fc2ブログ

憑依小説 混ざり合う意思③

自分の中の怒りが抑えられない。

自分が、自分でなくなって行く。。。

そんな恐怖に加奈はおびえていた…
-----------------------------------------------------

授業が終わった。

6時間目にあった犯罪者を許さない、みたいな
DVDを見る授業…
警察の人が来て、熱心に説明していたが、
加奈は腹が立って仕方が無かった。

「お前ら、そんなに誇れる人間なのかよ…」
視聴覚室からの帰路、加奈は呟いた。

無意識だった。
自然と、腹が立ったし、
自然と、口から言葉が出た

「え??」
隣に居た美優が驚いて加奈の方を見る

「いま、、何てーー?」
美優が加奈の方を見て言う


「ううん。何でもないよ」
加奈はそう言った。

そう、何でもない。

今朝、加奈は自分が何だかオカシイことを不安に
思っていた。
だが、今はそうではないー。

なんだか、本来の自分を取り戻しているような
そんな錯覚さえする。

勿論、授業は真面目に受けなくてはいけないし、
美優の事も大切な友達だ。

でも、腹が立つものには腹が立つし、
なんだか今日は自分の体がいつも以上に愛おしく感じる。

いま、この場で自分自身を滅茶苦茶にしてしまいたい。
そんな感情に支配される


「…やっぱ変だよ、今日の加奈…
 どうしちゃったの?」
美優が心配そうに聞く

「変?私が?」
加奈はそう聞き返した。

「だって…なんかさ…」
目の前の美優が心から心配している、という
表情で加奈を見る


!?

ふと、加奈は我に返った。

何でさっき、、あんなにイライラしていたんだろう・・・

それに何で、自分の体に…こう、
興奮したりなんかしたんだろう…。


「え…あ、、、み、美優ちゃん
 ごめん…
 そうだよね、、私変だよね」

加奈は咄嗟に行った。

自分でも自分の置かれている状況が分からない

「…あ、明日から2連休だし、
 ちゃんと休むね!」
加奈は無理やり笑顔を作ってそう言った。

「…う、うん…そうした方がいいよ」
美優は一歩引いたような笑顔でそう言った。


私・・・本当にどうしちゃったんだろう…?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

不安な気持ちは消えない。

加奈は一人、下校していた。


そのまま加奈は帰るはずだった。


今日はバイトも無い。
明日からは休み。

しかし、気が付くと加奈は洋服屋に入っていた。

「うわ~~
 この服来たら、可愛いだろうな~」
加奈は満面の笑みで服を物色している。

しかも、普段の加奈が着そうにない、
男を誘うような派手なものばかりみている

そして加奈は乱暴な手つきで服を数点選ぶと
レジで会計を済ませた


「ウフフ…楽しみ!」
加奈は嬉しそうに笑みを浮かべた。


夜。

「あれ…どうして私・・・」
加奈は自分の購入した服を見て戸惑う。

「お金…ためてたのに…
 何で、こんなもの買っちゃったんだろう…」

「こんな服、、着れないよ・・・私は」
加奈は涙ぐんだ。


自分はいったいどうしてしまったのか?

この服を買った時もそうだ。
その時はとても、気分が良いし、買うことに迷いはない。

ただ、時間が経つとふと我に返るような瞬間がある。
いまがそうだ。

どうしてこんなモノを買ってしまったのだろう・・・。


「・・・私・・・どうすればいいの・・・?」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

翌朝

2階から降りてきた加奈を見て母親が驚く

「加奈・・・?随分今日はおしゃれなのね・・?
 デートか何か?」

母が聞くと、
加奈は満面の笑みで答えた

「ううん。何もないよ
 私だって年頃なんだから、おしゃれの一つや二つも
 するよ!」

加奈がそう言った。

いつもあまり化粧をしない加奈がしっかりと化粧をしているだけでなく、
短くて男が喜びそうなスカートをはいている。

「・・・・・・そう」
母親は疑問に思いながらもそういった


テレビでニュースが流れている。

「数日前、殺人と暴漢の疑いで指名手配されていた男、
 倉持 幸雄 が警察からの逃走中に事故を起こし
 死亡した事件ーーー」

加奈はニュースの方を見る


「いや~昔から根暗なやつでしたよ。
 クラスに居るんだかいないんだか」

犯人の同級生がインタビューに答えている


「正直、いつかはやると思ってたんすよね」
男がニヤニヤしながらインタビューに答えている


加奈は持っていたコップを握りしめた

「ああいうヤツと同級生なんて、
 こっちが恥ずかしいっすよ」

テレビの方を加奈は睨みつけて
コップをテレビに思いっきり投げつけた。


「ふざけんな!」
加奈が普段出さないような怒鳴り声が自宅に響き渡る

テレビにぶつかったコップはそのまま砕け散り、
中身と共に床に散らばった


「ちょ、、ちょっと加奈!」
母親が驚く


「・・・・・・ゼッタイ許さない」
加奈はなおも、恐ろしい形相でテレビを睨みつけている。


「加奈!」
母親が加奈の肩をつかみ揺さぶる


「・・・・・・・・・え・・・」
加奈が茫然とした様子でテレビの方を見る。

「・・・あれ・・・何これ・・・」
加奈がもうろうとした雰囲気で言う。


「ちょ、、ちょっと!大丈夫!?」
母親もあまりの様子にうろたえている

「・・・・・・う、、うん大丈夫・・・。
 何か急にカッとなっちゃって・・・」
加奈はそれだけ言うと、散らばった床の片づけを始めた。


「私は・・・一体・・・」

そう呟いた加奈は少し笑みを浮かべた

「加奈・・・・・・」
自分の名前を呟き、恍惚そうな表情を浮かべる加奈


「あれ・・・・・・私って・・・・・・
 加奈・・・だよね・・・?」

ふと、おかしな考えが頭をよぎった。


ユキオ・・・ユキオ・・・。

何故か頭にユキオという名前が過る

「なにっ・・・なんなのユキオって・・・」
加奈は一人呟く

「・・・・・・違う、、違う、、私は加奈。。。加奈よ・・・」
加奈は混乱した様子で後片付けを終えると、そのまま自分の
部屋に走り去ってしまった。


部屋に辿り着いた加奈は
自分の姿を鏡で見た。

そして、自分の姿を見て満面の笑みを浮かべた・・・


④へ続く

コメント

非公開コメント

プロフィール

無名

Author:無名
憑依小説好きです!
TSF/憑依系メイン
の小説を公開していきます!

基本的に毎日更新しています!

無断転載はご遠慮下さい。。

ツイッターやってます!

カテゴリ

検索フォーム