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<入れ替わり>一番おかしなプロポーズ①~決意~

いつも楽しそうでー
幸せな、とあるカップル。

そんなカップルが”プロポーズ”の瞬間に
入れ替わってしまう…!!
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ごく普通の家庭ー
女子高生の美鈴(みすず)は、
学校から帰宅すると、母親と雑談していたー

美鈴は、最近、彼氏が出来て上機嫌だー。
彼氏と言っても、小学時代から
一緒に過ごしてきた幼馴染だから、
付き合いだす前も、付き合いだした後も、
あまり変わっていないー。

彼氏である英吾(えいご)のことを
嬉しそうに話す美鈴。

母は、そんな美鈴を見て、
「ホント嬉しそうだよね~」と半分苦笑いを浮かべたー

「いつか英吾と結婚するのかな~」
そんな風に呟く美鈴。

美鈴は、「あ!」と声をあげると
「そういえば、お母さんとお父さんって、
 どっちからプロポーズしたの?」と
興味深そうに母親に聞くー

母親は
「え~???う~ん」と、しばらく考え込んだー

”どっちがプロポーズしたのか”を
思い出すのにそんなに時間ってかかるものなのかな?と
美鈴が苦笑いしながら、母親の反応を待つー

1分ー

2分ー

長い沈黙が流れるー。

「---ちょ、、お、、お母さん…?
 お、、覚えてないなら別に、いいんだよ?」
美鈴が気まずくなって、言うー。

「え?あぁ~うん…
 覚えてないというか…」
母親が笑いながら、
「私からしたのよ」と、答えたー

「え~~~~!」
美鈴は目を輝かせながら言う。

「お母さんからプロポーズしたの~?
 わたし、絶対お父さんからプロポーズしたと
 思ってたんだけどなぁ~」
美鈴はそう呟くと、

「プロポーズのときのこと、教えてよ!」
と、笑うー。

「--う~ん」
母親は、困り果てた表情で呟くー

「--そのうち、ね」

そう言うと、母親は、そのまま立ち上がって
晩御飯の準備を始めたー

「え~~~!?
 実は最初はあんまり仲良くなかったとか、
 そういうやつ~?」

そう呟く娘の美鈴に背を向けながら
母親は心の中で思うー

わたしたちのプロポーズは…
普通の人じゃ、絶対にあり得ないプロポーズ…

そうー
”一番おかしなプロポーズ”なのー

とー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

18年前ー。


”大学を卒業したらプロポーズする”
彼は、心にそう誓っていたー

そして、ついに、その時がやって来るー

彼女の丸川 加里奈(まるかわ かりな)を
デートに誘い、遊園地デートを楽しむー

何も知らないのかー
それとも、なんとなく気配は察知しているけれど
”あえて”何も言わないのかー

加里奈は、いつものように、とても楽しそうに遊園地を楽しんでいたー

加里奈と付き合い始めた高校生の頃から、
この辺りは、変わらないー。

(勇気を出せ、俺ー)

楽しそうにしている加里奈を見つめながら、
彼氏の浪山 幸久(なみやま ゆきひさ)は、
プロポーズする勇気を必死に振り絞ろうとしていたー

婚約指輪は用意しているー

あとは、”プロポーズ”するだけー。

最初は、派手な演出とか
凝った演出をしようかとも思ったが、
親友の茂雄(しげお)と相談した結果ー
”シンプルにプロポーズ”することにしていたー。

派手な演出をすることで、逆に加里奈が引いてしまうかもしれないし、
加里奈が”断りたい”と思っても
断り切れなくなってしまう可能性もあるー

加里奈のことを第1に考えた結果ー
幸久は、シンプルにプロポーズすることを決めていたー

「あ~~楽しかった」
加里奈が、嬉しそうに笑うー

プロポーズのことを考えているうちに、
半分無意識に遊園地を回っていた幸久ー

苦手なジェットコースターも無心のまま
乗り終えていた。

それほどまでに、彼は緊張していたー。
プロポーズを受けてくれるだろうかー
それとも、断られるだろうか。

高校生の頃からの付き合いである加里奈とは、
今もとても仲良しだー

しかし、プロポーズとなれば話は別だー。
加里奈に拒絶されてしまう可能性だってある。

”今、プロポーズすれば、絶対にOKしてもらえる”なんて
思えるほど、幸久はうぬぼれてはいない。

最終的に”OK”するか”No”と言うか、
それは、加里奈の気持ち次第だし、
Noと言われても、加里奈のことを恨んだりはしないー。
加里奈にYesと言ってもらえるほど、自分には
魅力がなかった、ということなのだからー。

ライトアップされた遊園地の広場に出ると、
幸久は、ついに勇気を振り絞って、立ち止まったー

「加里奈…
 今日は大事な話があるんだ」

立ち止った幸久の方を見る加里奈ー

「---大事な話…?」
加里奈が不思議そうにしているー

プロポーズされるー、と
気付ていないのだろうか。
それともーーー
あえて、気付かないフリをしているのだろうかー

「----」
幸久は、深く深呼吸をしたー。

人生で、一番、勇気を振り絞ったかもしれないー

「---俺と…」
幸久は、ひと思いに口から言葉を絞り出す。

ここで逃げたらー
一生後悔するー

俺は、逃げないー

「俺と、結婚してくださいーーーー!」
膝をついて、婚約指輪の入った容器を開き、
目を瞑るーーー

遊園地の騒がしい音ー
遊園地の乗り物の音ー
遊園地の園内に流れている放送の音ー

それしか、耳に入らないー

長い沈黙ー
幸久は、”ダメか…”と心の中で思い始めるー

プロポーズを受けてくれるのであれば、
こんなに長い時間「間」があるとは思えないー

いやー
それとも、驚きで声も出なくなってしまっているのかー

”-----”
幸久は、恐る恐る目を開いたー

「-----!?!?!?!?!?!?

 え……」

幸久は、信じられない光景を見て、思わず唖然としてしまうー

目の前にーーーー
膝をついて、婚約指輪の入ったケースを差し出している
自分がいたのだーー

「----!?!?!?!?!?!?!?!?」

”!?”としか、言えないような衝撃的な状態ー


「え……え……????」
幸久は戸惑いを隠せないー

自分の身体を慌てて見つめるー。

すると、そこにはー
おしゃれな格好をした自分の身体ー
膨らんだ胸と
綺麗な手ー
長い黒髪ー

「え……こ、、、これって…!?!?!?!?」
遊園地の風景を見つめながら
幸久はーー
理解した。

”プロポーズの瞬間に、
 入れ替わってしまった”

呆然としながら周囲を見渡すー

カップルやー
家族連れー
泣きわめく子供を乗せたベビーカー…

色々な人たちが、
”何事もなかったかのように”通り過ぎていくー

あまりにも非現実的すぎるその出来事に
加里奈になってしまった幸久は
”え…!?!?これ、夢だよな?”と
首をかしげるー

しかしー
どう考えても夢ではないー
このリアルな、生々しい感覚は
紛れもない”現実”

「------------」
幸久(加里奈)は、膝をついて
婚約指輪を差し出したままー

「こういうのって…」
加里奈になった幸久は、
戸惑いながら考えるー

人と人が入れ替わる映画とかドラマを
何個か見たことがあるー。

まさか、それが現実で起きるなんてー

自分が加里奈になっているということはー
幸久の身体の中には、加里奈がーーー

「か、、加里奈…!」
加里奈(幸久)が声を出すー

いつも身近で聞いていた加里奈の声を
自分が出しているー

そんな状態に困惑しながらもー
そんなことを気にしているほどの冷静さもなかったー

「----え」
幸久(加里奈)が目を開くー

膝をついたまま、幸久(加里奈)は
加里奈(幸久)の方を不思議そうに見つめたー

「--か、、加里奈…お、、俺たち…い、、入れ替わってる!」
加里奈(幸久)が言うと、
幸久(加里奈)は「えっ!?」と慌てて自分の身体を
見つめたー

「----」
そして、幸久(加里奈)は表情を歪めながら呟いたー

「---あ、、あの…加里奈…大丈夫?」
とー。

「--へ?」
加里奈(幸久)が戸惑うー

「--え…??え…あ、、、あの…、、
 か、、加里奈だよな?」
加里奈(幸久)は言う。

”加里奈の身体”に”幸久”がいるのだからー
目の前にいる”幸久の身体”には”加里奈”がいるはず。

それ以外には考えられないのだー

しかし…

「--え…?な、、何を言って…?
 お、、俺は幸久だけど?」


「え…」
加里奈(幸久)は唖然とするー

目の前にいたのはー
幸久(加里奈)ではなくー
幸久(幸久)だったのだー

・・・・・・・・・・・・・・

あれから、長い年月が経過したー。

娘の美鈴と雑談しながら
晩御飯の用意を進める母親はーー
加里奈だ。

あれからー
無事に幸久と結婚して、
娘も授かったー
それが、美鈴ー。

「---……」
複雑そうな表情で晩御飯を作り続ける加里奈ー

あんな経験をすることになるなんて、
夢にも思わなかったー

今でも、時々思うー

もしも、

もしもー

あの時、遊園地に行っていなければ
自分たちは、どうなったのだろう、とー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あの日ー

「え…ちょ…冗談…だよな?」
加里奈になった幸久は、
目の前にいる自分の身体ー
幸久に対してそう言い放った。

自分が加里奈になったということは、
”自分の身体は倒れている”か、
”自分の身体に加里奈が入っている”か、
それしか考えられない。

そして今、幸久の身体は、目の前に
他人として立っているー

つまり”中に誰か入っている”
ことを示しているー

だがー

「--ど、、どうしたんだ?加里奈…」
幸久が不安そうに加里奈(幸久)の方を見つめるー

「え…え、、、い、、いや、、お、、お、、俺が、幸久なんだけど?」
加里奈になった幸久は戸惑いながらそう呟くー

「--は???え…??い、、いや、加里奈…何言ってんだよ…?」
目の前にいる自分ー
幸久が戸惑うー

そんなことはないー
今、加里奈になっている自分こそが幸久だー。
一体目の前にいる、自分の身体を動かしているのは誰なんだー

「--お、、、俺からのプロポーズ…そんなに…嫌だったのか…?」
目の前にいる幸久の姿をした何かが、悲しそうに呟くー

「---え…い、、いや」
加里奈になった幸久は戸惑うー

てっきりー
”加里奈と幸久”が、入れ替わったのだと、
加里奈になった幸久はそう思っていた。

だが、目の前にいる、幸久になった加里奈…であるはずの幸久の
反応がおかしいー

確かに、自分が、反対の立場で、
加里奈が急に「俺が幸久だけど?」なんて
プロポーズしたタイミングで言い出したら
「そんなに嫌なのか…?」と、俺は言うだろう…

と、加里奈になった幸久は戸惑いながら考えるー

では、いったい何が起きているー?

”俺の身体の中にも、俺がいる?”
いや、そんなことはあり得ないー
間違いなく、加里奈の中にいる俺は幸久だー。

加里奈(幸久)は険しい表情で考え込むー

”加里奈のどっきり”だろうかー。
入れ替わって、俺の身体にいるのは本当は加里奈だけど、
あえて、ドッキリを仕掛けているのかもしれないー。
ここで俺が、加里奈としてプロポーズを受ければ…
「びっくりした~?」なんて言ってくるかもしれないー

”実は俺は幸久ではないー?”
そんな風にも一瞬思ってしまうー
例えば、加里奈の中に生まれた第2人格ー
加里奈が何らかの原因で「幸久そっくりの人格」を
創り出して二重人格になってしまい、
その加里奈の中の幸久人格が自分である説ー。

”いやいやいや、ないない!
 俺は絶対幸久だー”

「--…え、、、え~~~っと」
加里奈になった幸久は戸惑いながら答えたー

「プロポーズの返事は、1週間後、でいいかな?」

とー。

状況を見極めるための無難な返事ー

幸久(幸久?)は、「わ、わかった」と戸惑いながら返事をしたー

”こいつは誰なんだ?
 中身は加里奈じゃないのか?”

加里奈(幸久)はそう思いながら
幸久(幸久?)の様子を慎重に観察するのだったー


②へ続く

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プロポーズの瞬間に入れ替わり…
しかも、なんだか様子がおかしいですネ…?

続きはまた明日デス~!

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無名

Author:無名
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