悪魔のように歪めて、
さっき刺した男の頭を踏みにじっているー

「--動くな!」
警察官が駆け付けるー

「へへへへ…うひひひひひひっ♡」
紗代は、警察官の前で挑発的に
自分の胸を揉み始める。

「ぐへへへ…♡ ひひひ、ひひひひひひひひ♡」

警察官たちが、紗代を包囲してー
やがて、紗代を確保するー。

「確保!確保!」
紗代は狂ったように笑ったまま、逮捕されたー

女子高生による凶悪事件ー
犠牲者は6名ー。

しかしー
取り調べを受ける彼女の様子は
まるで別人のようだったー

「わたし…何も覚えていないんです…」
泣きながら紗代が身体を震わせているー

「--しかしだなぁ」
警察官が困り果てたように言う。

映像がきっちり残っているー。
目撃者も大勢いるー。
紗代が、罪を犯したのは間違いないー。

「----…」

紗代が、犯罪者となることは、避けられない
”現行の法律”ではーーー。


1週間後ー
別の事件が起きるー。

美人OLが、大量の現金を着服して、
裏社会の組織に流したのだー。

逮捕される美人OL-。
証拠はくっきり残っているー。

だがー
彼女は、「そんなこと、記憶にありません!」と叫ぶー。

容疑者が”嘘”をつく。
よくあることだ。

しかし、彼女の場合もー
先週事件を引き起こした女子高生・紗代の場合もー
”嘘”ではない。
本当に本人には記憶がないし、
本人はそんなことをしていない。

何故ならー
彼女たちは”憑依”されて、
犯罪に利用されてしまっただけなのだからー。

そのことを知る人間は”ごく一部”

憑依薬の存在を知る警察上層部と、一部の政治家、
そしてー
秘密裏に結成された”憑依対策班”の
メンバーたちだけだ。

”憑依薬”
2年ほど前から、裏社会で出回った悪魔の薬ー。
他人の身体を支配し、乗っ取ることが出来てしまう、
最悪の薬ー。

これによる犯罪が続出した。

犯罪とは何の関係もないような人間が
憑依されて、乗っ取られて犯罪を犯すー。

犯罪を犯した側は、乗っ取った人間に
全ての罪を擦り付けて、今日ものうのうと生き続ける。

例えばー
1か月前に起きた事件ー。
女子大生・吏子(りこ)が、下校中の女子高生を襲い
暴行を加えた事件ー。

吏子は、憑依された被害者だー。
しかし、吏子に憑依して、女子高生を襲った男は、
”何の罪にも”ならないー
憑依などということに対する法律が一切ないためだ。

罪は、乗っ取られていた吏子が被るー

”吏子”が”女子高生”を襲ったー
ということは事実であり、
現行の法律では吏子による犯罪となり、
吏子が逮捕されてしまうー

そして、吏子に憑依した男は、今日も
平然と普通に過ごしているー
法律上、男は何の罪も犯していないー

もちろん、憑依薬の存在を明るみに出して
法律を改正することもできた。

だがー…
”憑依薬の存在”を明るみに出すことができないー

出せば、社会が混乱する。
憑依薬を手に入れようとするものが現れるー
確かに、憑依の存在を明るみに出せば
”乗っ取られた人間”を逮捕せずに
”乗っ取った人間”を犯罪行為として逮捕することも
可能にはなるだろう。

しかし、それはできないー
”憑依薬”を明るみに出せば社会が混乱し、
崩壊する恐れがあるー

だからー
憑依薬の存在を知るごく一部の人間は、
”憑依対策班”
通称ー
”憑依警察”を設立したのだったー。

「---課長…、先日、憑依薬を手に入れた
 会社員の山貞 道治(やまさだ みちはる)ですが、
 明日、有給を取っているので、動き出しそうです」

憑依薬を手に入れた人間をマークする憑依警察ー。

彼らの仕事はーーー

”乗っ取られた人間”を見破り、
乗っ取られた人間が罪を犯す前に保護、
憑依している人間を特殊な技術で分離させ、
以降、憑依が行えないようにする

ことだったー。

乗っ取られた人間が罪を犯してしまえばー
通常の警察に逮捕されるし、
法律上、罪となってしまう。
そうなる前に、憑依された人間を探し出し、
”保護”するのだー

その人間が、罪を犯してしまう前にー

・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

「--あっ…!」
家で家事をしていた、若い主婦が、
うめき声をあげるー

夫は仕事中ー

1年前に結婚したばかりの若い妻ー・早紀(さき)は、
突然ニヤニヤし始めるー

「--へへ…」
作っている途中だった料理を作るのをやめて
ニヤニヤしながらそれをごみ箱に放り投げる。

「---……ふん」
早紀は、自分の服を見つめるー。
大したものは持っていない。

「--せっかく女の身体を奪ったんだから、
 エロい格好してぇよなぁ」
早紀がぐふふ、と言いながら
自分の部屋を乱暴に荒らすー

そしてーー
早紀の高校時代の制服を見つけると、
「ははっ!これでいいや」と笑みを浮かべるー。

25歳の早紀が、JKの格好をして
姿見の前でポーズを決める。

「えへへへへ…いぇい♡」
可愛らしくピースする早紀。

「ははっ!無理すんなよ~!
 もうJKって年じゃないだろ~?」
早紀は、そう言いながら自分の顔をつんつんとつついたー。

「----さぁて…せっかく手に入れた憑依薬で
 なにをすっかなぁ…」
早紀に憑依したのはー
同じマンションに住む会社員・山貞という男だ。

山貞は裏ルートで憑依薬を手に入れて
近所の人妻である早紀に憑依、
早紀の身体で悪さをしようとしていたー。

「--」
マンションの側では”憑依警察”の若き捜査官・
橋川(はしかわ)と、年配の捜査官・久留米(くるめ)が
”憑依薬を手に入れた山貞”をマークしていたー。

「……」

マンションから出てきた女性を見つめるー

橋川も久留米も、眼鏡をしているー。
この眼鏡は”憑依警察”の捜査官が使う特殊な眼鏡で、
”憑依された人間”を見つめると、
オーラのようなものが見える、というものー。

マンションから出てきた女性には、
特にそれがない。

”シロ”だ。
憑依されていない。

「---マンションから、目を離すなよ」
年配刑事の久留米が言う。

「はい」
若き刑事・橋川が頷く。

”憑依薬により、霊体になった場合”も
オーラでそれを察知できるー

もしも、マンションの自室にいる山貞が憑依薬を使って、
霊体の状態でマンションから出て行った場合も、
それを察知できるのだー

「--ん!?」
久留米が声を上げる。

マンションから、ツインテールの女子高生が出てくるー
なんだか、少し不自然な感じだー。

その女子高生はーー
乗っ取られた人妻・早紀だった。
女子高生時代の制服を着せられて、
ツインテールにされてしまった早紀が、
ニヤニヤしながら出てくるー

早紀の背後に、黒いオーラのようなものが見えるー

「--憑依された被害者を確認」
久留米が無線で他の捜査員に伝える。

”了解”

憑依薬を手に入れた時点で、
相手を確保することは難しいー
裏社会から手に入れた薬が
”憑依薬”なのかそれとも”別のもの”なのか
判断が難しいからだー。
むやみに逮捕することは、できない。

だがー
こうして他人に憑依して…
悪さをしようとした段階であれば、
”ほかの名目”で連行することができる。

そして、連行後に憑依のことを吐かせて、
憑依された人間を救い出すのだ。

尾行する憑依警察たちー

憑依を広めることができない故に、
出来るだけ、人の気配のないところで、
早紀を確保しなくてはいけない。

「んっふふふふふふ~」
嬉しそうに歩く早紀。

「---…憑依薬…恐ろしい薬だ」
尾行しながら年配刑事の久留米が呟くー。

前を歩いている早紀という女性は、
本人の意思とは関係なく
女子高生の格好をさせられて
髪型までツインテールにされているー
そして、これから、何かをさせられるー。

本人が今の自分の状況を知ったらー
悲鳴を上げるだろうー。
でもー乗っ取られている早紀は、
嬉しそうに歩いているー

「--他人の身体を好き放題にできるなんて…
 許すわけにはいきません」
若手刑事の橋川が言う。

尾行を続けるふたりー。

早紀に憑依した男・山貞は、
早紀の夫に恨みがあった。
ちょっとしたご近所トラブルがあったのだ。

ついでに、早紀は、山貞のタイプでもある。

だからー
早紀の身体を使ってーーー

「---んふふふふふふふ♡」
繁華街にやってくると悪い笑みを浮かべる早紀。

「--人妻の身体でJKの格好をして、
 これから男とホテルに行こうとしてるなんて…
 ぐふふふふふふ♡」
早紀は笑いながら、
一緒にホテルに行ってくれそうな男を物色するー。

まずは女の身体でエッチなことを体験してみたいー
そして、それが済んだらー

「--…ありゃ、男を物色してるな」
年配刑事の久留米が呟くー。

「---」
若手刑事の橋川がその様子を見つめるー

「男を誘い出したら確保だ」
「はいー」

見張る二人の刑事ー

そしてー

「ねぇ…♡ わたしと一緒に遊ぼうよ…♡」
早紀が、チャラそうな男に声をかけた。

甘い声を出して誘惑するー

最初は警戒していた男だったが、
早紀が男に身体をくっつけて
男の手を取って胸をさわさせたりして
男を落としていくー

男がその気になって
早紀と一緒にホテルに行こうとするー

「--はいはい、そこまで」
年配刑事の久留米が顔を出す。

「-!?」
男と早紀が表情を歪めるー

「--女子高生が、どこに行こうとしてるのかな?」
若手刑事の橋川が言う。

早紀が女子高生ではないこと
既に分かっているが、
名目上”女子高生がホテルに行こうとしていた”ということで
保護をするー

「--…わ、、、お、、俺、、じゃない…わ、、わたし…
 ホテルになんて行こうとしてないもん!」
普通の女子高生のふりをする早紀。

「---無理すんなよ」
年配刑事の久留米が耳打ちする。

「---その女性に、憑依してるのは分かってるんだ。
 山貞ー
 他人の身体で、悪さなんてさせねぇぞ」

久留米が脅す口調で言うと、
早紀は青ざめた表情で、「くそぉ!!!」と叫んだー

・・・・・・・・・・・・・・・・

取調室ー

早紀が、不貞腐れた態度で、取り調べを受けているー

「--なぁ、刑事さんよぉ」
早紀が、女の声で、普段絶対しゃべらないような言葉を
口にするー。

「---…」
久留米と橋川は、早紀の方を睨む。

「--憑依薬ってすげぇだろ?
 この女は今、俺の思いのままだ」
早紀は自分の胸を触りながらニヤニヤするー

「JKの格好させたり、髪型を変えたり、
 そう、胸を揉んだりエッチしたり
 犯罪させたりするのも俺の自由だ!
 ひははははははは♡」
早紀はだらしない座り方でゲラゲラと笑うー

「--ふざけるな!その人はお前の道具じゃないぞ!」
橋川が机を叩いて叫ぶ。

「--ひひ」
早紀は完全に乗っ取られているー

「--憑依薬をどこで手に入れた?」
久留米が言う。

ある程度のルートは分かっているが、
その深部までは分かっていないー

「--しらね~なぁ」

足を広げながら椅子に座って
挑発的に鼻をほじる早紀。

「-----…」
久留米と橋川が早紀を睨む。

早紀に憑依している山貞は、
早紀の身体に憑依している限り
刑事たちには何もできないだろうと
調子に乗っているー

しかしー

「何も話す気はない、と?」
久留米の言葉に
早紀は、「あぁ、そうだよ!ばーか!」と
言いながら指を突き立てたー。

「---”憑依警察”をなめるなよ」
久留米はそう言うと、
立ち上がって、背後の装置を指さした。

「-!?」
早紀の表情が歪むー

「憑依を強制的に解除する装置だー。
 これで、山貞、お前をその女性の身体から
 追い出すことができるー」

「--…!!」
驚く早紀。

久留米が素早く早紀を取り押さえて
その装置に座らせるー

抵抗しようとする早紀。
しかしー”女の身体”で、刑事2人に抵抗できるはずもなくー
装置に座らされてしまうー

「うっ…うああああああああああああああ!!!」
微弱な電気が流れて早紀の身体が震えるー。

そして、山貞の意識が装置に吸収されるー

ぐったりとする早紀ー。

「--本人が意識を取り戻す前に、
 対応を」

久留米が言うと、橋川は頷く。
女性の憑依警察がやってきて、
早紀を預かると、JKの服装のまま早紀が
目覚めてパニックを起こさないように、
服を着替えさせていくー。

「----さて…」
装置を見つめる久留米。

そこには、100人以上の名前が表示されているー

山貞と同じように、他人に憑依したものたちの
意識が、ここに取り込まれているー。

憑依で悪さをしようとした人間は
ここに幽閉されているー
牢屋のようなものだ。

山貞の身体は、憑依警察が管理する
秘密の病院で、保管するー。

こうして、憑依された人間が悪事を働くのを
事前に防ぐ。

それが、憑依警察の仕事ー

だがー
これにも限界が近づきつつあったー
憑依薬の拡散が広まり、
さらに人数が増えればー
抜け殻になった憑依薬悪用者たちの身体の
保管も難しくなるし、
世間に隠しておくことも難しくなるー

「--憑依薬…早くなんとかしなくてはな…」
年配刑事の久留米は、そう呟いたー


②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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憑依薬で乗っ取られた人間が
悪事を行うことを事前阻止する
特殊な警察のお話デス~!

続きはまた明日~☆

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Author:無名
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