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<入れ替わり>入れ替わりんぼ②~探索~

「1週間以内に自分を見つけ出すこと」

それが、身体を取り戻すための条件ー。

身体を賭けた、かくれんぼが始まるー
-------------------

「うっ… うっ… うぅぅぅぅぅ」
駅の事務所で、伸成(睦美)は泣きじゃくっていたー

身体を奪われてしまった睦美は
”1週間以内に俺を見つけることができれば、身体を返してやる”
と、そう言われていたー

しかしー
”かくれんぼ”が始まった矢先、
お腹を壊してしまったのだー。

「ーーー」
呆れ顔の駅員ー

予め、伸成は睦美と入れ替わる直前に下剤を服用していたー。
”時間”を稼ぐためだ。

”ルールの範囲内でどんな手段を使ってでもゲームに勝つ”という
己の美学に従い、伸成は、かくれんぼ開始直後に、
伸成になった睦美が腹を壊すよう、下剤を飲んでいたのだったー

下剤によって、急激な腹痛に襲われた伸成(睦美)は
慌ててトイレに駆け込んだー。

しかし、入れ替わった直後ー
自分が”女”だと思って”女子トイレ”に駆け込むのは
ごく普通の反応と言えたー。

冷静にトイレの前に立てば
”今のわたしは男なんだ”となったかもしれないー

けれど、漏らしそうな状況では、それは無理だったー。
しかも、女性から悲鳴をあげられて、
そのことに気づいた伸成(睦美)は、その場で
少し漏らしてしまったのだったー

駅員は呆れながら
「--あのねぇ、なんで女子トイレに入ったりしたんだ?」と言い放つー。

伸成(睦美)は”言い訳をしても、信じてもらえない”
と、考えて「急にお腹が痛くなって…必死に駆け込んだので…」と、
”腹痛で慌てていた”ことを理由にしたー

駅員は頭をかきむしるー

堂々と猛ダッシュで伸成が女子トイレに突入したことー
悲鳴を上げた女性の前で少し漏らしたことー

そういった理由から、伸成は覗き目的でトイレに入ったのではないと
判断されて、駅員から憐みの目で見られながらも、
事件沙汰にならず、解放されたー

「----」
伸成(睦美)は、半泣き状態で、伸成が持っていた身分証明書を確認するー

今の状況は、最悪ー
まだお腹の調子も良くないし、
服は汚れたままー
正直、臭いし、自分も気持ち悪いー

まずは、この状況をどうにかしないとー。
伸成の身分証明書を確認し、仕方なく伸成(睦美)は
伸成の家に向かうー。

「--本当は今すぐにでも探しに行きたいけどー
 まず…どうにかしなくちゃ」
お腹がゴロゴロなっている状態で、伸成(睦美)は
伸成の家を目指したー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--ふふふ」
睦美(伸成)は、髪型を変えー
メイクを変えて、
服装を変えていたー

バスで移動した先で服を買い、
靴をハイヒールに履き替えー
サングラスをかけて、口紅を塗りー
まるで”別人”のような容姿になった睦美ー

睦美(伸成)は笑うー。

「そう簡単に、俺は見つからないぜ」
とー。

この身体を手に入れたら
自分好みに徹底的にカスタマイズして、
”俺流の睦美”を、伸成は作り上げるつもりだったー

だが、まずはー
”勝負”に勝つことが先決だー。

睦美(伸成)は、コインロッカーから、何かを取り出すー。

「ククー」
そこにあったのは、自分のスマホー。

スマホで睦美(伸成)は、何かを確認するー。

それはーー
”伸成になった睦美の現在地”を示すものだったー。

「---へへへ…”俺の荷物”の中に
 GPSを仕込んであるんでなー」

睦美(伸成)は笑うー。
これで、伸成(睦美)の現在位置が、しばらくの間、分かるー。

恐らく、腹を壊した伸成(睦美)はいったん、
伸成の家に戻るはずだー。

そのために”わざと”
身分証や自宅の鍵を荷物の中に入れたまま入れ替わったー。

伸成の家を、睦美が知ることができるようにー。

そしてーー

「--へへへ…”俺の家”でもパーティが始まるぜ」
睦美(伸成)はそう呟くと、
「ハイヒールって歩きにくいな…」と、ぎこちない足取りで
そのまま人混みの中へと姿を消したー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--」
伸成(睦美)は、伸成の家に帰宅したー

しかしーーー

「----------!!!!!」
伸成の家の中は、
悲惨な状況だったー

ごみが散乱しー
異臭が漂いー、
しかもーーー

「きゃあああああああああああ!」
伸成(睦美)は悲鳴を上げるー

クモの巣やゴキブリー
睦美の天敵が、姿を現したのだー

”伸成の罠”
あえて部屋を地獄のような状況にしておいたー。
これも、伸成が”ゲーム”に勝つための下準備ー

慌ててお風呂に駆け込む伸成(睦美)-

しかし、浴槽は無残に破壊されていたー
そこにやってくる、伸成の家の大家ー

大家が激怒しー
伸成(睦美)は、そこでも時間を取られることになってしまったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

不幸中の幸いーー
と、でも言うべきだろうかー

ごみ屋敷状態になっていた伸成の部屋を見て
大家さんは激怒ー
”費用の全額負担”を伸成(睦美)に言いつけて
クリーニング業者を呼び、ただちにごみを片付けさせたー。

「--すみませんでした」
伸成(睦美)はとりあえず謝っておくー。

別に、全額負担は構わないー
伸成の身体だし、睦美は、必ず自分の身体を
取り戻すと心に決めていたー

むしろー
伸成の部屋は綺麗になり、
ようやくお風呂に入ることもできたー。

「--はぁ…」
1日目は、完全に時間を無駄にしてしまったー

正直、”正攻法”で見つけるのは、もう難しいかもしれないー

半日以上も経過してしまった以上、
睦美になった伸成は、どこにでも移動できるし
変装することだってできるー。

”この子、知りませんか?”と聞いて回ることは出来ないー。
伸成が”女子大生の写真を手に”この子、知りませんか?なんて
街中で聞いて回ったら通報される可能性も高いー。

「----」
伸成(睦美)は、ためらいながらも、
”ある方法を取るしかない”と判断したー

それはー
”ネット”を使うことー。

ネットに自分の顔写真を載せて、
”この子を探しています”と情報提供を求めることー

”元に戻ったあと”のことを考えれば
出来ればそんなことはしたくなかったけれどー…

でも、1週間、睦美になった伸成を見つけ出さないと
本当にこのまま身体を奪われてしまう可能性があるー

そんなことは、絶対に避けないと、いけないー。

「---」

伸成の家のパソコンを起動すると、
伸成(睦美)は、自分のインスタグラムのアカウントにログインして
そこから自分の写真を回収ー
ツイッターの新しいアカウントを作り
”この子を探しています”と目撃情報を募り始めたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--へへへ 1日目は家で待機か?それともー?」
睦美になった伸成は、胸を揉みながら
ホテルに宿泊していたー

「-ん~~~マジで気持ちいいな これ」
胸を触りながら、睦美(伸成)は、GPSの位置を確認するー。

とは言えー、
荷物を家に置かれたままなら意味はないし、
もうGPSはあまり使いものにはならないだろうー。

あくまでも”1日目”の睦美の位置を確認するためだけのものだったー

「---さてさて」
睦美(伸成)は、髪型も何も、ガラリと変えた状態で、
鏡を見つめるー。

「-まぁ、これでも見つからねぇとは思うけど…
 念には念を入れておくか」
睦美(伸成)は、それだけ呟くと
スマホを手にして、誰かに連絡をし始めたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2日目ー

伸成になってしまった睦美は
ネットを確認し、
有力な情報がないことを確認すると、
”まずは出来ることからしよう”と
すぐさま行動を起こしたー

まずはー
”睦美になった伸成”が
睦美の身体で大学に行っていないかどうか、を
確認したー。

睦美のツイッターのアカウントにログインをして
友達のアカウントにメッセージを送るー

それとなく”今日、大学に行けなくてごめんね”と送ってみると
”本当だよ~!どうしちゃったの?”と返事が返ってきたー

やはりー
伸成(睦美)の予想通り、
睦美(伸成)は睦美の身体で大学には行っていなかったー

「--大学に来ててくれれば、カンタンだったのにー。」

続いて、伸成(睦美)はすぐに出かけたー。
”睦美の住むアパート”を確認するためだー。

ないとは思うけれど、
もしかしたら睦美になった伸成は睦美の家に行っている
可能性があるー

だがー
人の気配はないー。

「----」
伸成(睦美)は「まぁ…家に帰っているわけないよね」と呟くー。

しかし、それでもー
”部屋を暗くして家に潜伏している可能性”は十分にあったー。

伸成の見た目で、女子大生が一人暮らしをしている部屋の
インターホンを鳴らすのは、さすがに気が引けたが、
それでもー
伸成(睦美)は行動したー。

がーー
やはり、留守だったー。

ちょうど、近所のおばさんが出てきて、
宅急便を装って「ここの方は?」と聞いたところ、
「昨日から帰っていないみたいだねぇ」と言われたー。

”どうしよう”
伸成(睦美)は呟くー。

最初ー
すぐに行動できなかったのが、痛いー。

”どうしてあんな大事な時にお腹が痛くなったの?”
伸成が入れ替わる前に下剤を飲んでいたことを知らず、
伸成(睦美)は自分の不運を呪うー。

結局、”睦美”が行きそうな場所を徹底的に調べたがー
この日は、何の手がかりもないまま、終わってしまったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「---♪~~」
ホテルに宿泊している睦美(伸成)は
女としてのお風呂を堪能すると、
ニヤニヤしながら自分の身体を入念に洗ったー

「ふひひひ」

この”ゲーム”に負けたら伸成は、
自首するつもりだー。

伸成にとって、”入れ替わりかくれんぼ”は、
命を懸けた戦いー

デス・ゲームだ。

命を懸けてこそ、得られる対価は大きくなるー。
そう、女子大生の身体と人生が手に入るのだー

胸のあたりをニヤニヤしながら拭き続ける睦美(伸成)-

「--さて、と」
睦美(伸成)は、”このままホテルにいても大丈夫かもしれないが”と、
呟きながら、自分のスマホを手にして誰かに連絡を入れた。

「--あぁ、俺だよ。可愛い声だろ?」
睦美(伸成)が、だらしなくベッドに寝転がりながら呟くー。

「--へへへ、まぁ、そういうなって」
睦美(伸成)は笑いながら相手と話すと、笑みを浮かべたー。

「---ちょっと、頼みたいことがあるんだー」

ーと。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

3日目ー

伸成(睦美)はとにかく、あらゆる場所を無差別に探したー

けれど、世界は狭いようで、広いー。

”特定の人物を個人が見つけ出す”のは
非常に難しかったー。

SNSで呼びかけた情報提供も、全く効果がなかったー

寄せられるのは、他人の空似のみー。

”やっぱり変装してるか、どこかに隠れてる…”

伸成(睦美)はそう思いながら、
探偵事務所に駆け込み、
探偵に睦美の捜索を依頼したー

伸成の家には幸い、お金はそこそこあったー。

勝手に他人のお金を使うのは気が引けたが
それでも、手段を選んでいるヒマはなかったー。

探偵は「このお嬢さんとはどんな関係ですか?」と不思議がっていたが
最終的にうまくごまかすことができたー

「早く…早く見つけなくちゃー」

あと、4日ー
”7日目が終了した時点で、負け”

伸成(睦美)の焦りは、さらに膨らむ一方だった…。


③へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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入れ替わった状態の相手を探す…
皆様だったらどうやって探しますか~?

お読み下さりありがとうございました!!

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