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<憑依>睡眠不足の彼女②~男~(完)

睡眠不足に悩まされている彼女ー

その彼女から相談を受けて、
彼氏は、彼女の家で一晩、彼女を見守ることにした。

しかし…?
-----------------------

「お、、、お前は、、誰だ!?」
叫ぶ明人ー。

数分前まで眠っていた史香は、
イヤらしい笑みを浮かべて、目の前に立っているー

明人のことを”お前”と呼びー
自分のことを”この女”と呼んでいるー

明らかに、様子がおかしいー。

「--俺か?」
史香が笑みを浮かべるー。

「---ふふふ、やだなぁ~わたしは史香に決まってるじゃ~ん!」
史香が女っぽい口調で言うー。

しかし、左手は自分の胸を揉み続けているー

「ふ、、ふざけるな!お前は、、誰だ!」
明人が今一度叫ぶー。
さっきまで読んでいた小説の内容など、
頭から吹っ飛んでしまうぐらいの驚きー。

”これって…二重人格ってやつなのか…?”
明人は、自分の今までの人生経験から
そういう答えにたどり着いていたー。

「---へへへっ…誰だっていいじゃねぇか」
史香は近くのイスに座ると、足を組んで
見下すように明人を見つめたー

「--ふ、、史香の中の……べ、、別人格なのか?
 お、、お前は…史香の…」

明人が戸惑いながらそう口にすると
”二重人格”と思われたことにおかしくなったのか、
史香が狂ったように笑いだしたー

「あはっ!あはははははははははははっ!!
 ま、、そう思うのも、無理はねぇよな!」

普段穏やかな口調の史香の声で、
そんな言葉遣いをされると、戸惑ってしまうー

明人は表情を歪めながら史香を見つめるー。

「--お前は何なんだ!?史香から出て行けよ!」
明人が言うと、史香は「スマホを貸せ」と、低い声で呟いたー

「--あ?」
明人が困惑しながら机の上に置いてある自分の
スマホを見つめるー

「--いいから、早く貸せよ」
史香が普段浮かべない、怒ったような顔で、明人に言うー

明人は「何をするつもりだ?」と言いながら、
スマホを史香に手渡すと、
「俺が誰だか、教えてやるよ」
と、スマホを乱暴に操作し始めたー

「--へへ ほらよ!」
史香が明人にスマホを投げ付けるー

そこにはー

”帰宅ラッシュの時間帯に人身事故ー
 会社員男性が死亡”

と書かれていたー。

「-----ど、どういうーーー」
明人が、史香の方を見ながら言うと
史香は笑ったー

「それが、俺だよー」
とー。

「---な…?…え?」
明人は、表情を曇らせるー

何を言っているのか、まるで理解できないー

「--俺は、自殺したんだよー
 会社に追い詰められて、何もかもがイヤになったー。
 
 でもさー
 死んだら、俺は空に浮かんでたんだー。」

史香が思い出すような顔を浮かべながら言うー。

「--気づいたら、幽霊になってたー。
 へへっ
 俺はさぁ、死んだら終わりだと思ってたけど、
 そうじゃなかったんだなぁ」

史香の言葉に
明人は「--お、、お前、、まさか、、幽霊…?
幽霊が史香に憑りついて…?」
と、震えながら言うとー
史香は「まぁ~そういうことだよ。この女に憑依してるのさ」と
笑みを浮かべたー

「--ふ、、ふざっ…史香から出ていけ!」
明人が叫ぶと、
史香は「いやだね」と答えたー。

幽霊の男はー
サービス残業が当たり前のブラック企業にいて、
しかも、そこの女上司から徹底的なパワハラを受けていたー

最終的に、体調を崩して、それを伝えたところ、
クビを宣告されたー。

クビにされたら生活できないー
彼は必死に”それはおかしい”と反論したー。

しかしー
女上司は言ったのだー

”消耗品は、壊れたら捨てて、買い替えるでしょ?”
とー。

絶望した彼はー
クビを宣告されたその日の帰りにー
自殺した。

そして、気づいたときには幽霊になっていたー。

幽霊になった男はー
女に憑依して、好き放題を繰り返してきたー。

自分が生きている間には味わえなかった快感を味わうためー
自分を苦しめた”女”という存在に復讐するためー。

「--まぁ、身体の持ち主が寝ているときしか俺は表に出てこれないからなぁ
 こうして夜にお楽しみをしてるってわけさ」
史香が言うと、明人は「--ふ、、ふざけ…!」と、叫ぶー。

史香本人の意識が起きている最中はー
男の意識は奥底に幽閉されて、
意識もない状態とのことだったー。

それ故に、
史香が睡眠不足に苦しんでいることもー
史香と明人が、史香の異変を調べ始めたことにも、気づいていなかったー。

「--お前…!お前のせいで、史香は寝不足に苦しんでるんだ!
 毎日毎日体調が悪くて、ホントに悩んでるんだ!」
明人が叫ぶと、史香は「--ふ~ん、そっかそっか、確かにそうだな」と頷くー。

「--だから、史香から出て行ってくれ!」
明人の言葉に、史香は「出ていくよ」、と笑みを浮かべたー

「この女が”壊れたら”なー」
史香の言葉に、明人は「テメェ!」と叫んで、史香の胸倉を掴むー

「--あれぇ?明人ってば、彼女を殴っちゃうの?
 ひっど~~~い!」
史香のフリをされて、明人は思わず手を放してしまうー。

「--バーカ!」
史香が明人の急所を膝で蹴りつけるー。

「ぐあああっ!」
苦しむ明人を見ながら、史香は笑うー

「--”消耗品”は壊れたら捨てるんだよ。へへへっ!
 この女がぶっ壊れたら、俺はこの身体を捨てて
 次の女を探すー

 この女が睡眠不足??
 知るかよそんなこと!」

史香が笑いながら叫ぶー。

明人は「--お前…!」と、史香を睨みつけるー

かつて、会社の女上司から言われた”消耗品論”を
自らも口にするようになってしまった幽霊の男ー

明人は「頼むから、史香を返してくれ!」と、
土下座をしたー。

史香はそんな明人を見ながら、笑みを浮かべるー。

「---じゃあさ、今、ここで、俺とヤろうぜ?」
史香の言葉に、明人は「ふざけるな!」と怒りの形相で史香を睨むー

「--へへ、お前も彼女とヤりてぇだろ?
 今なら、どんな変態シチュにだってつきあってやるぜ?

 へへ、この女の意識はないから、安心しろよ」

史香が笑いながら、
「-それ、しゃぶってやろうか?この女の口で」
と、明人のズボンを指さしたー

「ふざけるな!!!!」
明人が怒りの形相で叫ぶー

だが、史香は近づいてくると、
ズボンの上から明人のアレを手で掴むー。

「--ほらっ…大きくなっちゃって…
 わたしに興奮してるんでしょ?」

史香が甘い声を出すー

「やめろ…ふざけるな…!
 誰が、、誰がお前なんかに興奮するか…!!」

明人がそう叫ぶー。

「--この女、エッチなこと、苦手なんだろ?」
史香が笑うー。

明人は険しい表情をしたままー
答えない。

史香は、高校時代に痴漢に襲われたことがあり、
エッチなことが苦手で、男性に対しても恐怖心を抱いているー。

明人が、史香の家で、寝ている史香の様子を見張ることになった時、
何度も「俺は何もしないから」と言っていたのは、
史香のその過去を、明人は知っているからだー。

「--何でそれを?」
明人が表情を歪めるー

「---はは、最初にこの女に憑依した日の夜、
 お前とそんな感じの話をしていたから、知っただけさ」
笑う史香ー

明人と史香が”睡眠不足”について悩んでいることを
知らない様子だったしー
史香が正気の時は、この男が逆に意識を失っている状態なのだろうー。
史香の記憶を読み取れる様子もないー。

「--でもよぉ」
史香は笑いながら、服を脱ぎ捨てたー

「--!!」

明人が「やめろ!」と叫ぶー

「--今のわたしは、、エッチなことしたくてしたくてたまらないの♡」
下着姿で甘い声を出す史香ー

「貴様ぁ!」
明人が拳を握りしめるー

「--ほら、大好きな彼女がお前を誘惑してるんだぜ?来いよ!」
史香が叫ぶー

「--ふ、、ふざけるな!」
明人が叫び返すー。

「--今なら、この女の意識は眠ってるー
 俺とお前でやりたい放題だー

 大丈夫だってー
 どうだ?お前を俺のセフレにしてやるよ

 ほら、この女の夜の記憶はないー
 適当にお前が説明しておいてやればー
 お前は俺と、、いいえ、わたしとヤリたい放題よ♡」

史香の言葉に、明人は顔を赤らめながらもー
断言したー

”断る”
とー。

「---はぁ???つまんねぇ野郎だな!?
 心配するんじゃねぇよ
 この女に記憶はねぇ

 一緒に滅茶苦茶にしてやろうぜ!」

史香の言葉に、
明人は「史香は、史香は寝不足で悩んでいるんだぞ!お前のせいで!」
と、叫ぶー

「--へへ、そいつは悪かったな」
史香は下着姿のまま、ニヤニヤと笑うー。

「---史香、本当に調子悪そうなんだ!
 このまま寝不足が続いたら、史香はー」

「知るかよ。死んだら死んだで知らねぇよ」
史香が真顔で言うー

「--な、、、」
明人は身体を震わせたー。

「--女に憑依しまくってるのは、復讐も兼ねてるんだよ。
 こいつが死のうが関係ねぇよ」
史香はそう言うと、
明人の方を見つめたー

「ほ~ら、明人、わたしとヤろ♡」

史香の誘惑するような声ー

明人は、史香の手を振り払ったー

「------…」
史香の顔から笑顔が消えたー。

「--最後のチャンスだ。 わたしとヤ・れ」
史香が引きつった顔で、明人を見つめるー

「---断る!絶対にお前の言いなりになんてならない」
明人がそう宣言するとー
史香は、「あっそ」と呟いたー。

「--じゃあーーーー」

史香が、突然近くの金属片のようなものを掴みー

「--!?」
明人が、史香!?と叫ぶと同時にー
史香は、明人を思いきり殴りつけたー。

明人の意識が飛んだー

・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「---えっ!?!?」
明人が突然、目を覚ますとー
史香が、目の前で悲鳴を上げながら泣いていたー

「--いや、、、っ…もう来ないで…!出て行って!」
史香が泣きながら叫んでいるー

「--!?」
明人が、状況を理解できずに困惑するー
頭がまだずきずきするー。

「--え…ふみ…か?」

「--出て行って!!!!!」
史香が泣きながら、明人に物を投げ付けたー

慌てて「ご、、ごめん!」と言いながら、家から飛び出る明人ー。


明人は困惑しながらも自分の家に帰宅して、
すぐに史香に”何があったのか?”と連絡を入れたー。

そして、憑依のことも話そうとしたー

が、すぐに全ての連絡先を”遮断”されてしまったー

翌日ー
大学でも完全に無視されーー
明人は、どうすることも出来ない状態に陥ったー。

”何があったー?”
明人は困惑するー

史香に早く”憑依”のことを伝えないとー。

とー。


そして、
夜ー

スマホに、突然史香からの連絡が入ったー

それに出る明人ー。

”よぉーーーー
  ”俺”だよー
 この女が寝たから、また身体を乗っ取らせてもらったぜ”

その言葉に、明人は「またお前か!史香の身体から出ていけ!」と叫ぶー。

”へへへ…
 お前、昨日、何が起きたか理解してないようだな?”

史香の声で、邪悪な言葉を口走る男ー

「---なに…?」
明人が言うと、史香は笑ったー

”昨日、この女の身体でお前を殴りつけてお前を失神させたあとー
 俺はお前に憑依したんだー
 俺は相手が意識を失ってないと、自由にできないからなー

 そしてーーー
 お前の身体で、正気を取り戻したお前の彼女を襲ったー

 お前のフリをしてー
 「俺、ずっと、史香とエッチしたかったんだ」って言いながらなぁ”

史香を乗っ取った男の言葉に、
明人は凍り付いたー

「なんだって…?」
明人は、昨日の史香ー
そして、連絡先を一切遮断されてしまった状態を思い出すー

”はははは!お前はもう嫌われたぜ!この女に!
 俺と一緒にヤらないからこうなるんだ!

 楽しかったなぁ、信じてた彼氏に
 「身体目的だった」って言われて、
 泣きわめくお前の彼女の姿を見るのはー”

「--な、、なんてことを!」
明人が悲痛な叫びをあげるー

”--そういうわけで、お前はもうこの女には近づけないぜ
 昨日、お前の身体で、この女を何度もぶん殴ってやったからー
 もうこの女はお前に心を開くことはないだろうさー

 あとは、この女が壊れるまで、た~っぷり、夜を楽しませてもらうさ”

「--おい!ふざけるな!待て!」

プッー

電話が切れたー。

明人はスマホを床に叩きつけたー。


なんとかー
なんとかしないとー

連絡先は遮断されているー。

とにかく、大学で事情を話してーーー


しかしー
2日後ー
史香は大学で、倒れてしまったー

睡眠不足が限界を超えたのだー

救急搬送された史香ー

しかし、史香本人が意識を失ったことで、
あの男に病院で乗っ取られて、史香は病院を抜け出したー


「---史香ーー」
自宅で史香の写真を見つめながら、
涙を流すことしか、今の明人にはできなかったー。


おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

彼女が弄ばれるダークなお話でした~!

記憶にない睡眠不足にはご用心、ですネ~!

今日もありがとうございました~!

コメント

No title

なんか幽霊の男より、情け容赦のない女上司の方がそもそものすべての元凶ですね。こんな幽霊を生み出した女上司は実に罪深い。幽霊の男は女上司には復讐したんですかね?
したんでしょうね。しない理由はありませんし。
その辺りの話も見てみたかった。

Re: No title

コメントありがとうございます~!

既に上司は”消耗品”として、幽霊になった男に
憑依されて悲惨な結末を迎えてますネ~!

そのあたりのお話は機会があれば~!
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プロフィール

無名

Author:無名
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