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<入れ替わり>目を合わせない男③~絆~(完)

目を合わせると相手と入れ替わってしまうー。

自分の意志とは関係なく、
”目を合わせた”
たったそれだけで、彼は、相手と入れ替わってしまう…。
---------------------

「あっ…!」

「えっ…」

中学時代、仲良しだった女子大学生・志穂。

そんな志穂に、
初めて”入れ替わり”のことを打ち明けた泰一。

だがー、
志穂は、”嘘”だと思って泰一の目を見てしまったー

そしてー

「嘘……」
泰一が口に手を当てて驚くー

目を見た瞬間、入れ替わってしまったー

志穂と泰一の身体が…

泰一(志穂)が驚きながら、
手を震わせているー

「--おい…!!!なにやってんだお前は!!!!」
志穂(泰一)が、女の声で激しく怒鳴り声をあげる。

「--今、説明したじゃねぇかよ!!
 なにやってんだよ志穂!!
 お前、、死ぬんだぞ!!!!」

志穂(泰一)が感情的になって泰一(志穂)の胸倉を掴むー

志穂の可愛らしい顔が、怒りに歪んでいるー

泰一(志穂)が困り果てた様子で志穂(泰一)を見る-

「ご、、ごめん…!
 だ、、だって、、、そんな話、いきなり信じられるわけないじゃない!!
 人の目を見ただけで入れ替わっちゃうなんて…!」

泰一(志穂)が涙目で言う。

「----…ごめん」
志穂(泰一)が、泰一(志穂)から手を離す。

また、大事な人を失ってしまうー
そう思っただけで、怖くなって
感情が爆発してしまったー

「俺は…あと何人、人を死なせればいいんだ…」
志穂(泰一)は綺麗な黒髪を抱えながら
自分のことを呪ったー

「志穂も…死んじゃう…
 ごめん…ごめん…ごめん…」
頭を掻きむしるようにしながら
志穂(泰一)が何度も何度も謝罪の言葉を口にしていくー。

「ごめん…志穂…ごめん…ごめん…」
志穂(泰一)のそんな様子を見て
泰一(志穂)が呟くー

「--わたしは死なないから」

「え…?」
志穂(泰一)が顔を上げるー

「---今までの人は、
 身体が拒否反応起こして、死んだんでしょ?」
泰一(志穂)が言う。

「--あ?うん…」
志穂(泰一)が戸惑いながら言う。

相手の身体が死ぬ理由はー
”拒否反応”を起こすからだ。
志穂の身体が、泰一の意識に拒否反応を起こし、
そして、志穂の身体が死に至る。

分かっていることは、
今回の場合で言えば、泰一は自分の身体に戻って
志穂が死ぬ、ということだー。
その直前に、泰一になっている志穂が突然寝落ちしてー、
そして、その数秒、場合によっては数分後に、
志穂の身体が激しく苦しみだして、そしてー死ぬ…

それを”阻止”することができればー

「で、、、でも…どうやって?」
志穂(泰一)が困り果てた表情で言う。

拒否反応なんて、どうにもならないはずだ。
志穂の身体が泰一の意識を拒否して、
反応を起こせば、志穂の身体は死ぬー。

「---ふっふっふ…
 わたしの身体が、泰一の意識を受け入れればいいんでしょ?」
泰一(志穂)はなんだか悪だくみをしているかのような
不気味な笑みを浮かべたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・

「----と、いうことで!」
泰一(志穂)が笑いながら
可愛らしい部屋で手を広げる。

「-----」
志穂(泰一)が戸惑いの表情を見せる。

「わたしの家へ、ようこそ~!」
泰一(志穂)がハイテンションで言う。

「---………お、、おう?」
志穂(泰一)は、きょとんとしている。

志穂も一人暮らしー
その家に、連れ込んでくるとはどういうことか…?

「---わたしの身体が、泰一の意識を拒否しなければー
 死ななくて済むんでしょ?」

「---ま、、まぁ…そういうことかな?」
志穂(泰一)は、自信なさそうに言う。

”身体が拒否反応を起こして死ぬ”
だったらー
拒否反応が起こらないようにすればー
志穂の身体は死なないのかもしれないー

だがー
相手の目を見たら入れ替わる、というのも解せないし、
自分だけが助かって、元に戻る理由も分からないー
一体、自分はどうなってしまったのだろうかー。

あの”山田スペシャル”-
高校の理科の授業で、山田が薬品を混ぜまくって
化学反応を起こしたアレを浴びてから、
泰一の目はおかしくなったー。

アレと何か関係があるはずだが、
山田はもういないし、山田スペシャルが、どんな薬品の
組み合わせで作られたのかもわからず
調べることは困難だったー。

「よし!だったら!」
泰一(志穂)が叫ぶー

その声で、志穂(泰一)が我に返るー。

「--拒否反応は、愛でやっつけましょ」
泰一(志穂)の言葉に、
志穂(泰一)は、唖然とするー

「は?」
志穂の可愛らしい顔に戸惑いが浮かんでいるー

「---身体が拒否反応を起こすのは
 きっと、相手のことが好きじゃないからよ。

 だったら、わたしと泰一がお互い好き好き~!になれば
 わたしの身体も拒否反応を起こさず
 泰一の魂を受け入れるんじゃないかな?
 そしたら、わたしも、死なずに済んで一石二鳥~~!」

泰一(志穂)が、名案!とひとりで納得しながら笑う。

「--え…?いったい何をさせる気なんだ…?」
志穂(泰一)は戸惑う。

「…一石二鳥って・・・?」
志穂(泰一)が首を傾げるー

”拒否反応を起こさずに、志穂が死ななくなる”

もう一つはー?


「---き、気づいてないならいいの」
泰一(志穂)が顔を赤らめる。

「--な、なんで顔を赤らめるんだ!?
 顔を赤らめた自分の顔なんて見たくねー!」
志穂(泰一)が叫ぶ-。

志穂は中学時代から泰一のことが好きで、
”泰一と関係を持てる”ことも含めて
一石二鳥と言ったのだが、
泰一は全く気付いていなかったー

「と、とにかく!!」
泰一(志穂)が壁ドンしてくるー

「え…」
志穂(泰一)が戸惑う。

「一緒に、いっーぱい、遊びましょ?」
泰一(志穂)の目ー

志穂(泰一)はようやく気付く。

「ま、、まさか…え、、エッチなことをする気か…?」

志穂(泰一)は「だめだだめだだめだ!」と逃げようとするー

だが、泰一(志穂)が志穂(泰一)の手を掴むー

「待ってよ!」

!!!!

志穂の身体になった泰一は、
泰一の身体になった志穂の力に戸惑うー

志穂は、”女性”として、腕に力を込めているー
だが、泰一の身体になっているため、
思った以上に力が入ってしまっているー

逆に、泰一は”男性”として、腕を振り払おうとしたー
だが、志穂の身体であるために
思った以上に力が入らないー

そのことに戸惑った志穂(泰一)は
とっさに力強く、泰一(志穂)の手を振り払ってしまうー

「--ひゃっ!?」
泰一(志穂)が少し驚くー

「--き、、急にエッチなんて!どうかしてる!!」
志穂(泰一)はそう叫ぶと、
志穂の家の洗面台の方に立ち去って行ってしまうー

「---…」
泰一(志穂)は、複雑そうな表情を浮かべたー。


洗面所に逃げ込んだ志穂(泰一)は戸惑っていたー

鏡に映る志穂の顔ー。
この身体も、もうすぐ、死んでしまうー。
まだ、今日は大丈夫だろうー

だが、高校時代のクラスメイト・山田は入れ替わってから
3日で死んだ。
妹・利紗子のように1週間以上持つとは限らない。
山田より早い可能性だってあるー。

「急に家に連れ込んでエッチなんて…
 なに考えてるんだ志穂は」
志穂(泰一)は不満そうに呟くー

いやーー…。

頭を冷やした志穂(泰一)は、
冷静になるー。

今までにも、色々と試したー
妹の利紗子と入れ替わってしまった時には
キスをしたり、階段から転げ落ちてみたり
色々と話したー。

その話も、さっき、志穂に話している。
”色々試したけど、戻れなかった”とー。

志穂は必死に”助かる方法”を
考えているのかもしれないー

入れ替わっても、
なんだか真剣に考えていない様子の
志穂に腹を立てていたがー
本当は無理して気丈にふるまっているだけなのかもしれないー

「----」
洗面所から、部屋の方を覗くー

泰一(志穂)は、窓の方を見つめて、椅子に座っているー

その身体はぶるぶると震えていたー
怖がっているー。

入れ替わってしまって、
数日後に死ぬーー

その運命を知って
怖がらない人間なんて、ほとんどいないだろうー

志穂(泰一)はため息をついたー。
”戻れる可能性があるなら、なんだってやるべきか…”
とー。

「---志穂…」
志穂(泰一)が、複雑な表情を浮かべながら
洗面台から、部屋の方に戻っていくー

泰一(志穂)が慌てて目のあたりをこすって
振り返るー

「な、、なぁに?
 急に変なこと言ってごめんね」
泰一(志穂)が、目に涙を潤ませながら言う。

「---はぁ~」
志穂(泰一)は思わずため息をついた。

「-俺の身体が泣いてるの見るなんて…
 なんか、こう、気持ち悪いな」
志穂(泰一)が苦笑いすると、
泰一(志穂)も苦笑いしたー。

「そんなこと言ったら、”俺”とか言ってる
 わたしの身体を見るのも気持ち悪いケド?」

少しだけ、和やかな空気が流れて、
志穂(泰一)はため息をつくー。

「---助かる可能性があるなら、
 なんだってやるよ」

志穂(泰一)の言葉に、
泰一(志穂)は頷いたー

「あ…」
志穂(泰一)が思い出したかのように言う。

「でも、俺、エッチなこととか、あんま詳しくないし
 そもそも女の人の身体じゃ、どうすりゃいいか
 さっぱりだけど」

志穂(泰一)はそう呟く。
そういう経験が、ないのだー。
入れ替わったときも、誰かとエッチなことをした経験がないー

だから、どうすればいいかー

「---わたしも」
泰一(志穂)が笑う。

「適当に、なんとかしよっ!」

「適当!?」


苦笑いしながら二人は、適当にイチャイチャして、
やがて、エッチなことをするのだったー

相手のことを愛すればー
”拒否反応”が起きて死んだりしないかもしれないー

そんな風に願いながらー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1か月後ー

泰一は、複雑そうな表情を浮かべて
大学内を歩いていたー。

「---」
あれから1か月が経過したー。

二人の絆は強まったー

泰一は、初めて
”この人に死んでほしくない”と
そう思ったー

最初に入れ替わった多喜恵は、
まだ”死ぬ”とは思ってなかったから
そんな感情は抱かなかった。

妹の利紗子もそうー。
利紗子はとても大切だったが
まさか死ぬとは思ってもなかったー
だから、泰一になった利紗子が眠りにつくまでー
”利紗子、死なないでくれ”という、強い感情は
抱かなかったー

そのあとに入れ替わった人たちもそうだ。
自暴自棄に適当に入れ替わってた時期もあるー。

だがー
今は違う。

このままいけば今まで通り志穂が死ぬことも分かっていたし、
だからこそ、志穂を本気で助けたいと思っていたー

「---おまたせ」

そんなことを思いながら、志穂は泰一に声をかけたー

「---」
複雑な表情を浮かべていた泰一が振り返るー

あれから1か月ー。
志穂は、生きていたー

”入れ替わったまま”

泰一(志穂)が笑う。

「--どうしたんだよ、暗い顔して?」
志穂(泰一)が言うと、
泰一(志穂)が首を振った。

「--ううん、元に戻る方法は見つからないままだなぁ~って」
そう呟く泰一(志穂)

二人は、1か月経過しても無事に生きていたー

”拒否反応”は起きず、志穂の身体は死んでいないー
今まで、長くて2週間が限界だったー
だが、今回は違う。

理由ははっきりとは分からない。

けれどー。
愛し合ったことで
拒否反応を免れたのかもしれないー

「…ま、ゆっくり考えていこう」
志穂(泰一)が言う。

長かった黒髪はショートヘアーになって、
動きやすそうなジーンズ姿の
男っぽい姿に変わった志穂(泰一)

逆に泰一(志穂)は少しおしゃれになっているー

お互い、相手の身体で生きていくことを意識して、
相手に許可を取ったうえでイメージチェンジしていたー

「それにしても、ボーイッシュなわたし、見るなんてなぁ~」
泰一(志穂)が笑う。

「はは、俺もおしゃれな自分を見るなんてな~!」

雑談しながら、今日はお互い、泰一の家で過ごす
約束をしていたため、泰一の家に入るー。

テーブルの前に座る泰一(志穂)。

「何飲む~?」
志穂(泰一)が聞くと、
「ジュースでいいや~!」と泰一(志穂)が笑う。

冷蔵庫を開けて、ジュースを取り出すー。

”元に戻る方法”はあるのだろうかー。
そんな風に思いながらー。

ジュースを2人分用意して、
志穂(泰一)はテーブルの方に戻るー。

「ふ~!お待たせ」
志穂(泰一)が、ジュースをテーブルの上に置くー

「-----あれ?志穂~?」
笑いながら志穂(泰一)は、泰一(志穂)を呼ぶー

穏やかな表情で、目を瞑っている泰一(志穂)

「---…え」
志穂(泰一)は、一瞬、何が起きたのか理解できなかったー

穏やかにー
眠るようにー
目を瞑っている
泰一(志穂)-

それが意味するものを悟るまで、
もうわずかな時間しか残されていなかったー


おわり

・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

なんだか怖い感じの入れ替わりモノになりました~!

入れ替わりしたい人でも、
この入れ替わりだと、ちょっと不便ですネ~汗

お読み下さりありがとうございました!!

コメント

No title

悲しい話……

Re: No title

> 悲しい話……

コメントありがとうございます~!
私も書いていて悲しくなりました~汗
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無名

Author:無名
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