fc2ブログ

<憑依>禁忌の村③~パンドラの箱~(完)

泰三は、開いてしまった。

”パンドラの箱”を。

決して知ってはいけない村の”禁忌”を知ってしまった。

泰三を待ち受ける運命はー?
そして”村”の恐るべき秘密とは…。
--------------------------------

夜の屋敷を、蝋燭が不気味に照らす。

冬の冷たい風が、
泰三や村長、そして”神”に憑依されている天音に吹きつける。

天音がなびく髪を抑えながら不気味に笑みを浮かべる。
壁に片足をつけ、どこか妖艶な仕草の天音に、
父親は心を痛めると同時に、男として少しドキドキしてしまう。

村長が口を開いた。

「私の娘はブスだったー」

泰三が意味不明だ、という様子で
村長を睨むと村長は続けた。

「私の娘…法子(ほうこ)はブスだった…。
 君にも写真を見せたことがあるだろう?」

村長が言う。

泰三は思う。
確かに”お世辞にも可愛い”とは言えない
独特の顔立ちをしていた。

なぜ、”神”が最初にこの子を選んだのか。
そう思ったこともある。

「--娘は苦しんでいた。
 小学校、中学校、といじめをうけてな…。

 だが、村の連中は誰も助けようとしなかった。
 ”私の娘”がいじめられている間、
 自分たちの子供はイジメの対象にならない…
 そう思った村の連中はみな、法子の必死の叫びを無視したのじゃ…」

村長が目を見開いて不気味に笑みを浮かべた

「娘は言ったよ。
 ”美人”に生まれたかった… と。

 そこで私は考えた…
 ”人の体を奪えばいい”と。

 そして、私は先祖代々伝わる錬金術に手を出した。

 その結晶がー」

村長が、紫色の毒のような色をした液体の入った
試験管を手に持ち、笑う。

天音が微笑みながら、その様子を見ている。

「--憑依薬。
 私が作り出した薬だよ。

 これを使って、”娘”に新しいからだをプレゼントしようとした。
 …誰かの体を奪ってな」

村長の言葉に泰三は開いた口がふさがらない、という様子で
続きを促した。

「だがーー、
 娘はこう言った。
 ”この村のやつらに復讐したい”
 ”可愛い子の体をいっぱいいっぱい弄んでやりたい” と。

 そこで、私は策を練った。

 それこそが”神”」

泰三が口を開く

「神ーーー。。」

村長はうなずいて続ける。

「最初の1年は、馬鹿な村人たちに信じさせるため、
 娘に”演技”をしてもらった。
 つまり、1年、娘には我慢してもらったのだ。

 ”神”に憑依された演技をしてもらってな…

 ”1年ごとに神に肉体をささげなくてはならない”
 
 その決まりを作るのには苦労したぞ…」

村長が笑う。

「村人たちを恐怖でしばりあげるために、
 私が考えたのが”神の崇り”だ。

 元々この地方には神が住んでいるという言い伝えがあったし、
 村人たちもそれを信じていた。

 だから、娘が神に憑依された、という話を信じるモノも多かった。

 だがーー
 ”自分の娘の体を奪われる”となった家庭は猛反発するだろう。

 そのために、恐怖を村人たちに植え付ける必要があった」

蝋燭が火を弱める。
天音がほほ笑んで、その火を調整している。
イチイチ色っぽい仕草をしているのが、父である泰三の気に障った。


「--神の崇りー。
 あれは”私”だ。

 私が”神”の存在を疑うものー
 神にはむかおうとするものに憑依して、
 悲惨な方法で惨殺しているにすぎないー

 つい先日、高校生の真琴ちゃんが
 発狂して死んだじゃろ?

 あれも私が憑依してやったことだー。」

泰三は思うー。

神などいなかったー。

”神”は村長の娘で、
”神の崇り”は村長が秘密を知られないために、
憑依能力を使って、邪魔者を”自殺”させていたに過ぎないのだと。。


「--私の息子はな…
 ”憑依薬”の利用に猛反発した。
 だから、私が憑依して息子を自害させたー

 …それが、最初の”神の崇り”だよー」

泰三はふと思い出す。

妻の幾恵はーーー
”神の崇り”により、ある日突然発狂して、
壁に頭を何度も何度も打ち付けて死んだーー

「---貴様」
泰三が村長を睨む。

「貴様!俺の妻を殺したのも貴様かぁ!」
泰三が鬼のような形相で、村長に殴りかかった。


「ぐほっ!」
高齢の村長はそのままなすすべもなく
吹っ飛んだ。

村長の胸倉をつかむ泰三。

「貴様…今すぐ娘を解放しろ!」
泰三は、村長の体を確かめた。
変な意味ではない。

村長が”憑依薬”を手元に持っていたら
自分が”神の崇り”で殺されてしまう。


「---引っ越しした村人が、
 変死していたのも、、お前の仕業か!」

泰三が叫ぶと村長は「そうじゃ」とつぶやいた。

「村の人口が減ってはこまるのじゃよ…」と
不気味に笑う。


泰三が握りこぶしを作った
その時だった。


バキッ!

背後から強い衝撃を受け、
泰三の体が床にうつ伏せになって倒れる。

「かっ…」
泰三が慌てて、あおむけになると、
そこには高校の制服を着た天音の姿があった。

いつの間にか着替えたようだ。

「お父さん!
 ダメじゃない!暴力なんて!

 わたし、暴力するお父さん嫌いだな!」

そう言うと、天音は制服には不釣り合いの
ハイヒールで、父・泰三の腹部を躊躇なく踏みつけた。

「ねぇ、わたしは”神様”なんだよ?
 おとうさん!
 神様に逆らうの?」

天音が冷たい目で、父を見下す。

「や、、、やめろぉ……」
泰三が苦しみながら声を出す。

「うふふ・・・♡
 実の娘のわたしが…
 実の親である、おとうさんを
 ぶっ殺してあげる!」

天音が無邪気に笑う。


「お、、、お前ら!お前らぁ!」
泰三が怒りを爆発させて叫ぶ。

だが、
天音が泰三の上にそのまま乗りかかってきて、
身動きが取れない。

父の体の上に座る天音。

村長がその様子を見て笑う

「ささ、神様。
 彼は神様に逆らいました。

 ”天罰”をお与えください」

村長がふざけた様子で言うと、
天音は「わかった」と不気味にほほ笑む。


そして村長は屋敷の出口に向かい、
呟いた。

「泰三君…
 君は”パンドラの箱”を開けた。
 
 決して開けてはならん箱を…。
 これが意味することは…分かるな?」

それだけ言うと、村長はランタンを手に、
外へと出て行った。


「うふふ・・・お父さん!
 最後に言い残すことはある?」

天音が言う。

「やめろ!目を覚ませ!天音!天音!」
泰三が叫ぶ。

天音は「うっせぇんだよ!」と声を荒げて、
父親の頬を思いっきりビンタした。

暴力など振るったことがないー
ましてや、親に暴力をふるうなど―。

「あはははは!
 天音の体が悲鳴をあげてる!
 
 一種の拒絶反応ってやつ!?」

天音が大笑いしながら言う。

天音の手が少しだけピクピク震えてる。


「--やめろ・・・天音を返してくれ!
 村の秘密は、、、誰にも言わない!」

泰三は涙ぐみながら言った。

だがーー
天音は笑うだけだった。

「こうやってさぁ、可愛さを生まれ持った女って
 超むかつくよね!

 全てを滅茶苦茶にしてぶっ壊してやりたい気分!
 あははっ!

 私もぶっ壊されちゃいたい気分!
 あははははっ!」

天音が自分の顔を手で引っ張りながら言う。

「ほ~んとうに、
 こういう女の体を乗っ取って、
 本当はしないこと、させるの、、、
 滅茶苦茶興奮する! うふふっ♡」

天音は泰三を再び力強くビンタした。

1回、2回、3回と泰三の顔面を力強くビンタする。


「あはっ、、あははははっ!!!
 娘に叩かれて何にもできない父親!

 うっけるわぁ…あははははは」

天音が興奮した様子で
さらに泰三をビンタする。

泰三の顔は既にボロボロだった。


天音は髪をイライラした様子で乱しながら
笑う。

「アンタさぁ、、そんなにこの体が大事なの!?」

天音の言葉に泰三は、
天音を睨みながら言う。

「当たり前だろ・・・
 お前は・・俺の大切な娘だ…

 たった一人の家族なんだ…」

泰三がよろよろと立ちあがり、
目に涙を浮かべる

「・・・・・・・」
天音が険しい表情で泰三を見つめる。

「--頼む…
 もう、俺から家族を奪わないでくれ。

 頼むよ…
 君のお父さん、村長が君のことを大切に想うように、
 俺だって、、、天音のことが大切なんだ!」

泰三が涙を流しながら叫ぶと、
天音が目を逸らした。

「---今なら、、私のこと、好きにできるのよ?
 娘のこと、女として抱いてみたくーーー」

天音が誘惑の言葉を口にする。

しかしー

「----そんなことはどうでもいい!
 俺は、、、俺は、、天音の事を取り戻したい!
 ただそれだけだ!

 村からも黙って出ていく!
 頼む!頼むから!天音を…」

泰三の目から涙が落ちた。


「----そこまで、、、この子のことを…」
天音が悲しそうな表情で泰三の方を見た。

「・・・頼む…
 天音…俺は、、お前のことが大好きだ…
 お前は俺の自慢の娘だ!

 戻ってきてくれ!頼む…」

泰三が声をしぼりだすようにして言う。


天音はうなずいた。
「わかった…」

「---え…」
泰三が涙目で天音の方を見る。


天音は…笑っていた。

「ごめんなさい…
 あなたの気持ち、、よく伝わった…」

その言葉に泰三は笑みを浮かべた。


「--でも、、、明日、、別の体を選ばないと…
 私の本体はもう死んでしまったから…」

悲しそうな言葉に、
泰三は出口の方を見つめる。

ーー月が綺麗に輝いている。

「ブス…か…
 君も大変だったな…」

泰三がつぶやく。

「…君もイジメで辛かったんだろう…
 もう何十年前のことか知らないけど…
 俺がもしその時代に居たら…
 俺は君のことを助けてあげたかった」

泰三が月を見つめながら言う。


「----ありがとう


 そしてーーーー


 さようならーー

泰三が予期せぬ言葉に
ハッとして振り返ろうとしたその時―、

強い衝撃が頭を襲った。

天音がハイヒールで泰三の頭を強くたたいたのだ。


「うぐっ…」
泰三がその場に倒れ込む

「私への愛情!
 マジ最高なんだけど!
 
 そんな愛を注いだ娘の私に
 あんたは殺されるの!

 うふふふふふ、興奮する!
 興奮するぅ!」

天音が顔を赤らめて、
興奮した様子で、泰三に近づき、
泰三の頭や腹部を力強く踏みつけ始めた。

「がはっ…や…やめ…」
泰三が悲鳴をあげる。

「あっははははははははは♡
 あぁ、あっ、、、あぁぁあん♡」

天音が自分の胸を触りながら
喘ぎ、そして、泰三を踏みつける度に
大きな喘ぎ声をあげている

「お父さんに暴力振るって あっ、、、
 感じてる あぁっ、、あっ♡
 わたしったら変態!うふふふふふっ!」

天音の歪んだ声ー

そしてーー


泰三はボロボロになっていたー。
もう、、動けない。


「最後に教えてあげる…
 天音ちゃんの体、この前まで使ってた
 麗ちゃんよりも、感度が良くてエロいの!
 うふふ・・・♡

 この体でこれから1年間
 い~っぱい男を抱いて、
 い~っぱいエッチなことして、
 天音ちゃんを貪りつくしてあげる!

 天音ちゃんの全てを私が奪ってあげる!

 あっはははははは!」

天音の残酷な言葉に泰三が叫んだ

「貴様ーーーーーーー!」


さが、その言葉は天音の最後の踏みつけにより、
かき消された…。


泰三は、、、もう、動かない。


その夜、村長と天音は、泰三の体をドラム缶につめ、
川に流した。

この村から流れる死体にはーー
誰も手を出さない。

警察もだ。

誰もが”神の崇り”を恐れているからだーー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

三日後。

夜の屋敷で、
村長と天音が話をしていた。

天音はショートパンツ姿でラフな格好をしていた。

「綺麗な太ももじゃの」
村長が涎を垂らす。

「触る?」
天音が太ももを村長に差し出すと、
村長がエロジジイの表情でその太ももに
食らいついた。


ーーーその時だった。


「---キサマラ…。
 わが名を名乗っているのかー?」

ーーーー!?


謎の声が響き、村長と天音が屋敷の入り口に目を向けるーー。


そこにはーーー

村に元々伝承として言い伝わっている
”神”の姿があった。

「ひっ…」
天音が悲鳴をあげる。


「---貴様ら…わが名をかたるとはいい度胸だ…。
 その所業…許すことはデキヌ」

そして続ける。

「今まで村を見守ってきたが、人間どもは愚かだと言うことが分かった。
 貴様ら全員、我が喰らってやろう」

神がそう呟くと、村長が叫んだ。

「悪戯じゃろ?私にはわかーーーー」

その時、
神の姿が変わっていき、
”人ならざる姿”となったーー

赤く光る目ーーー。

「ひっ…、、、あ、、、悪魔!」
村長がそう叫ぶと、

神から謎の煙が放たれ、
村長と天音を包み込んだ。

「いやああああああ!」
天音の絶叫が響き渡る。


・・・・・


翌日。

村長が村人たちを集会場に集めた。
そしてーー

巫女のような服を着た天音が壇上に上がる。

天音が不気味にほほ笑む。
そしてーー
言った…


「”愚かな人間”どもよーーー。
 お前らの魂…この私が頂く…」 と。

天音の目が不気味に赤く光りーー
集会場に悲鳴が響き渡ったーー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

とある川辺。
ドラム缶が流れ着いていた。

そして、そのドラム缶から…
”男”が飛び出した。

村から流された父・泰三だ。

泰三は一時的に仮死状態になっていたものの、
死んではいなかったのだ。

ボロボロの姿で、川の上流にある村を見つめる

そして叫んだ。

「天音ーーーーーーーーーーーー!
 今、助けるからな!」

泰三は川辺にあった
とがる木の棒をもち、村へと走り出した。

「村長も、娘もゆるさねぇ…
 俺の家族を!俺の家族ぉぉぉ!」

泰三はそう叫びながら村へと向かう。


しかしーーー
村は既にーーーー

”パンドラの箱”を開いたのは
泰三ではなくーーー
村長たちだったのかもしれないーーー


おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

これは続きを書くべきでしょうか?(笑)
一応、ここで終わりなのですが…
(続きは頭の中には出来てます)

お読み下さりありがとうございました★

コメント

No title

続きお願いします

No title

ドラム缶から出てくる絵面想像して笑ったw
泰三は殺しても死なないタイプの人間ですねこれは

Re: No title

> 続きお願いします

ありがとうございます^^
そう遠くないうちに続きもかければと思います!

Re: No title

> ドラム缶から出てくる絵面想像して笑ったw
> 泰三は殺しても死なないタイプの人間ですねこれは

確かにドラム缶から出てくる泰三さんはシュールですねw
私が絵を描ければ…笑

No title

これは……w
まさかの展開w

Re: No title

> これは……w
> まさかの展開w

か…神が…降臨されてしまいました(笑)

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
非公開コメント

プロフィール

無名

Author:無名
憑依小説好きです!
TSF/憑依系メイン
の小説を公開していきます!

基本的に毎日更新しています!

無断転載はご遠慮下さい。。

ツイッターやってます!

カテゴリ

検索フォーム