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<皮>きみとひとつになりたい①~狂気~

「僕は、きみそのものになりたいー
 きみという概念になりたいー」

狂気の男が、ごく普通の女子高生に、迫るー!?
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高校2年生の百川 紗理奈(ももかわ さりな)は、
コンビニでアルバイトをしていたー。

自分のお小遣いが欲しい、という目的ももちろんあったが、
母親が体調を崩し、家計が少し苦しくなっているため、
少しでもそれを支えたい、という願いもあったー。

真面目な紗理奈は、コンビニの店長からも
信頼され、バイトの先輩たちからも
とても可愛がられていたー。

しかし、最近の紗理奈には悩みがあったー。

それはーーー

コンビニにやってくる常連客のひとりだー。

名前は、堂島 義康(どうじま よしやす)-。
薄汚い感じの男で、近所のアパートで独り暮らしの男だー。

何故、紗理奈がそんな個人情報を知っているのかと言うと、
堂島義康自身が、聞いてもいないのに自己紹介をしてきたからだー。

最初は”気さくなおじさん”だと思っていたー。
だが、違ったー。

堂島義康は、ある日、紗理奈に告白してきたのだー。

年齢は、少なくとも30代後半ー
義康が、自分で”君の2倍以上生きている”と言っていたからだー。

紗理奈は、当然、告白を断ったー。
店長にすぐさま相談し、話し合った結果、店長が
紗理奈の代わりに、義康に返事を伝えてくれたー。

だがー
堂島義康は、揺るがなかったー。

紗理奈に告白を断られてから、
堂島義康は、紗理奈がレジをやっている時間帯に
わざわざエロ雑誌や、コンドームを購入するようになったー。

店長の配慮で、堂島義康の姿が見えると、
店長がレジを交代してくれるようになったが、
それでも、義康の行動は止まらなかったー

「--おつかれさまでした~!」
紗理奈が店から出ると、
コンビニ前の駐車場で、フランクフルトを手に、
義康が笑みを浮かべていたー

「ーーーきみに、俺のフランクフルトを咥えてほしいな」

義康の言葉に、
紗理奈は恐怖を感じて、そのまま走り去るー

「へへへへ」
義康は、紗理奈に”一目ぼれ”していたー。

真面目な性格で、可愛く、愛想も良いー。
しかも、体調を崩した母親のために、バイトをしているとなれば、
なおさら、”がんばっているね”という気持ちになるー

そんな紗理奈の助けになってあげたいー
心の支えになってあげたいー。

「---僕が、きみを支えるんだー」
義康は、そう呟きながら、笑みを浮かべたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

帰宅した紗理奈は、
両親にも、コンビニの常連客のことを相談していたー

店長はよく助けてくれていることを話しつつも、
”このままだと、あそこのバイト辞めないといけないかも”
とー、紗理奈は、両親に相談するー

「-何かされたり、ってことはないのか?」
父親が不安そうに聞いてくるー。

「--うん。それはないんだけど…
 この前も言った、変なものをわたしがレジやってるときに
 わざと買いにくるぐらいー」

紗理奈の言葉に、
母親は「気持ち悪い人ねぇ…」と呟くー

「--……何かされそうになったら、すぐに助けを呼ぶんだぞ」
父の言葉に、紗理奈は「うん」と頷くー。

今の時点で警察に相談したところで
「暴力」も「暴言」もないわけだし
紗理奈に触れているわけでもなく、
警察が動くのも、現実的には難しいだろう、と
父親は考えるー。

紗理奈は不安そうにしながらも
「とにかく、もうちょっと頑張ってみるね」と呟くー。

紗理奈も、怖いという気持ちはあったー。

けれど、一方で、今のバイト先のコンビニは
店長も含めて、本当にいい人たちだし、
なんとか、バイトは続けたいー。

そんな風に考えながらー
ある日、高校から下校しているとーー

「---!」
紗理奈の前に、突然真っ白な軽自動車が止まったー

紗理奈が驚いていると、
中から出て来たのは、真っ白なジャケット姿の義康だったー

白い車に白い服装ー。

「--きみの、白馬の王子様だよー」
義康は、にっこりと、そう微笑んだー

「---!!!」
紗理奈は恐怖を感じて、そのまま義康を無視して
立ち去ろうとするー。

「---ごめんね、紗理奈ちゃんー
 きみのために、白馬の王子様になろうと
 努力したんだけどさー
 さすがに白毛の馬は手に入らなかったよー

 だから白の車と僕が白くなったからー
 ね?これで許してよ」

義康が叫ぶー。

自分が白馬の王子様だと叫ぶ義康を
無視して早歩きで歩く紗理奈ー。

しかしー

義康は、小太りな体格では信じられないほどの
猛ダッシュで走って来ると、紗理奈の前に立ちはだかったー

「-まってよー
 僕は、きみを支えたいんだー
 きみの、王子様になりたいんだー

 ぼく、きみのために一生を捧げるからー」

義康の言葉に、紗理奈は「ごめんなさい」と頭を下げて
そのまま横を通ろうとするー

「--!」

その時だったー
義康が紗理奈の腕を掴んだー

”直接”触れられるのは、これが初めてー

紗理奈はパニックになって「やめて!」と、義康を振り払ってしまうー。

尻餅をつく義康ー。

「あーー、ご、ごめんなさい」
暴力など振るったこともない紗理奈は、思ったよりも
義康が吹き飛んだことに驚いて、つい、手を差し伸べてしまうー

だがー
この”優しい”性格があだになったー。

「---わたし、お付き合いとか、できませんので」
紗理奈はそう言い放つと、そのまま立ち去っていく。

「---えへへ…」
一人残された義康は笑みを浮かべたー

”手を差し伸べてくれたー”

紗理奈のやさしさにーーー
義康の感情はさらに高ぶったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

コンビニのバイト中に、義康はやってきたー。

店長が、「--百川さんは下がって」と、
紗理奈を後ろに下げるー。

店長は、40代の男性だが、
とても穏やかで、気配りも出来ているー。
紗理奈のことを変な目で見たりすることも全くなく、
本当に頼れる存在だー。

「---ぼくはー!」
レジの前で、控室にまで聞こえる大声で叫ぶー

「きみという概念になりたい!!
 ぼくは、、きみとひとつになりたい!!
 ぼくは、きみと合体したい!

 どうかこのぼくのきもちを、受け止めてくれ!!!」

叫ぶ義康ー

「いい加減にしろ」
店長が鋭い口調で言うー

店長が、そんなにきつい言葉を掛けている場面を
紗理奈は見たことがないー。
それだけ、店長は怒っているのだろうー。

「--僕は、、きみの全てがほしい!!!!!!!!」
大声で叫ぶ義康ー。

「---」
店長は警察を呼ぼうと、コンビニの受話器を手にするー。

それでも、義康は動じずに叫ぶー。

「僕はきみのためなら、何にでもなってやる!
 きみという存在を、僕はこの世のあらゆるものから守ってやる!」

完全にイかれているー

そう判断した店長は、警察を呼んだー。

すぐに駆け付けた警察ー。

それでも義康は意味不明は言葉を叫び続けていたー。
警察も、さすがに”おかしい”と判断したのか
そのまま義康は連行されたー。


控室で震えている紗理奈を見て、店長は
「--もう、大丈夫だから」と心配そうに呟いたー。


しかしーーー

それでも、義康はあきらめなかったー

「僕は、百川 紗理奈という女子高生の、オタクなんです」
コンビニにやってきて、他のバイトに絡む義康ー。

「---………」
店長が呆れ顔で、他のバイトに「下がってて」と指示をすると、
義康を睨みつけたー

「出入り禁止にしますよ」
とー。

紗理奈は、コンビニの休憩室の奥で、震え続けたー。

紗理奈の方を見ながら、男子大学生のバイト・五十嵐 忠雄(いがらし ただお)は、
心配そうな表情を浮かべたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”紗理奈は僕が守らないと”

ついに、狂気が爆発したー。

翌日の夜ー

紗理奈は、驚いて振り返ったー。

「--きみは僕が守るー!」

驚く紗理奈に、注射器のようなものが刺されるー。

全ては、紗理奈を守るためー

紗理奈とひとつになりー
僕が、紗理奈となるー

紗理奈が悲鳴をあげながら”皮”のようになっていくー
着ぐるみのようになった紗理奈を見つめながらー
ニヤリと笑みを浮かべる義康ー。

「---はぁ…♡ はぁ♡ はぁ♡」
紗理奈の皮を手にした義康は、不気味な笑みを浮かべたー

紗理奈の皮を着こんでいく義康ー

「や、、、め、、、、、、」
紗理奈が、必死に言葉を発したー

身体が思うように動かないー
身体が、言うことをきかないー。

それでも、紗理奈は必死に抵抗したー。

なんとか、抵抗しようとー。

「…抵抗しても、無駄だよ」
義康は、ニヤニヤしながら、皮になった紗理奈を撫でるー

紗理奈が、ほとんど聞こえない、乾いた悲鳴をあげるー。

「--皮になってると、
 胸の部分のふくらみも分からないなぁ~
 でも、大丈夫ー。」
皮になった紗理奈の胸を触る義康ー。

しかし、皮になっているために、ふくらみを感じることは出来ないー。

「-きみのことは、僕が守るから、安心して」
義康が、気持ち悪い甘い声で囁くー

紗理奈は、どうすることもできずー
ついに悲鳴を上げることもできなくなって、
義康を見つめるー。

「ーーーきみの胸は誰にも触らせないー
 僕以外の、誰にも、ね。
 僕がきみをー
 紗理奈ちゃんをしっかり守るから、安心して」

その言葉と同時に、紗理奈は、”自分の中に何かが入って来る”
ような感触を感じたー

義康が、皮になった紗理奈を着ているー。

紗理奈は、どうすることもできないままー
生まれて初めての感触ー
言葉に言い表しようのない感触を感じながらー、
心の中で悲鳴を上げたー

「--くふふふふ…」
紗理奈は不気味な笑みを浮かべると、
そのままゆっくり歩きだしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「-----!!」
紗理奈が自宅で目を覚ましたー

冷や汗をかいている紗理奈ー

「い、、今のは…夢?」
紗理奈が戸惑うー。

すると、頭の中に声が響いてきたー

”きみのことは、僕が守るから、安心してー”
と、いう声がー

「---!!」
紗理奈自身の声と、男の声が混じったような不気味な声が
響き渡って来るー。

「--や、、やめて!わたしの中から出て行ってー!」
紗理奈が叫ぶと、
”僕はただ、紗理奈ちゃんを守りたいだけだよ。
 僕の邪魔をするやつは、さっき、紗理奈ちゃんの姿で始末してきた”
と、声が響いたー。

「---ぼくのじゃまをするやつ…?」
紗理奈は、そう呟くと、バイト先でいつも紗理奈を守ってくれていた店長の
姿が浮かんで、ハッとしたー

「--て、店長に何かしたの!?」
紗理奈が叫ぶと、同時にー

”これから僕は君のボディチェックをするからー
 おやすみー”

という声が響き渡りー、
紗理奈の意識は途切れたー。


②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・

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狂気の男に乗っ取られてしまった彼女の運命は…?
続きはまた明日デス~!



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