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<憑依>悪の魂Inject~イスミ・ミスト~

検死官ジョー。
人間の死体から取り出した「悪の部分」を人に憑依させて、
人が悪の道に落ちていく様子を、今日も彼は楽しんでいた。

そんな彼が今回用意したのは、
井澄ミスト なる人物の悪の魂。
毒々しい紫色の魂を手に、彼は邪悪にほほ笑んだー。

※TSF小説サイト、霧のかかった坂の管理人様
 井澄ミスト様の御許可を頂き、実現したコラボ(?)作品です
 井澄ミスト様ツイッター
↑興味ある方はこちらからご覧ください^^
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ジョーはソファーに腰掛けながらワイングラスの片手に
テレビを見つめていた。

DVDで彼が再生していたのは、
アポロ計画という月面に人類が降り立った時の映像だった。

月面に降り立った人物は、こう言った。

”一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍である”

とー。


ジョーはテレビから流れるその言葉を聞き、
惜しみのない拍手を送った。

「素晴らしい」
ジョーはワイングラスを片手に立ち上がると、
ショーケースのようなモノに入った
”紫色の毒々しい色をした悪の魂”を手に取った。
”井澄ミスト”と名乗っていた女子高生から取り出した悪の魂だ。
この魂には異様な雰囲気が漂っている・・・・。


ジョーは呟く。

”世間の人間にとっては小さな変化だが、私にとっては大きな飛躍である”

ジョーは、宇宙飛行士の言葉になぞらえて、
悪の魂を投げ込むことを、そう表現した。

「一つ一つの魂が、私を大きく飛躍させてくれるー」

ジョーは紫の魂を見つめると、
囁いた

「期待しているぞー井澄ミスト」

そう言うと、ジョーは紫色の魂をペロペロと舐めはじめた。

「レロレロレロレロレロ…」
奇声を発しながら魂を舐め終えるとジョーは微笑んだ。

「これは…どす黒い心の持ち主の味だな…」
ジョーは魂の味をそう評すると、
そのまま自宅から外へと走り出した。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

とある高校の昼休み。

クラスの中でも成績上位のメガネ女子、
冴木 天音(さえき あまね)は、
静かに一人、読書をしていた。

友達は居るのだが、
彼女はこうして静かに過ごすことを好んでいた。


そんな彼女の背後には
”姿”を消したジョーが立っていた。

ジョーの手には紫色の毒のような色をした魂ー。


「この魂からは強いオーラを感じる。
 ーーー楽しませてくれよ」

ジョーが言うと、
野球のフォームの如く、悪の魂を天音に向かって
投げつけた

「行ってこい!井澄ミストォ!」
ジョーが叫ぶと、悪の魂は、天音に命中し、
そのまま体に包まれていった

「ヒュウ…」
ジョーは口笛を吹き、
姿を消したまま、天音の変化を見つめることにした。


「---あれ…わたし…なんか変…」
天音が言葉を呟く。

「な、、何だろ…あれ???」
天音は自分の下着が湿りだしていることに
気付いた。

「え…え、、、何これ!?えっ…??」
天音が顔を赤くする。

そういえば…
さっきから自分のサラサラな髪の毛や
胸、スカートから覗く自分の足、
いや、自分のスカートにも興奮を感じている。

「あ・・・あれ…わたし…
 あっ、、なんか・・・いい…すっごくいい」

天音はつい自分のサラサラな髪の毛を
いじりながら、その香りを嗅いだ

「はっ…わたし、、、いいニオイ」

意味不明な事を呟く天音。
さっきまで読んでいた本が床に転がり落ちている。


「・・・」
ジョーはその様子を見ながら思う

”もう、悪の魂の影響が出たのか?
 早すぎる…” と。

ジョーが今まで投げ入れた107個の悪の魂の経験上、
早くても影響が出るには1日はかかるはずだった。

「あっ…あれ…
 な、、なんか創作意欲が湧いてきた…!」

天音がそう呟くと
自分のスマホでおもむろにブログの管理画面を
開き、あっという間にパスワードを入力して
ブログを入力し始めた。。

ニヤニヤとイヤらしい笑みを浮かべながら
文章を入力している天音。


ジョーが不思議そうに姿を消したまま
天音のそばに行き、スマホの画面を覗きこむ。

そこには
”霧のかかった坂”というサイトが表示されていた。

「ほうほう…」
ジョーがつぶやく。

「この子のブログかー?
 それとも、井澄ミストとかいう子のー?」

ジョーは”どっちでも良いか”などと思いながら画面を見る。

天音は
イヤらしい笑みを浮かべながら
”風紀委員の使命3”という小説を書いているようだ。


ジョーがそのブログのプロフィール欄を見ると
そこには、”井澄ミスト”と書かれていた。

「ほぅ…悪の魂の影響で、
 悪の魂の持ち主が元々使っていたブログの
 編集を始めたというのか」

ジョーは興味深そうに、呟くと、そのまま教室の後ろに
歩いて行き、引き続き、天音を観察した

「完成~~~!」
天音が嬉しそうに叫ぶと、
そのままその小説は投稿されたようだ。


「--えへへっ!
 井澄ミストの新作、完成ー!」

嬉しそうに叫ぶ天音。

何がそんなに嬉しいのか?と
ジョーは首をかしげる。

「---あれ」
突然、天音が首をかしげる

「井澄ミストって……?なに…?
 誰の名前…???

 私は冴木天音だし…」

そう呟くと天音はさらに一人で何かを呟き始めた。

「わたしは天音ー
 わたしは天音ーー」

だが、その言葉に天音は違和感を感じる。
どうにも何かがひっかかる…。

何かが違う気がする。

天音は試しに呟いてみた。

「わたしはー井澄ミストーー」

何故だか、その方がしっくりと来た。

「えーー?」
自分で自分の思っていることが分からなくなる…

「な、、何なの…
 わたしは…私は…天音…だよね?」


その時だった。
他の生徒が教室に戻ってきて、
天音のそばを通る。

「あれぇ?天音!本が落ちてるよ!」
友人の一人がそういうと、
天音が突然叫んだ

「天音じゃない!わたしは井澄ミスト!」

友人が目を丸くする

「へーー?
 アンタ何言ってんの??」

その言葉を聞いて、天音は我を取り戻した。

「えーー、
 あ、、ご、、ごめん」


ジョーは、そこまで見届けると、一旦離脱した。
”明日また見に来よう”

ジョーはそう呟き離脱したのだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夜。

自宅で天音はパソコンのキーボードをたたきながら
小説を書き続けていた

「あぁ~止まらない創作意欲~♪」

ツイッターアカウントを確認しながら
小説を書き続けていく

「わたしは女子高生♪
 わたしは女子高生♪」

髪の毛を楽しそうにいじりながら、
時に自分の制服や髪のニオイを嗅いで
うっとりとしている天音。

「あぁ……」

天音は帰宅してからも制服姿のままだった。

この姿でいたいー

この姿の方が興奮する―

天音は何故だかその考えに取りつかれていた。


天音がPCに表示された
髪フェチモノ憑依小説を見つめて涎を垂らす

「えへへへへ!あっ…さ、、最高ぅ…」
天音は興奮して下着を再び濡らしてしまう。

「わ、、わたし、、どうしちゃったんだろ…
 べ、、勉強が全然手につかない

 そ、、創作意欲があふれ出てくる」


天音は困惑する。
だが、すぐにその不安は打ち消された。

「き、、気にすることなんかないよね!
 わ、、私は井澄ミストなんだし!
 えへへっ!」

笑いながらも疑問や不安が込み上げてくる。

けれどもー
心の中から湧き上がる
女子高生を滅茶苦茶にしたいー
憑依して、憑依して、憑依して、
ぜんぶ奪いたい!

そんな思いを抑えることができなかった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日。
ジョーが高校を訪れると、
高校が騒ぎになっていた。


「これはーーー!」

天音が邪悪な笑みを浮かべて歩いている。
目の瞳の部分が紫色に輝き、
毒々しいオーラを天音が発している。

「あははは!みんなの体が欲しいよぉ!
 あはははは!」
叫びながら徘徊する天音。

周囲の生徒が不気味そうに見ている。

「憑依!憑依だーいすき!」
天音がそう呟くと、
近くにいた女子生徒をつかみ、
口から紫色の煙を吐き出すと、悲鳴をあげる
その女子生徒に紫色の煙が吸い込まれていく。

紫色の煙を吸った女子生徒の瞳は
紫色に輝き、つぶやいた

「わたしは、、井澄ミスト・・・」と。


ジョーは目を見開いた。

「悪の魂を憑依させられた人間が、
 別の人間を…??」

驚くジョーをよそ目に、
井澄ミストの悪の魂を放り込まれた
天音は、次々と女子生徒を襲い、
口から吐き出した紫の霧で、女子生徒を”井澄ミスト”に変えてゆく。


「うふふふっ…体借りるだけだから心配しないでね!
 わたし、グレー憑依マンだから酷いことはしないの!えへへ!」

既に”井澄ミスト”を名乗る女子生徒が5人に増えていた。


「ど、どういうことだ?」
ジョーが声をあげた。

ーーあまり騒ぎが大きくなれば面倒だー。
ジョーは”いざとなれば自分が介入して”騒ぎを抑えることを
考え始めていた。


天音が、昨日、天音の落とした本を拾ってくれた女子生徒をつかむ。

「ひっ…あ、、天音!どうしたのよ!
 何するの?」

天音から湧き出る紫色のオーラに驚く友人

「ひぃ、離して!離してぇ!」

その言葉に天音は微笑んだ。

「ハートフル憑依しま~す!」
そう言うと、天音の口から紫の霧が飛び出し、
その友人の体内に侵入した。


「あっ、、、あ・・・」
涙を流した状態の友人は苦しそうな声をあげた。

「ひっ!? ぎぃぃぃっ!! や、やめてっ!? く、苦しいぃぃぃ!!」
叫ぶ友人。

そして…
黙り込んでうなだれると、
瞳を紫色に輝かせて、ほほ笑んだ。

「わ、、わたしは井澄ミスト…
 グレー憑依マンです!」

と、そう口にしながら…


紫の霧は拡大した。

既に学年の半数の女子生徒が
「井澄ミスト」を名乗り、校内を徘徊している。

「---こんなこと、今までなかった!」
ジョーが声を発する。


ジョーは知らないことだが、
ジョーが悪の魂を取り出した女子高生の本名は
”井澄ミスト”ではない。

彼女の本名は小早川 優杏(こばやかわ ゆあん)。
彼女は死亡する3日前から奇行に走り出した。

そう、3日前に、この世のどこかに存在する”井澄ミスト”という
人物が発した謎の霧に包まれ、思考は塗りつぶされ、
井澄ミストを名乗り、奇行に走り出したあげく死亡したのだった。

彼女から取り出した悪の魂は
小早川 優杏であり、井澄ミストの悪の魂でもあった。

2つが混ざり合った”イレギュラー”な存在であったがゆえに、
今までにない事態が起きた。

本来”意識”を持たないはずの悪の魂が意識を持ち、
天音の意識と肉体を完全に乗っ取り、
周囲を汚染しはじめたのだった。

悪の魂が発する強いシグナルー
”わたしは井澄ミスト”という言葉に従い、
井澄ミストを増やすべく、動き出したのだった。


「---!!」
はっとしたジョーが見ると、
既に女子生徒のほぼ全員が一列に整列していた。

「わたしは井澄ミストー」
「わたしは井澄ミスト―」

みんなイヤらしい笑みを浮かべながら
体を弄んでいる。

巻き添えを喰らったのだろうかー
用務員のおじさんや数名の男子生徒、
嘱託のおばさんまでまじっている。

おじさんも「わたしは井澄ミスト―」とつぶやき、
自分の胸を弄んでいる。


ジョーは首を振った

「井澄ミストー恐るべし」

そして、
ジョーは右腕に力を込めた。

金色に光り出す右腕。

ジョーにはもう一つ、力があった。
”抽出した悪の魂を消滅させる力”

いざと言うときのために、ジョーはこの力を
温存している。

1度使うと、激しく体力を消耗するほかー、
その体の持ち主ごと殺してしまうからだ。

ジョーは、検死官であり、人殺しではない。

だが、この力を使うということはー。


ジョーはかつて”名倉俊之”というホテルの支配人に
襲われた時も、この金色の腕を使い、名倉を魂ごと
抹殺しようとしていた。

だがー
あの時は名倉自身が先に矛を収めたため、
ジョーはそれをしなかったのだ…。


ジョーは天音に近づき、
天音にその金色に光った状態の腕をかざして叫んだ。

「悪く思うな!消え去れ!井澄ミストぉ!」

次の瞬間、天音が悲鳴をあげた。

「あっ、、、ああああああああああああ!
 い、、いや、、いや、、、わ、、、わたし、、、
 きえたくない…きえた・・・くな・・・」


そしてフッと糸が切れたかのように天音がその場に倒れた。
”魂が消滅した彼女はーー”
肉体は生きているが、もう2度と目を覚まさない。


ーー他の生徒たちが一斉に正気を取り戻す。

「あれ?わたしー」


井澄ミストの悪の魂、という本体が消滅したため
皆、正気にもどったのだった。


その様子を見て、ジョーは舌打ちをして
その場を立ち去った。

「過度な力を持つ、悪の魂は危険ー
 覚えておこう」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夜。

自室でジョーは、天音の写真に×をつけた。

テレビが流れているその部屋で、
ジョーは考える。

「井澄ミスト といい、
 この前のホテルの支配人といい、
 この世の中にはおかしなやつがいるものだ」

ジョーは呆れた様子でそう呟くと、
次の写真を見つめた。

”109人目の獲物は女子中学生”

ジョーは一つ、悪の魂を取り出すと微笑んだ。

「やさしい女子中学生に、
 獰猛なライオンから取り出した悪の魂を放り込むと…
 どうなるのか…フフ…」

”人を食べる女子中学生にでもなるのだろうかー”

ジョーはそんな風に思いながら
窓の外の三日月に向かってワイングラスを乾杯した・・・。


「---地球は青かった」

テレビから宇宙飛行士の名言が聞こえてきた。

ジョーはその言葉をなぞらえ、こう言った。
「--井澄ミストは、、黒かったーーー

 乾 杯!」


ワイングラスの音が不気味に闇夜に響き渡った…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

とある場所。

謎の人物が、異変を察知した。
”自分の分身が一体消えた” と。

その人物の片隅には
”井澄ミスト”と書かれた名刺が置かれていた…。


”闇のミスト”は消えることはない。
また、どこかで、可愛い子が、犠牲になるのだろうー。


井澄ミストとは何者なのかー?
それは、誰にも分からない・・・


おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

井澄ミスト様ありがとうございました^^
なんか、混沌とした小説になってしまいましたが
とりあえずこちらで…

作中では”グレー憑依マン”を主張されていましたが
私は、ブラック憑依マンだと思っています(笑)

ご覧いただきありがとうございました!


コメント

No title

ジョーさんはまたヤバいやつ(笑)に関わってしまったw

Re: No title

> ジョーさんはまたヤバいやつ(笑)に関わってしまったw

「ヤバいやつに関わってしまった・・・!」
ヤバいジョーさんがそう言ってるのがなかなかシュールですw

No title

霧の拡散力は半端ない。
ジョー自体も結構凄いはずだが、名倉と言い、この方と言い、いかんせん相手が悪すぎた。
という事で次回は、名倉VSミスト様で。
流石の名倉も、どうしようもあるまいて

俺なら・・・霧には霧でって感じかな。その前に、今一度サイト確認しなければ(↑すでに毒されてる事に気付かない。哀れ

Re: No title

> 霧の拡散力は半端ない。
> ジョー自体も結構凄いはずだが、名倉と言い、この方と言い、いかんせん相手が悪すぎた。
> という事で次回は、名倉VSミスト様で。
> 流石の名倉も、どうしようもあるまいて
>
> 俺なら・・・霧には霧でって感じかな。その前に、今一度サイト確認しなければ(↑すでに毒されてる事に気付かない。哀れ

名倉さんもきっと唖然とすることでしょう…
一緒になって楽しみだしたりするかもしれませんが…
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プロフィール

無名

Author:無名
憑依小説好きです!
TSF/憑依系メイン
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