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<憑依>憑依の代償③~代償~(完)

1回憑依するごとに、寿命が1日縮むー。

ローリスク・ハイリターン。

彼は、そう考えていたー
憑依能力で手にした
”ルーも具もあるカレーライス”のような人生ー。

しかし…
--------------------------

「ぷは~~~~~~~っ!」
真面目そうな女子高生が、校舎内であぐらをかいて
煙草を吸っているー

乱れたスカートからは、いろいろなものが見えてしまっているが、
彼女がそれを気にする様子はないー

「--あ~~~!一度吸ってみたかったんだよなぁ~煙草」
ゲラゲラ笑う女子高生ー。
とても、煙草を吸うような生徒には見えないー

だが、今、その彼女が、戸惑う先生たちを前にー
あぐらをかきながら煙草を吸っているー
まるで、この状況を楽しんでいるかのようにー

彼女は今ー
一平に憑依されていた。

”煙草は健康にどうこうとか言うけど、
 自分の身体じゃなきゃ、何にも気にする必要ないからな”

一平はおいしそうに煙草を吸い、
煙を可愛らしい女子高生の口から、鼻から噴き出すー

煙草を吸い終えると
先生たちの方を見て
「おいしかったですぅ~♡」と、変なポーズを取りながらほほ笑んだー

そのまま頭をぼりぼり掻きむしりながら、
あくびをすると、
立ち上がって、唖然とする先生や他の生徒たちを無視して
そのまま男子トイレに入っていくー

「---は~~~」
スカートを下ろして無意識のうちに、
立ちションをしようとする女子高生ー

「あ…俺 今、女だったんだ。面倒くせぇ」
そう呟くと、
”つか、他人の身体なんだから、トイレ済ませる必要ねぇか”

と、そのまま男子トイレの中で、
その子の身体から抜け出したー

真面目そうな少女が、男子トイレの床の上に倒れるー


”---38”
一平はそう呟いたー

これが、38回目の憑依ー

自分の身体に戻ると一平は、
手帳の正の字がたくさん書かれているページに
また一つ、線を加えたー

”憑依しすぎじゃない?”

美少女が、声を掛けてきたー
憑依能力をくれた美少女だー。
この美少女が何者なのかは、よく分からないー。
だが、どこにでも現れるし、他の人には見えてないっぽいし、
神とか悪魔とか精霊とか、そんな類のような気がするー。

「---……はは、心配は無用だ」
一平はそう言うと、
手帳を見せつけたー。

正の字だらけのページ。

それを見た美少女は表情を歪めたー。

「--ちゃんと、何回憑依したか確認してる。
 今は、38回だ。
 つまり、俺の寿命は38日縮んだことになる。
 まだ、1か月ちょっとしか縮んでない。

 これだけ色々楽しいことができるなら、
 十分だよ。」

憑依能力を手に入れて3か月ー
その間に、一平は38回の憑依を楽しんだー

今も、コンビニバイトは続けているー
当然、月美は、もうバイト先にはいないし、
一平のことを裏で嫌っていた高校生バイト・順太郎も、もういないー
”7回目”の憑依の時に、順太郎にも憑依して、
バイクを盗んで爆走してたら事故ってしまったからだー。

順太郎がどうなったのかはあまり知らないが
死んだのかもしれない。

「---やり過ぎには注意することね」
美少女は言うー。

「--はは、1000回やったって、3年ちょっと縮むだけだし…
 大丈夫大丈夫!
 さすがに1万回とかやったら30年縮んじゃうからやべぇけどさ」

一平はそう言いながら、
今日も、スーパーで購入してきた半額の幕の内弁当を口にするー。

”憑依”以外の日常生活は変わらないー

「そういえばさ」
一平が、美少女に向かって言うー

「俺の人生を”ルーのないカレーライス”って言ったよな?」
最初に、憑依能力を貰ったとき、美少女はそう言っていたー

一平は笑うー

「今の俺の人生には、
 ルーも、具材もついたぜ?」

とー。

日常生活は変わらないが、
”憑依”という最高の遊びを手に入れることができたー

”リスク”をとにかく回避しながら人生を送ってきた一平。

だが、他人の身体であれば、
その”リスク”を回避する必要がない。

順太郎に憑依したとき、バイクで暴走したのもそうだが、
”何も失うものはない状態”は、
一平が経験できない、いろいろなことを経験できる
最高のチャンスだったー

「---…そんな顔すんなよ」
美少女が困った不安そうな表情を浮かべているのを見て
一平は、笑ったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「---ひゃっは~~~~~~!」
朝の生放送番組中ー

突然、人気女性アナウンサーが、
スタジオ内で、
奇妙なダンスを披露し始めたー

生放送中の放送事故ー

一平が憑依しているのだー

”歴史に残る放送事故を俺が作るんだ”

憑依された人気女性アナウンサーは
奇妙なダンスを踊ったあとに、
テレビカメラに向かって「ふぁっく!!!!」と大声で叫び、
さらには、その場で意味もなく、ジャンプを始めた。

騒然となるスタジオー
テレビの生放送の映像は途切れて
CMが流されるー

取り押さえられるアナウンサー。
取り押さえられてからも、唾を吐き捨てたり、
その場で放尿したりとやりたい放題ー

”へへ”
憑依から抜け出した一平は、
すぐにネットを開いた

”放送事故”
ツイッターのトレンドにすぐにそれが入っていたー

「へへへへへへへ!」
”俺が世間の話題を、トレンドを作った”

そう思いながら、その話題を一平は見つめたー


一平の憑依三昧は、さらにエスカレートしていくー

子供に憑依して、ただ単に子供としての1日を楽しんだりー
アイドルに憑依して、ファンたちを罵倒したりー
AV女優に憑依して、AVの撮影を自らの身体で体感したりー
人妻に憑依して、浮気してみたりー、
男の娘に憑依して、外を歩いてみたりー、
OLに憑依して、上司の鼻に指を突っ込んでみたりー

憑依の限りを、尽くしたー

「----もう、やめなさい」
美少女が呟くー

「は?」
一平が笑う。

既に”250回”憑依していたー。

「ちゃんと記録してるから大丈夫大丈夫」
一平の返事に
美少女は「やめなさい!」と叫ぶー。

なぜ、この少女はそんなにムキになっているのかー。

「---250回・・・つまり、250日ー
 俺の寿命は1年も縮んじゃいない」

一平はそこまで言うと、
何が心配なんだ?と呟くー

美少女は答えないー

一平は”自分のペース”を徹底的に守っているー

特に、憑依するペースが上がっているわけでもない。
コントロールは一平なりに出来ているのだろう。

だが、それでも、美少女にとって
”困ること”があったのだー。

「---あなたが、そんなに憑依にのめり込むとは思わなかった」
美少女が言うー。

せいぜい、1、2回、10回ぐらいで飽きるだろう、と
そう美少女は考えていた。

一平は飽きやすい性格でもあるからだー。

「--うるせぇ!」
一平が言う。

「----」
美少女が険しい表情を浮かべるー

「---俺はちゃんと計算してるし、
 憑依を楽しんでるんだよ!
 大体、いつまで俺に付き纏うつもりだ!?
 憑依能力渡して、俺が受け取ったんだから、
 もういいじゃないか?」

一平の言葉に、
美少女は口を開いた

「あなたが死ぬと、わたしも困----」

「--あ~~~もう!消えろ消えろ!」
一平は面倒臭そうに、美少女を無理やり消すと、
そのまま、半額セールで購入してきた
冷凍食品のチャーハンを口に運び始めたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それからも、憑依を繰り返す一平ー。

可愛い女子高生を乗っ取り、
無理やり男のようにしてみるチャレンジを楽しむ一平。

散髪して、
ボーイッシュな格好をして、
鏡の前に立つー

「ひょ~~!無理やり男にしてるってのもゾクゾクするなぁ~」
嬉しそうに呟く一平ー


だがー

ズキッ!

激しい痛みが突然、一平を襲ったー

”なんだ!?”

慌てて憑依から抜け出す一平ー

一平の身体は、吐血していたー

「----」
一平はそれを見て表情を歪めるー

「--おい!1回1日って、本当だよな!?」
そう叫ぶ一平ー

”美少女”に確認しているー

今日が、364回目の憑依ー
つまり、364日分の寿命が縮んだことになるー。

「--本当よ」
美少女が悲しそうな表情で現れるー

「--じゃあ、この血は!」
一平が困惑しながら叫ぶとー

美少女は「だから忠告したのに」と、悲しそうに呟くー

美少女は、頻繁に”それ以上はやめろ、やめろ”を繰り返していたー
だが、一平は聞く耳を持たなかったー

「-----……寿命が縮んだ結果」
美少女の言葉。

一平は「--1年足らず縮んだだけで吐血とか、おかしくね?」と呟くー

「おかしくない」
美少女が言う。

「いいや、おかしいだろ!」
一平が言うー

「--おかしくない!」
美少女が叫んだー

「あなたの寿命はーーー
 わたしが憑依能力を渡した時点で、あと”700日”だったのだからー」

とー

「---!?!?!?!?」
一平が表情を歪めるー

憑依能力を使った回数は364回ー
つまり、364日の寿命が縮んだー。

そして、美少女から憑依能力を貰って、もうすぐ1年ー

寿命が、あと700日だったのだとすればーーー
そこから364日分引かれてーーー

俺の寿命は…

「---」
一平が表情を歪めるー

「お、、、お、、、おれの寿命は?」

「--あと、1日」
美少女は、そう呟いたー。


誰がーー
誰が、平均寿命まで生きられると言った?

「--う、、、う、、、う、、、嘘だ!」
一平が叫ぶー

そんなこと、あるはずがないー

「お、、俺を…俺を揶揄ってる!」
一平が美少女を指さしたー

「---からかってなんかない。
 わたしは、全部本当のことしか言ってない」
美少女は言うー

そうだー
最初からこの子は”嘘”は一度も口にしていない。

現実ではありえないと思った憑依能力もー
現実だったー。

誰がー
平均寿命まで生きられると言った?

いつから自分が
60歳、70歳、80歳まで
生きられると錯覚していた?

「---は、、ははは、、、ははははははははっ!」
一平は笑いだしてしまったー

やっぱり、あり得ないー
これは、嘘だ!

「--俺の寿命が30代までだって!?
 どうして?
 なんで?
 そんなことあり得るものか!?

 じゃあ、何故俺は死ぬんだ?言えるものなら、言ってみろ!」

一平が美少女を指さすー

美少女が即答したー

「---脳出血」

「----!」
一平は、表情を歪める。

脳出血なら、突然死ぬ可能性は十分にあるー

「は、、はははは!
 嘘だ!嘘に決まった!」
一平は叫ぶー

そう、嘘だー
一平に脳の持病はない。
つまり、突然の脳出血など、予測できるはずがないのだー

「---俺の寿命があと1日ってんなら、
 もう一度憑依すれば、俺は死ぬってことだよな?」

憑依能力を使うと寿命が1日減るー。
もし、もしも、自分が、自分の寿命があと1日ならばー
憑依能力を使ったとたんに、自分は死ぬはずなのだ。


「ははははっ!そんなことあり得ねぇよ!
 俺が、、俺が証明してやる!
 俺には見えるぞ!
 明日もバイト帰りに半額の幕の内弁当を購入して
 家で、インスタント味噌汁と一緒に喰ってる
 俺の姿が!」

一平は、目に涙を浮かべながら叫ぶー
美少女は冷たい表情で一平を見つめているー

”--あなたが死ぬとわたしは困るの”
美少女はそう呟いたー。

「--お前はいったいー…」

”死神”
美少女は、即答したー

「-----は、、、話にならねぇや」
一平は笑ったー

「--なんで俺の、、なんで俺の寿命が分かる!?」
一平が叫ぶー

”---憑依能力があるならー
 未来が見えても、おかしくないでしょ”

即答されたー

「う、、、嘘だ…!嘘だ」
頭を抱えてしまう一平ー

「---う、、嘘だ嘘だ嘘だ!
 俺は明日も、いつも通りの日常を送ってる!
 帰りに、スーパーで弁当を買ってる!
 俺には見える!!
 未来が見える!

 憑依して、それを証明してやる!
 お前も、お前も見てろよぉ!」

一平が叫ぶー

”……そう思うなら、そうしなさい”

一平は、美少女の言葉に、
怒りを感じて、
憑依能力を発動したー

”はははっ!やっぱり、やっぱり死なないじゃないか”

そう思いながら
ターゲットを探すー

今日はとてもイライラしているー
乗っ取った身体で滅茶苦茶にエッチしまくってやろうー

可愛い女子大生らしき人物を見つけた一平ー

「ははははっ!今夜のおかずはお前だ!」
一平はそう叫びー
女子大生の身体に突進したー

”まずは、この場で喘ぎまくってやーーーー”

・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

一平は、それを最後に、何も考えることができなくなったー。

寿命が尽きて、身体が死んだー
美少女人格が言っていた通り、
脳出血を起こしてー。

身体が死ぬと同時に、
一平の意識も、消えたー


彼のー
”代償”は、あまりにも大きかったー

あまりにもー。


おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

少しぐらい寿命を使っても大丈夫…なんて
油断していると…
こうなっちゃうかも…?

憑依は計画的に!

お読み下さりありがとうございました~!

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無名

Author:無名
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