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<憑依>暴走憑依男~夜に咲くさくら~②(完)

さくらを追い詰めていくオタク男ー。

自分をあざ笑った女子大生を”絶望”させていく。

男にとって、それはゲームだったのかもしれない…。
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破れ乱れた服で、上半身を半分露出させながら
笑う鳴海。

さくらは目から涙をこぼしたー。

鳴海はー
たった一人の肉親の母のために、
日々頑張っている真面目な子だったー。

そんな鳴海の人生がーー。

「うふふ・・・♡
 さくら…私、悲しい…。。。

 せっかく今まで頑張ってきたのに…
 こんな風に全部壊されちゃうなんて」

さくらの上に乗った鳴海が笑う。

「----…やめて!鳴海から出てって!」
さくらが叫んだ。

大学内でギャラリーが出来ている。

真面目でおしとやかな鳴海が
突然、自分の服を破り捨てて
さくらを押し倒したー。

それは、
”異常”な光景だったー。

「あははははっ!
 わたし、もう人生壊されちゃった!
 ははは!!可愛い女の子の人生壊すのって
 興奮するぅ!!」

鳴海があまりの興奮に体をブルブルと震わせている。

「---やめてよ!
 鳴海は関係ないでしょ!」

さくらが叫ぶ。

だが-、
オタク男はーーいや、鳴海は笑った。

「ダメよ…
 ”あんたが私を巻き込んだ”のー。

 私は復讐のためなら”使えるものは何でも使う”のー」

鳴海の言葉に心優しいさくらはカッとなったー

「どこまで人を弄べば気が済むの!
 このオタク!!!!」

ーー普段 声を荒げたりしないさくらが精いっぱいの力で
叫んだ。

ー許せなかったーー。

確かに自分はオタク男を笑ったかもしれないー。

けれど、こんなー
”他の人まで巻き込む”なんてー。

鳴海の顔から笑顔が消えた。

「くっ…言ったな!?お前、言ったな!?
 今、僕の事をオタクって言ったな!?」

大人しい顔の鳴海が目に狂気を浮かべて叫ぶ。

「もういい、滅茶苦茶にしてやる!
 お前も、、、僕、、いや、私も滅茶苦茶になってやる!」

鳴海はそう言うと、倒れたままのさくらのスカートの
中に無理やり手を突っ込み始めた。

「やめて!鳴海!目を覚まして!」
さくらがもがくー。
鳴海にこんなことをさせるわけにはいかないー。

「---あぁ、さくらちゃんのアソコ、
 もう濡れちゃってるねぇ~
 うふふふ♡」

鳴海が汚らしく涎を垂らしながら
イヤらしい笑みを浮かべているー

「やめなさいよ!」
さくらが力を込めて鳴海の体を突き飛ばした。


さくらは慌てて立ち上がり周囲を見たー。

破れた服を身にまとい、笑う鳴海―。

既に周囲には大勢のギャラリーが出来ている。


「お、おい…あれ?飯淵さんだよな…」

「鳴海…何やってるの?」

「うほっ!すっげぇ、写真撮るしかねぇなこりゃ!」


色々な声が上がっている。

もうーーー、手遅れ…。

さくらは目に涙をためて、鳴海の方を見たー。

鳴海は笑うー
「あんたが、私を巻き込んだのよ!」

そう言うと、自分のスカートにも手をかけ、
それをそのまま脱ぎ捨ててしまった。


「きゃあああ!」

「ふぉぉぉぉぉぉ!」

周囲から色々な声があがる。

大学のキャンバス内で
服を脱ぎ捨ててしまった鳴海―。

彼女のーーー
母を楽させたいという想いはこんなカタチで、消えてしまうのかー。

「---鳴海…お願い…目を覚まして・・」
さくらはその場に座り込んで涙を流した。

鳴海はそれを見て、
自分の髪を手でかきむしり、ボロボロにしながら、さくらに近づいた。

「--どう?これで理解した?
 私に逆らえばーこの女みたいに、アンタの大切なものが
 一つずつ壊されていくーーー」

鳴海の言葉にさくらの心は”折れた”

「わたしーーずっと、アンタのこと、恨み続けるから!
 あはははははっ!!あはははははははっ!!

 女の子の人生壊すの、ほんと最高!!!
 すっげぇ興奮する…!!!」

鳴海が笑いながら、イヤらしい液体を体から流している。
口からは涎を垂らし―、
その目にはーー涙が浮かんでいたーー

あの涙はーーー
鳴海本人が流した涙なのかもしれないーー


「---あはははは…じゃ、そろそろもどろっか」

鳴海がさくらに近づいて、さくらにキスをすると、
鳴海はその場に倒れた。

ほどなくして警備員が駆け付けた。
白目を剥いて、ピクピクと痙攣している鳴海は、
そのまま運び出されて…
後日、退学になってしまった…。

そのあと、鳴海がどうしているのかは、
さくらは知らないー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”あの日”以降、
さくらは家に引きこもるようになった。

スマホにはバイト先の店長からLINEが来ていた。

”ごめんな…
 これ以上、市川さんを庇えない”

さくらが無断欠勤を続けることに関して、
バイト先の本部から指摘が入ったようだ。

もう、さくらの事は解雇するしかないと…。


「----ごめんなさい」
さくらは目に涙をためた。

さくらはーー
あの日以降、全てにおびえるようになってしまったー。


”あの日のことは…辛いだろうけど…
 何かあったらいつでも相談に乗るから!”

バイト先の木藤からのLINE…

”市川先輩…
 私・・・心配です。大丈夫ですか?”

明美からのLINE…


”---色々あったって聞きました…
 力になれることがあったら、何でも言ってください!
 力になりますから!”

風香からのLINEーーー


けれども…それに”答える”ことは許されないー。


”さくらちゃんを、地獄に落としてくのって、本当に楽しいよー”

オタク男の声が脳内に響いた。

”くふふ・・・憑依して
 女の子を地獄に落としていく……
 まるでゲームみたいだ!”

オタク男が叫んだ。

「---…・・」
さくらは、もう、返事する気力も失っていたー。

白目を剥いただらしない恰好の鳴海が運ばれていく
姿が頭から離れないー。」

「--鳴海…ごめんね…」
さくらはまた、涙を流したー。

その時だった-


「許さないからー」

鳴海の声。

ビクッとしてさくらが振り返ると、
そこには鳴海の姿があったー。

いやー
”実際には存在しない”

さくらの脳にいるオタク男が
さくらの脳を刺激して”幻覚”を見せているのだ。

「---私・・・さくらのせいで人生壊れちゃった…」
鳴海が涙を流す。

「---ごめん。。ごめん、、、ごめんね」
さくらはパニックになってひたすら頭をあげる。

だが、鳴海は恨めしい表情でさくらを見たー。

「---私が今、どうしてるか知ってるー?
 大学を退学になってー、
 変態女のレッテルを貼られてーーー
 あの時、大学に居た他の子が、わたしの様子を
 ネットに投稿しちゃって…

 もう…地獄よ…」

さらに鳴海は続けたー

「お母さん…わたしのことでショックを受けて
 倒れちゃった……
 
 お母さんから悲しそうな目で
 「どうしてあんなことしたの…」って言われちゃった…。

 わたし・・・・・・もう、、死にたいよ」

鳴海が涙をこぼす。

オタク男が見せている幻覚ー。
けれども、ほとんどは事実だった。

鳴海の母は倒れー、
鳴海は絶望のどん底でふさぎ込んでいる。


「---ごめん……許して・・・」
さくらが振り絞るように声を出す。

「---許さない……
 ずっと、、ずっと、ずっとずっと、アンタを恨む――」

そう言って、鳴海の幻影は姿を消した―――。


「---もう、、、イヤ…
 もう、、、、助けて…」

さくらはその場で頭を抱え込んだ。


その様子を見てオタク男は笑った。
”僕に、全てを任せなー”


その言葉にも、さくらは反応しなかった。

そしてーー

さくらの体がビクン、としてその直後、
さくらは邪悪にほほ笑んだ

「くふふっ…もう、私は地獄に落ちちゃった…」

さくらはカレンダーを見る。

あと8日ー。
さくらに憑依して22日が経った。

憑依薬によれば1か月前後で、
体から拒絶反応が出て、憑依者もろとも
死んでしまう可能性があるとのことだった。

それを防ぐためには、
元々の体を完全に”奴隷”にする必要があるらしいがー。


「まだ、その時じゃない」
さくらはクスッと笑った。

そして、さくらは笑う。

「あと1週間、、、
 この体で”夜”を楽しんじゃおうかな ウフフ…♡」

さくらは不気味に笑うと、
小悪魔風の衣装を身にまとって、
そのまま夜の街へと歩き出したーー

「私はーーー市川さくらーー」
満面の笑みでほほ笑むさくらー。

「私はー”夜に咲く”さくらー
 クスッ…」

静かに笑うと、
さくらは”夜の街”へと身を投じたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1週間後ーー

さくらは”バイト先”の前に立っていたー
小悪魔風のミニスカートを身にまとい…。


店内では木藤と明美が話している姿が見えるー。

「次はーー
 あなたの番よー。
 山西明美ちゃん…」

笑いながら呟いたさくらはー、
そのまま店内へと向かった…


おわり
暴走憑依男 第2部に続いています)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

初代と第2部の間の裏側を書いてみました!
鳴海さんはどうなってしまったのかはご想像にお任せします…。

また機会があれば、暴走憑依男関連作も書いていきたいと思います!
ありがとうございました!


コメント

No title

こんなことになったらそりゃあ精神的にきますわな

Re: No title

> こんなことになったらそりゃあ精神的にきますわな

鳴海さんはただの被害者…
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無名

Author:無名
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