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<入れ替わり>入れ替わりんぼ①~奪われた身体~

ある日の大学帰り。

突然身体を奪われてしまった彼女は、
相手から告げられたー

「1週間以内に俺を見つけることができたら、身体を返してあげよう」
とー。
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女子大生の
杉原 睦美(すぎはら むつみ)は、
いつものように、電車に乗って、家を目指していたー。

穏やかな性格で、大学でも慕われている睦美ー。
真面目で、大学側からの評価も高いー。

「---今日は何か買って帰ろうかな」
一人暮らしをしている睦美は、そんなことを考えながら
駅の改札を抜けて、駅の出口に向かって歩みを進めるー。

その時だったー

反対側から歩いてきた小太りの男がー
睦美にぶつかったー。

「--!!」
「---あ!」

男と睦美が倒れるー。

すぐに「すみません 大丈夫でしたか?」
という女の声が聞こえて、
睦美が「あ、はい、大丈夫です」と返事をするー

しかし-
睦美はすぐにおかしな部分に気づいたー

ぶつかった相手は確かに”小太りの男”だったー。
しかしー

”すみません、大丈夫でしたか?”と言ったのは女だったー。

ぶつかった相手以外が”すみません、大丈夫でしたか?”と口にするのはおかしいー

いやー
それよりも、もっと大きな違和感に睦美は気づくー

今、自分がした返事ー
”あ、はい、大丈夫です”がー
まるで自分の声ではないようなー
男のような声で、口から発されたのだー。

「--え」
睦美が訳も分からず戸惑っていると、
目の前に、自分がいたー

「ーーえ…え?」
睦美が混乱して自分の手を見つめるとー
そこにあったのは、自分の手ではなくー
ごつごつとした、少し太った感じの、手ー。

「--ど、どういう…?」
睦美は、目の前にいる自分そっくりの女を見つめながら、
そう呟くー

またもや、自分の口から出たのは男の声ー。

女子大生と小太りの男が駅の構内でぶつかって
転倒したもののー
周囲は、すぐに女子大生の方が立ち上がって
小太りの男の方に声をかけたことから、
”特に問題が起きているわけではない”と、判断したのか
誰も声をかけてくることはなかったー

混乱する睦美にー
目の前にいる”自分そっくりの女”が、笑みを浮かべながら
小声で囁いたー

”君と俺の身体、入れ替えさせてもらったよー”
笑みを浮かべる女ー

「---!!!」
睦美は、その言葉に混乱しつつも、
小太りの男とぶつかったあとの
今、この状況を少しずつ理解し始めるー

”目の前にいるのはわたしそっくりな女の人じゃなくて、わたしー?”

そしてー

”じゃあ、わたしは今、ぶつかってきた男の人の身体にー?”

「---ど、どういう…?」
男になってしまった睦美はそう呟くと、
睦美になった男が笑みを浮かべたー

”俺の身体ー
 いいや、君の新しい身体の名前は古川 伸成(ふるかわ のぶなり)”

睦美になった男ー、伸成はそう呟いたー。

”これからは、俺が女子大生として、君が俺として生きていくんだー
 じゃあな”

それだけ言うと、睦美(伸成)はニヤニヤしながら
立ち去って行こうとするー

「--え…!ちょっと待って!」
伸成になってしまった睦美が叫ぶとー
睦美(伸成)は振り返ったー

”ははは…
 わたしの身体を返して!!ってか?”

笑いながら近づいてくる睦美(伸成)は、
笑みを浮かべながら
”まぁ、俺が反対の立場でもおっさんになんかなりたくないからな。
 気持ちはわかるよ”
と、呟くー

伸成(睦美)は、”身体を入れ替えられてしまった”という現実に
激しく動揺しながらも、なんとか身体を取り戻そうとして、
睦美(伸成)の方を見つめるー

”じゃあ、君にチャンスをやろうー
 俺と、ゲームをするんだ”

睦美(伸成)が、伸成(睦美)の耳元で囁くー。

「ゲ…ゲーム?」
伸成(睦美)が戸惑いながら返事をすると、
睦美になった伸成は、
睦美とは思えないような悪い微笑みを浮かべながら続けたー

”これから1週間以内に、君が俺を見つけることができればー
 君に身体を返してやろうー

 ルールはそれだけだー
 君が俺を見つけたら、俺に声をかけてくれればいい。

 どうだ?簡単だろう?”

睦美(伸成)の言葉に
伸成(睦美)は、「そ、、そんな…!今すぐわたしの…!」と
声を上げるー

しかし、睦美(伸成)は冷たい声で呟いたー

「今、ここで、俺が”痴漢”って叫んだらどうなるかな?
 女として生きて来た君にも想像ぐらいつくだろ?

 真面目そうな女子大生が「痴漢!」と叫んで
 その側には小太りのおっさん。
 どうなるかぐらい、
 わかるだろ?

 勝負を受けるか、受けないか、どっちなんだ?」

睦美(伸成)の脅すような言葉に、
伸成(睦美)は困惑しながらもー
”勝負を受けるしかない”と判断するー

「--1週間以内に、あなたを見つければ
 本当に、わたしの身体、返してくれるの?」
伸成(睦美)が言うと、
睦美(伸成)はニコっと笑いながら”もちろん”と笑みを浮かべたー。

”口約束”
これほど、信用できないものはないー。

でも、他に方法がないのもまた、事実だったー

ここで”わたしの身体が奪われました!”と叫んだところで、
絶対に勝ち目はないー

”入れ替わり”なんて誰も信じないだろうし、
「おっさん」と「女子大生」では圧倒的に「おっさん」が不利なのは
伸成になってしまった睦美にもよくわかるー。

「---じゃあ 10分ー。」
睦美(伸成)は、腕につけていた可愛らしい腕時計を見つめるー。

「--10分後からスタートだ。
 10分以内に駅から出たら、反則負けー。いいな?」

睦美(伸成)が脅すような口調で言うと、
そのまま伸成(睦美)に背を向けるー

「--さぁさぁ、楽しいかくれんぼの始まりだ!」
ニヤニヤしながら呟く睦美(伸成)-

「いいやー
 入れ替わってる状態だから、
 入れ替わりんぼ、とでも言おうか!ははは!」
睦美(伸成)はそう言うと、
伸成(睦美)に背を向けたまま、手をあげたー

「--じゃあな。俺は一足先に駅から出て隠れるからさー
 せいぜい、頑張ってくれよ」

睦美(伸成)の言葉に、
伸成(睦美)は声を掛けるー。

「--待って!他に何かルールはあるの!?
 後付けされちゃ困るから!」

伸成(睦美)の質問に、
睦美(伸成)は振り返って微笑むー

「ないよ。
 今からちょうど1週間ー
 来週の木曜日が終わるまで、そう、木曜日の23時59分59秒までに
 俺を見つけてくれればそれでいいー
 
 俺を見つけて、
 「わたしの身体を返して」と、
 声を掛ければ、君の勝ちだー。
 他にルールはないー。

 どんな手段を使ってでも、見つけ出してくれれば君の勝ちだー」

そう言い終えると”健闘を祈る”とバカにした様子で
睦美(伸成)は立ち去って行ったー

駅の賑わいの中
伸成(睦美)は震えていたー。

「---…そんな…そんな…」
駅の鏡を見つめるー。

そこには、正直言って
”小汚い”感じの男が写っているー。

「---…いや…こんなの、、いや…」
伸成(睦美)は、そう呟くと、時計を見つめるー。

”10分”と言われたー

とにかく、あの男ー
”わたしになったあの男”を見つけ出さないとー

”1週間もあれば見つけられる”
伸成(睦美)はそう思いながら、
10分が経過するのを待ち続けたー

”短期決着”

時間が経てば経つほど、不利になるであろうことは
安易に想像が出来たー

どこにでも移動できてしまうし、
隠れることも、容姿を変えることもできてしまうー

だからーー
10分が経過したら駅から飛び出して、
すぐにでも、睦美(伸成)を見つけ出すつもりだったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--ククク」
睦美(伸成)はバスに乗りながら笑みを浮かべるー。

「--」
さりげなく胸を触って笑みを浮かべる睦美(伸成)-

「--これが、女子大生の身体か…ふひひ…♡」
下品な笑みを浮かべると、睦美(伸成)は
鞄から学生証を取り出して、睦美の名前や住所を確認したー

”ま、この子の家に行くのは無理があるな”
睦美(伸成)は、そんな風に考えるー

伸成(睦美)は、必ず自分の家は確認するだろうからだー。

伸成は、
昔から”ゲーム”が大好きだったー。

素行不良な一面もあり、不真面目な人間ではあったものの、
伸成は”ゲーム”に対しては真剣だったし
必ず”ルールの範囲内”で勝負をしたー。

ゲームに負ければ言い訳はしないし、
ゲームに負ければ、潔く負けを認めるー。

伸成は、そんな人間だったー。

今回の”入れ替わりんぼ”も、そうー
負ければ伸成は、本気で身体を返すつもりだったー。

ゲームとは、儀式ー
儀式とは、神聖なものー。

そして、女子大生の身体を手に入れるためには
その神聖な儀式を乗り越えねばなるまい、と
彼は考えていたー

ネットで偶然見つけた入れ替わり薬を使い、
駅で”好みの女”を物色、そして入れ替わったー。

だが、伸成は、どんな事象にも”チャンス”はあるべきだとも、考えていて、
彼は”ゲーム”という形で、睦美にチャンスを与えたー

「---ま…」
睦美(伸成)は笑みを浮かべるー

「ゲームで俺に勝つことなんて、不可能だけどなー」

小さいころから、伸成は用意周到だったー。
ルールの範囲内で彼はあらゆる手段を使って
ゲームに勝ってきたー

学生時代に流行っていたカードゲームもそうだー。
”心理戦”に持ち込んででも、相手を叩きのめしてきたー

ルールの範囲内なら、彼は”なんでも”するー。
そう、”なんでも”だー。

「----この可愛い身体は、俺のものだ ひひひひ♡」
睦美(伸成)は不気味な笑みを浮かべながら
バスの窓から、外を見つめたー

”早速、最初の敵が君を待ってるぜ”
と、微笑みながらー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

10分が経過したー
伸成になった睦美は、すぐに駅から飛び出すー

時間が経てば経つほど、不利になるー。

そう、思いながらー。

睦美になった伸成はこの近くに潜んでいるかー
それとも、移動したかー

伸成(睦美)は頭をフル回転させて考えるー

普通であれば
10分の間にある程度遠くに移動する可能性が高いー

しかしー
”あえて”この付近の駅ビルなどに潜伏して、
伸成になった睦美が、この場所から離れるのを待ってから
のんびりと別の場所に移動する可能性もあるー

”どっちー”
伸成(睦美)は考えるー

けれど、すぐに答えは出たー

”やっぱり、移動してるはず!”
とー。

それは、正解だった。
睦美になった伸成は、先ほど、バスに乗ったー

近くの駅ビルなどに潜伏して伸成になった睦美が
立ち去るのを待つ戦術もたしかにあるー

しかし、
それは”リスク”の面を考えたら普通はやらないー

どうせ移動するなら、
先に移動したほうが、絶対に”隠れる側”としては良いはずだー。

次に、伸成(睦美)は、”何で移動したのか”を考えるー。

電車ー
バスー
タクシー

色々ありすぎて、思いつかないー。

「--………」
こればっかりは、どうにもならないー。

でも、とにかくー
探さないとー

だがーー

「---!」
伸成(睦美)は突然、お腹を抑え始めたー

急に、トイレに行きたくなってしまったー
お腹が激しく鳴るー。

「な、なんでこんなときに…」
そう思いながら伸成(睦美)は慌てて駅のトイレに
ダッシュしたー。

しかしー
腹痛で”間に合いそうにない”と思った
伸成(睦美)は、慌てていたこと、
そして「癖」で、女子トイレに駆け込んでしまったー

中年の小太りのおっさんが女子トイレに駆け込んだーーー

悲鳴が上がり、
駅員に通報されてしまった挙句、
パニックになった伸成(睦美)は、その場で少し漏らしてしまったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--」
バスから降りた睦美(伸成)は笑みを浮かべるー

「--今頃”下剤”が効いてきたころかな?」
クスっと笑う睦美(伸成)-

伸成は入れ替わる直前に”下剤”を飲んでいたのだー。
入れ替わり後に、腹を壊させるためにーー

「-俺はどんな手段でも使うぜ?
 果たして、俺を見つけられるかなー?」

そう呟くと、睦美(伸成)は笑いながら、街の中へと姿を消したー


②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

入れ替わってしまった相手を1週間以内に
見つけ出さないと身体を奪われてしまう…!

大変なことになりましたネ~!

続きはまた明日デス!

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