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<憑依>あるかも知れない未来②~浸食~

2090年ー。

憑依が当たり前のように存在する世界。

憑依を禁ずる法律
”尊厳保護法”が制定された。

けれども、もう、この世界は「憑依」に浸食されていたー。
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「お母さん、大丈夫?どうしたの?」
松美がニヤニヤしながら言う。

松美はーー
さっきまで母親に憑依していた男に憑依されてしまい、
からだも心も全て乗っ取られてしまった。

「---わ、、、わたし……
 高校で勉強してたはずなのに…」

母が涙目で、娘を見る。

どこか、母には幼さがにじみ出ていた。

当たり前だ。
彼女の時間はー、
高校生のあのときに止まったままだったのだから。


「---お母さん、憑依されてたんじゃない?」
松美がそっけない様子で言う。

「憑…依・・・」
母ももちろん、憑依のことは知っている。

だが、母の時代は予防接種が始まったばかり。
憑依の予防接種などしていなかったのだ。

「いっ・・・いやああああああ!」
母親が泣き叫んで蹲ってしまう。

「やりたいこと、いっぱいあったのに!
 いや!いやよ!!どうして!!!
 酷い…酷い!!!」

心は高校生のままー。

泣きじゃくる母親を、
立ったまま、残酷な笑みを浮かべて
見下す娘の松美。

「---くくくく…」
松美は笑う。

そして…

「お母さん、病院にいこっ?」
松美が嬉しそうに言う。


ーーー憑依失調症ー。

この世界ではそういう病気がある。

長い間憑依されていた人が発症する精神病で、
憑依されていたことに深くショックを受け、
ふさぎ込んでしまったり、発狂したり、
酷い場合は廃人になってしまうこともある。

憑依失調症は、入院による治療がメインだ。

「---びょういん…」
母親がつぶやく。

「そう。お母さん、憑依失調症になっちゃいそうだもん!
 早く病院にいこ!」

松美が言う。

松美はーー
もう”母親”に用はなかった。

だから、入院させることで、家から追い出そうとしていた。

「--わ、、わたしは…」
母がうろたえている。

「うっせぇんだよ!病院いけよ!このクソババアが!」
松美が激しい形相で母親を怒鳴りつけた。

「ひっ…うっ…うぅ……うっ」
母親はその場で泣き出してしまった。

松美は、乱暴に母親の手をつかみ、
そして病院に連れ込んだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

病院ーー

「お母さんは…ザンネンながら入院になります。

 20年ー。
 想像以上に長い憑依でショックだったのでしょうね…」

女性医師が言う。
年齢は20代後半だろうか。

医師のわりに色っぽい着こなしで、
男を誘惑しているかのようだ。

たまに色っぽい息をつくのも気になる。

「---そうですか」
松美はそっけなく返事をした。

”松美の体”も失調症になるのだろうか。

「あらー」
女性医師が色っぽい声を出すと、
松美の顔に手をつけて微笑んだ。

「あなたー、
 ……ふふっ…”そう”なのね?」

女性医師が言う。

「---え?」
松美が不思議そうな顔をすると、
女性医師は笑った。

「あなた・・・
 宮川 松美さんじゃ…ないわね?」

女性医師に指摘されて
松美は邪悪に笑う。

「・・・だったら何だってんだよ」

それまでの大人しそうな雰囲気を投げ捨て、
松美はその場で足を組み、偉そうな態度で返事をした。

「ふふっ……
 わかるのよ、私には…

 私も”同じだから”-」

女性医師が言う。

松美は笑った

「くふふ・・・なぁんだ、先生も”憑依”されてるんですね。
 いつからですか?」

松美の口調に戻し、医師に尋ねる。

「--ふふ、3年前よ。
 この病院に患者としてきたときに、この先生に
 一目ぼれしてね…。

 予防接種もしていなかったみたいだから、
 かだら、とっちゃった!うふ♡」

嬉しそうに笑う先生。

「憑依っていいですよね♡」
松美が言うと、先生も微笑んだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

診察室から出た松美は思う。

「---憑依の規制なんて、
 今更無駄よ…。」

そう呟き、松美は病院から立ち去った。



この世界ではー、
2割が憑依されているのではないかという統計が出ている。

しかしー、
実際には”5割”だ。

5割の人間が、本来の人間ではないー。

そして、年間数十万、数百万規模で”失踪者”が出ている。

これはつまり、憑依薬を飲んで、霊体化した人間が
それだけいることを示している。


「--ー憑依は我々国民の夢です!」

新総理に就任した女性が声高らかに宣言する。


「人類の新しい扉を閉ざしてはならない。
 私は、人類の夢を、守ります!」

色っぽい姿で叫ぶ新総理。

野党第1党の党首だった、角野 詠美が、
新総理に就任していた。

彼女も、女子高生だったころに、体を奪われている。

今、彼女の中に居るのはー。


「---国民の皆様の夢を、
 私は守ります」

詠美は自信に満ち溢れた表情で、そう高らかに宣言したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日。

登校した松美は、
”いつもの自分”を装い微笑む。

「--ふふ、20年ぶりの女子高生かぁ」

机の下で、太ももを触りながら
「若いって最高!」とつぶやく。

憑依した人間は、
憑依された人間の記憶をも奪い取る。

松美は、体だけではなく、
人生そのものを全て奪われてしまったのだ。


昼休みー。

「--今日は楽しそうじゃん!
 どうしたの?」

親友の香代が言う。

「ふふっ…知りたい?」
松美が妖艶な笑みを浮かべて微笑む。

今日はいつもより、メイクも濃くしてみた。

スカート丈も少し短く。

「---」
香代が松美の方を見る。

そしてー。

突然、松美の胸を触ってきた。

「やわらかい…」
香代が顔を赤らめながら微笑む。

そして、そのまま松美の胸を揉み始めた。

「え、、、ちょっと、、あん♪ なに、するの?
 あぁ♡ あっ♡」

松美が喘ぎながら言うと、
香代は微笑んだ。

「---松美、憑依されちゃったんだね!

 実はね、わたしも幼稚園の頃に、
 男の人に憑依されちゃってたの♪」

香代が笑いながら言う。

親友の香代もー
とうの昔に憑依された人間だったのだ。

「ふふっ…
 松美のからだ、ず~~~っと、こうしたかった」

松美に抱き着いて、キスをする香代。

「--今まで”ナチュラル”でつまらなかったけど、
 ようやく”ポゼッション”になれたんだね!
 おめでとっ!」

香代が、松美の舌を舐めながら笑う。


ナチュラルとは、憑依されていない人間を示す単語。
ポゼッションとは、憑依されている人間を示す単語。

2070年ごろから使われ始めた言葉だ。


「んふぅ… 松美ちゃん、美味しい♡」

そう言うと、香代は唇を離した。

「---ふふ、みんな案外憑依されてるものね?」
松美が言う。


予防接種など意味がないー。

”予防接種”をした、と思い込んでいる人間は多い。


だがーーー
”予防接種”をする医師が既に憑依されているとしたらー?

その医師が”予防接種”だと偽ってビタミン剤を投与したらー?

統計では、9割が予防接種を受けているとされている。

しかし、実際にはーーー3割だ。
”6割”は既に憑依されている医師たちによって
”偽の予防接種”を打たれている。

もう、この世は手遅れなのだ。

一度拡散した憑依薬を止めることはできない。
憑依は、世の中を浸食している。


開発者の御室博士は、一体何を目的としているのだろう。

この国は”憑依先進国”なのだ。


「---わたし、もう”乗り換え”するから」
香代が笑いながら言う。

「え?その体から出てくってコト?」
松美が尋ねると、香代はうなずいた。

「--わたし、、、いや…僕はさ、
 幼稚園の子に憑依して、JKの時に抜けるんだよ!
 JK2年のこの時期になるとさぁ~、
 僕にとっての”旬”は終わりなんだよね!」

香代が胸を揉みながら言う。

「---ふふ、わたしとは違うのね。
 私は女子高生に憑依してそこからスタートよ」

松美が髪をかきあげながら笑う。

「--ふふふ、ま、好みは人それぞれさ」
香代はそう言うと、
可愛らしく手を振った。

「ばいばい!」

松美も、ほほ笑んで、手を振りかえした。


倒れる香代。

周囲のクラスメイト何人かがうろたえている。


すぐに、香代は目を覚ました。

「---あ、、、あれ、、ママは…?」
あどけない表情でつぶやく香代。

「ママ・・・ごはんまだ?おなかすいた!
 香代、おなかすいた!」

幼い口調で話す香代。

香代は、幼稚園児の時に、時計が止まったままーーー

「---……この、お姉ちゃん…だれ?」
香代は教室にあった鏡を見て呟く。

不思議そうに自分の体を触っている。

「--くく…」
松美はそんな香代の様子を見ながら香代に話しかけた。


「--ーお姉ちゃんが”女”の快楽を教えてあげる♡」

香代は、意味がわからない、という様子で松美の
方を見つめたー。


放課後、空き教室で、松美と香代は、
激しく体を交わらせた。

放課後の教室に松美の激しい喘ぎ声が響き渡っていたー。



それから、時は流れたー

2102年。

憑依はもはやとどまることを知らなかった。

それを危惧した国連は、
「ポゼッション宣言」を行う。

憑依を全世界で自粛するべし、とした宣言だー。


けれどーーー
国家の代表の7割が憑依されている現状では、
誰も、それを聞き入れることはなかった。


日本でもー。

憑依薬の予防接種は製造中止になっていた。

国会議員のほとんどが、今や憑依されている。



「---お別れね…」
30近くなった松美がほほ笑む。

そしてーー
松美の体が力無く倒れた。

目を覚ます松美。

「----ここは・・・・?」

彼女の時間も、高校時代に止まったまま。

会社のオフィスで突然、我に返った松美は
当然、意味を理解できない。

「---ひっ…な、、、なにここ…
 わ、、、わたし一体!?」

動揺する松美を見て、
後輩女性社員が笑う。

「あはは!せんぱ~い、もしかして憑依されてたんですか~?
 あははははっ!超ウケる!」
 
松美は、涙目で困惑するしかーーー

「うっ・・・・」
松美が変な声を出した。

そして、松美はまた別の男に憑依されて、
邪悪な笑みを浮かべたーー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あの子だな」
松美から抜け出した男は、
清楚なメガネ女子高生に憑依しようとした。

しかしーーー

”既に中に、別の男が居た”

「ーーーこの子は、俺のものだ!出て行け!」
先客の男が言う。

だが、松美に憑依していた男は叫んだ。

「----失せろ!雑魚が!」

強大なオーラを発した男は、
先客の男を消し去り、そのメガネ女子を乗っ取った。

「くふふっ… あら、デート中?」

その子は、彼氏とちょうどデート中だった。

「---あは、、ま、いっか」
女子高生は嬉しそうに微笑んだ。


ーーー霊体同士が争うこともある。
そうして、”気力の強さ”で負けた霊体は消滅してしまう。

これが、憑依死と呼ばれる現象だ。


「----この世界、楽しすぎ!」
メガネ女子高生が、路上でスカートをめくりながら叫んだ。


・・・・。

・・・・・・・・・・・・。


世界は、まだ知らない。

世界は、終わりに向かっていることを。



憑依薬の開発者、御室博士は既に100を超えていた。

だがー、
彼は生きていた。

”その時”をただひたすらに待ち続けてー。


③へ続く

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コメント

何でしょうね?この世紀末世界は(笑)
こうなってしまったらおしまいです!笑

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無名

Author:無名
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