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<憑依>今夜は性夜②~欲望の夜~

クリスマスイブ当日。

奥手だったはずの彼女の様子がおかしいー。

彼女の身にいったい、何が…?
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「--ふふふふ…早く早くぅ」
トイレに逃げ込んだ恒夫が戻って来るのを待ちながら
麻帆は、自分の露出している肩をイヤらしい目つきで
見つめながら手で触っているー

「-ーほらほらほらぁ…こ~んなに可愛い彼女が
 誘惑してるんだからさぁ~」
麻帆が舌を出して、ペロリと唇を舐めるー

「早く”俺”を満足させてくれよぉ~♡」
麻帆は、麻帆とは思えないような欲望に満ちた表情を浮かべて
鏡を見つめたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「---あ…あ…あ…」
恒夫はトイレに引きこもって頭を抱えていたー。

恒夫は、大学生になるまでー
麻帆と付き合い始めるまで、
恋愛経験が全くない。

当然、奥手なタイプの恒夫が
付き合ってもいない女子に手を出すわけがなく、
恋愛経験も性的なことの経験も全くない状態だったー

そんな恒夫にまるで合わせたかのような
ピッタリな相手ー
それが、麻帆だった。

しかしー
今日の麻帆は何だか変だー
麻帆は普段から落ち着いた服装ばかりだし、
男子を誘惑するようなそぶりも一切見せない。

付き合い始めたばかりのころには、
麻帆の友人から、
麻帆には恋愛経験はなく、
性的な話題も、行為も苦手だから、
優しくしてあげてね
と、言われていたー

その麻帆がミニスカサンタの格好で
肩や胸元まで露出させるような服装をしているー

そして、恒夫を誘惑しているー

「麻帆…ど、どうしちゃったのかな…?」
困惑する恒夫ー

恒夫は激しくドキドキしていたが、
それ以上に、恒夫は”怖い”という感情も抱いていたー。

どうして麻帆が急にこんなー。

「ねぇ~~~恒夫~~!早く気持ちよくなろうよぉ~♡」
しびれを切らした麻帆が、トイレの扉の外から
声をあげるー。

「--今夜は聖夜だよ~!
 性・夜!
 ふふふふふふっ♡」

麻帆の甘く、狂ったようにも聞こえる声ー

「ね、、ね、、ねぇ、、あのさ…
 ぼ、僕…、そういうの、よく分からなくてさ…
 その、急に言われても、どうしたらいいのか」

裏返った声で言う恒夫ー。

本当に、どうすれば良いのかわからないー。
と、いう様子でー。

「---…ふぅ」
麻帆がため息をつくと、
「わたしに全部任せておけばい~の!」
と、声をあげたー

「--く、、く、クリスマスイブって、みんなこんなことするものなの?」
恒夫が戸惑いながらトイレの中から麻帆に問うー。

麻帆は「--わたしはしたいの♡」
と、甘い声を出した。

「----…で、、でも…」
恒夫はなおも、トイレの中に引きこもっているー

やっぱり無理だー
僕には無理だー

そんな考えが頭をよぎって支配してしまうー。

男は性欲の塊、みたいなことを言っている女子もいたが、
それは違うー

”僕はそんなことしなくたっていいんだ”
恒夫は、本気でそう思っているー

大好きな麻帆と一緒にいられるだけでいい。
エッチなことをしようなんて考えたこともないし、
想像したこともない。
将来、もしも結婚したりしても、
そういう想像がまるで、できないー。

「ーーぼ、僕…いいよ…そういうの…
 麻帆だって、苦手だよね?
 だから、ホラ、一緒に、一緒にクリスマスイブの夜を過ごせるだけでいいんだ!」
恒夫が必死に言うー

麻帆が扉の外で「いいから出てきて!」と声をあげるー。

「--じ、じゃあ…もう、普通にいつも通りしてくれるって約束してくれる?」
恒夫がトイレの中から震えながらそう呟いたー。

「-いいから…早く出てきて」
麻帆の声のトーンが少しだけ下がったー

怒りが伝わって来るー

「わ……え、、えっと、だから、普通に」

「いいから出て来いよ!!!!!!!!!!!!」
麻帆が大声で怒鳴ったー

普段の大人しい麻帆とは思えないー

「や、、や、、やっぱ変だよ!麻帆!
 どうしちゃったんだよ!?」
恒夫がトイレの中から叫ぶー。

「--あ~~~!も~~~~~~!!
 いつまでそこに引きこもってるんだよ!」

麻帆は乱暴に言うと、
トイレのカギを強引に開けて、
恒夫をトイレから引きずり出したー

「ひっ…!ま、麻帆!ぼ、、僕、食べたい…!食べ物を…!」

「--ふふっ、わたしを食べたいんだぁ~♡ 嬉しい~」
麻帆がうっとりとした表情で言うと、今にも恒夫を
襲いそうな目で微笑んだー。

「--ちっがっ!僕は、ここにあるケーキとか、、
 ご馳走を早くたべた…むぐっ…!」

麻帆に唐突にキスをされた恒夫は驚いてしまうー

麻帆が身体を密着させて
胸の感触が恒夫にも伝わって来るー

恒夫が慌てて麻帆を振りほどこうとするも、
麻帆は強引に舌を絡めさせてくるー

「あ、、、あぅぅ…」
恒夫の股間の肉棒が大きくなってしまうー

「--んふふふ…身体は正直だよねぇ…
 こんなかわいいミニスカサンタを抱けるなんて…
 ふふふ、幸せでしょ~?」

麻帆がそう言いながら、さらに恒夫にキスをするー

恒夫は「ひっ!」と叫んで、麻帆を押し飛ばすようにして
振り払ったー。

「チッ」
麻帆が舌打ちをするー。

「あ、ご、ごめん…」
恒夫は困惑しながら、麻帆のほうを見つめたー

「チッチッチッチッチっチッ」
麻帆が何度も何度も舌打ちするー。

そしてー
口を開いたー

「あ~~~も~~~面倒くせぇ」
麻帆が髪を掻きむしりながら言う。

「--え…ま、、、麻帆…?」
戸惑いを隠せない恒夫。

クリスマスツリーが輝く室内で、
麻帆が豹変したー

温かみのある部屋の中の気温が
一気に5度ぐらい下がったような、
そんな錯覚をしてしまうほどに不気味な空気ー

「--ねぇ、恒夫」
麻帆が甘い声で呟くー

「--え…」
恒夫は、麻帆が何を言い出すのか、と
ビクビクしながら麻帆のほうを見つめるー

正直、ここまでの状況になると、
恒夫からしてみれば
”麻帆と一緒にクリスマスイブの夜を過ごしたい”という
感情よりも
”早くこの場から逃げ出したい”という感情の方が
強くなってしまっていた。

こんなところから早く逃げ出して、
解放されたいー

とー。

「--もしも、もしもわたしが
 他の人に乗っ取られているとしたら、どうする?」
クスッと笑う麻帆。

「-の、乗っ取る…?え、、どういうこと…?」
あくまでも純粋な恒夫には、
その言葉の意味は理解できなかったー

「--わたしの身体を~」
麻帆が、自分の胸を両手でわしづかみにして
揉み始めるー。

「げへへへへ…他の誰かが乗っ取って好きに
 使っているとしたらぁ~???」
麻帆がひひひひひ、と笑いながら呟くー

その言葉に、麻帆の様子がいつもと違う”理由”が
分かった気がして
恒夫は背筋が凍るような思いをしたー。

「--え、、そ、、それって…え?」
恒夫はソワソワした様子で叫ぶー

「じ、じゃあ、君はま、、麻帆じゃないってこと…?」

とー。

麻帆は「へへへ…どうだろうねぇ~?」と
バカにするような笑みを浮かべると、
麻帆は台所の包丁を手にしたー

「えっ…何を…?!」
恒夫は一瞬自分が襲われると思ったー

だがー
麻帆は自分の首筋に包丁を向けてほほ笑んだー

「--わたしを楽しませてくれないと、
 わたし、死んじゃうよぉ?
 ふふふふふ」

麻帆が笑うー

正気じゃないー…
恒夫はそう思ったー

「や、、や、、やめて!わかった…わかった!言うとおりにするから」
恒夫は泣きそうになりながらそう叫ぶと
麻帆は「へへへ、そうこなくちゃぁ」と、笑いながら
包丁を台所の方に放り投げたー。

「--さぁ恒夫…わたしを抱いて…くふふふふ♡」

麻帆が甘い声で恒夫を誘うー。

恒夫は震えながら麻帆の方に近づいていくー

そして、麻帆を抱きしめるー。

麻帆は、”好きな人に抱かれて嬉しい”-というよりかは
”女として抱かれることに興奮している”
そんな感じの、怪しい表情を浮かべていたー

「ほらほらぁ、わたしの言う通りにしなさい…!
 くくっ…わたし、興奮が抑えられない…!
 早くわたしを満足させて…!」

麻帆が飢えた声で言うー。
普段の麻帆の声の感じとは、明らかに違うー

恒夫は戸惑いながらも、
「まさか、、本当に…誰かに…」と、
困り果てた表情で麻帆を見つめるー

「--そんなことどうでもいいだろ?
 早くしな」

麻帆がイヤらしい笑みを浮かべるー
目の前にいる麻帆が、麻帆とは思えないー。

「--ふふふ…わたしの服…脱がせちゃう?
 それとも、恒夫のソレ、わたしのお口で
 気持ちよくさせちゃう?
 ふふふふ…ふふふふふふふふ」

麻帆が顔を真っ赤にしながら微笑むー

そんな質問、恒夫が答えられるはずがないー
麻帆だって、そんなことーーー

「---早くぅぅぅ!!!!!」
麻帆がイライラした様子で叫ぶ。

「今夜は性夜なの!焦らすなよ!」
麻帆が、恒夫をべしっと叩いたー

「わ、、わ、、わ、、わ、、、わかったけど、、わかったけど!!」
恒夫は半分パニックになっているー

麻帆が憑依されている?
いや、もう、何がなんだか、訳が分からないー。

「--それとも、、、子供、作っちゃう???」
麻帆がニヤニヤしながら言う。

「恒夫の精子、ほしいなぁ~~~♡♡」
麻帆がくひゃひゃひゃひゃ!と、下品な笑いを浮かべながら言うー

そんな様子を見つめながら、恒夫は
「わ、、わかったから!わかったから!と、
まるで命乞いをするようにして言うと、
深呼吸をしてから呟いたー

「--僕が…そういう知識がないってこともー
 僕が、そういうこと、得意じゃないってことも、
 麻帆は知ってるよね」

恒夫はそう言うと、
麻帆は「まぁね、そういうコ、狙ってるから」と、呟くー

「--麻帆だって、そうだったはずだろ?」
恒夫が言う。

麻帆は「まぁねぇ」と、頷くー。

「--僕、、ホントに分かんないんだ
 麻帆には、本当はそういう経験がたくさんあるかもしれないけど、
 ”何かしろ”って言われても、僕、分らないんだー。

 情けないっていうかもしれないし、
 童貞野郎って思うかもしれないけど、
 分からないものは分からないんだ」

恒夫は、戸惑いながらそう呟くと、
麻帆のほうを見つめたー。

「でもー
 僕は麻帆のことは好きだー。

 麻帆が望むなら、僕だって頑張るー。

 …でもさ、今日の僕には、まだそんな知識はないんだ。
 だから、どうしても、どうしてもそういうことしたいなら…
 今日は、麻帆に従うから…
 麻帆に、全部任せるし、麻帆に、教えてほしい」

震えながら恒夫が言うと、
麻帆は「ははっ!いい返事じゃん!」と呟きながら
恒夫の方に近づいてきたー。

「--じゃあさ…まず、キスしよっか。
 深い深いキス」

いつもとはまるで違う強気な麻帆ー

これは”演技”なのかー
それとも”憑依”なのかー

それすらも分からないまま、
恒夫は聖夜ではなく性夜に足を踏み入れようとしていたー


③へ続く

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メリークリスマス!ですネ!
仕事でもプライベートでも、お出かけされる方は
寒いのでお気をつけて~☆

今日もありがとうございましたー!

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無名

Author:無名
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