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<憑依>BODY OFF① ~お売りください~

西暦2070年。

世界では憑依が当たり前のように存在していた。

次第に「からだ」は飽和し、
飽きたからだを売却、また新たなからだを買うという
「リユース」の動きが広がった。

そんな中、台頭したのが、
中古肉体買取販売店「BODY・OFF」-。

※物語はフィクションです。過激なので念のため!
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「BODY OFF」
それは、遊びおわったからだ、使いおわったからだを
買い取りし、販売する、肉体界のリサイクル業者。

「お売りください」のキャッチコピーで、
2068年に登場、瞬く間に、全国へと広がったという経緯を持つ。

2067年、憑依薬は市販化された。
御室博士という人物が、憑依薬の開発・量産に成功したのだ。

瞬く間に、
”社会”のあり方は変わった。

目の前にいる人間が、本当にその人なのか。
友だと思っていた人間の、突然の豹変ー。

憑依により、あらゆることが起きた。

そして、あらゆることが変わった。

動き出した運命の歯車は、
もう誰にも止められないー。


金光 正春(かねみつ まさはる)。
普通の大学生だ。

だがーーー
半年前、
突然、同じ大学生で、彼女だった
福原 彩紗(ふくはら あやさ)が、
豹変し、消息を絶ってしまったのだ。

「--ついに手に入れた!あははははははっ!」

それが、彩紗の最後の言葉。

正春には分っている。
彩紗は誰かに憑依されたのだと。

あれから半年。
正春は必死に彩紗の行方を追っていたが、
結局…見つかることはなかった。

「---くそっ…彩紗、、今、お前はどこに」
正春は怒りをにじませる。

憑依薬を作り出したという科学者、御室博士に
憎しみを抱いたこともあった。

だがーー
御室とかいう男を追いつめたところで、意味はない。

何せ、彩紗に憑依したのは、
その御室ではないのだから…。

憑依薬を購入した誰かなのだからーーー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「いらっしゃいませー!」

BODY OFF。

動物を入れるカゴのようなものに
入れられた女性や男性のからだが、
悲鳴をあげたり、廃人のように笑っていたり、
自らの運命を悟り、大人しくしていたり…

色々な反応を見せている。

籠には値段が書かれている。

25歳男性 9800円ー。

22歳女性 19800円-。

高校2年生 39800円ー。

そう、ここはからだの中古販売を行うお店だった。

ー人身売買。
そう言ってしまえばそこまでだ。

だが、既に憑依薬が一般に広まったこの世界では、
誰かがこのビジネスに手を出すのは時間の問題だった。

BODY OFFの創業者、丸神 隆一郎(まるがみ りゅういちろう)は、
「お売りください」を掲げ、憑依し終えたからだの買取を始めたのだった。


「---あの、買取お願いできますか?」
可愛らしい女子高生が言うと、
20代の女性店員がほほ笑んだ。

「そのお体の買取で、よろしいですか?」 と。

女子高生は微笑む。

「はい♡」  と。

店員は手慣れた様子で、
買い取り申し込み用の「アプリ」の提示を求めた。

もはや、この世界で身分証明書など意味をなさない。

そのため、元々の人間として登録することしかできない
専用のアプリが開発され、世間ではそれを身分証明としていた。

田久保。
それが女子高生に憑依している人間の名前らしい。

「では、買取査定を致しますのでこちらへお願いします」

”買取査定専用スペース”に
女子高生を案内する女性店員。

微笑みながらそこへ向かう女子高生。


「では、お洋服をお脱ぎください」
女性店員に促されて、服を脱ぎ捨てる女子高生。

「--ふむふむ、なかなか良いからだですね!
 結構な値段になると思いますよ!」

女性店員が、女子高生のからだを触ったり、
舐めたり、叩いたりしながら”査定”をしていく。

「髪の毛が少し傷んでますね…
 あとは、左手に荒れが少し」

女性店員は慣れた様子で査定をしていく。

「処女…じゃないんですね…
 じゃあ、ちょっと買取額は下がります」

”査定”されている女子高生は
嬉しそうに微笑んでいる。

彼女は3か月前に、田久保という男に憑依され、
そこから遊びまくりの3か月を過ごした。

「---あら?妊娠してますね…
 じゃあ…”キズモノ”としての買取になりますが
 よろしいですか?」

女性店員が言うと、女子高生はうなずいた。

「--では、買取金額は…8000円…
 制服付きですので8500円になりますが、
 よろしいでしょうか?」

女性店員が尋ねると、
女子高生は「はい!」と答えた。

「---じゃあお支払口座はこちらでよろしいですか?」
女性店員は尋ねた。

売却した「からだ」はこの場で捨てることになる。
だから、目の前の女子高生に買取金額を払っても
意味がないのだ。

「---はい、お願いします」
女子高生が頭を下げると、
女子高生の中にいる「田久保」という男の口座にお金が振り込まれた。

「---やったぁ♡ うっ…」
女子高生はそう言うと、力無くその場に倒れた。

「---またのご利用をお待ちしています」
女性店員はそう呟いた。

彼女は、意識を失った女子高生に、無理やり制服を
着せると、店内の「空いているカゴ」のようなところに
女子高生を放り込んだ。

そこに、女子高生(2年 ※いたみあり) 19800円と
値札を貼りつけ、店員は微笑んだ。

「---キズものが好きなマニアもいるから、
 この”からだ”もすぐに売れそうね」

店内を見回す女性店員。

”男”がスマホを片手にからだを調べている。
彼は”せどり”と呼ばれる人物たちだ。

BODY OFFでからだを購入し、別のネットオークションなどで
そのからだをより高い値段で売る。

そういう人たちだ。


「--あらぁ、このイケメンさん、欲しいわぁ!」
おばさんが、イケメンのからだ 17800円を見つめて
微笑んでいる。l

「--くぅ~~この子にしよっかな!」
大富豪の娘(19歳) 49800円 を見つめて
叫ぶ中年男。

「--ふふ・・・」
女性店員は微笑んで、カウンターへと戻っていく。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「-----うん…」

さっき”売却”された女子高生が目を覚ました。

籠のようなカタチをしたショーケースの中で。

「--えっ…こ、、、ここは…?」
女子高生が寝起き状態で、周囲を見渡す。

だが、からだが動かないーーー

「---ひっ!な、、、なにこれ!!!
 た、、、たすけて!」

女子高生は怯えた表情で叫ぶ。

「わ、、、わたし…部活帰りだったはずなのに、、
 どうして?」

混乱する女子高生。

周囲を見ると、
狂ってしまったのか、不気味にニヤニヤしている同じ年頃の女や、
ショーケースをたたいている若い男性、
ひたすら泣きじゃくっている中学生ぐらいの子が見えた。

「こ…ここは…」
女子高生は怯えでからだを震わせた。

そこにーー
気持ち悪い男がやってきた。

「いいからだぁ!み~~~~つけた!」

男は、女子高生を指さして
店員を呼ぶ。

「あら?その体、今ちょうど入荷したところなんですよ?
 お買い上げなされますか?」

「あぁ」
男がふー、ふー、と息を吐きながら言う。

「---じゃあ、送金するぜ」
男は”アプリ”でお金を送金した。

そしてーー。

「---お買い上げありがとうございます♪」
女性店員がそう言うと、
カゴのようなショーケースの”安全装置”が外れた。

これにより、外部からの憑依が可能になった。

「ふへへ!新しいからだ、ゲッとぉ~~~!」
男がそう叫ぶと、そのまま倒れた。

「いやっ…やめてえええええええええ…あっ…!!!」
女子高生の体がビクンとなる。

そして、ロックが解除された。

「うふふ・・・♡ わたし、生まれ変わった気分!」
女子高生が男に乗っ取られて笑う。

「---このからだはどうしますか?
 よろしければこちらで処分いたしますが?」

中年男のからだを指さして、女性店員が言うと、
女子高生は「うん、もういらない!お願いします♡」
と可愛らしい仕草を交えながら言った。

「では、処分しておきますね」
女性店員が合図をすると、
”廃棄”というシールが中年男の体に貼りつけられ、
”処分室”に送られて行った。

「--Bポイントカードはお持ちですか?」
女性店員が尋ねると、
女子高生は首を振った。

そして、女性店員が
「そのからだ、妊娠してるので扱いには注意してくださいね」
とつけ加えると
女子高生は「はーい」と言いながら嬉しそうに外に出て行った。

「---ふふ、売れるの早かったわね。
 ま、傷物マニアもいるからね…」

女性店員が笑いながらカウンターに戻る。

そこに、一人の客が入ってきた。

男子大学生ぐらいだろうか。

彼は、はじめて「BODY OFF」にやってきた。
一つの可能性を求めて…

「----彩紗…」
大学生の正春は、女性店員の顔を見てそう呟いた。

「---買取ですか?」
女性店員…福原彩紗が営業スマイルでほほ笑む。

そう…
BODY OFFの店員は、店員たちもみんな、憑依された人間たちだ。

「---お前!彩紗のからだでこんな好き勝手を…」

憑依薬が当たり前のように出回るこの世界でも、
憑依薬を使わない人間は居た。

正春もその一人だ。

そういう人間からすれば、
BODY OFFの存在は嫌悪するべきものだった。

「---彩紗を返せ!」
正春が叫んだ。

「--あぁ、あの時の彼氏…。
 ふふっ…バカね…返すわけないじゃない」

彩紗が挑発的に言う。

その服装は”店員”というには程遠い服装だった、
胸元を強調したゴスロリ系の服を身に着けている。

「貴様…彩紗にそんなことをさせて恥ずかしくないのか!」
正春が怒りを込めて叫ぶと、
彩紗は大笑いした。

「あはははっ、、あははっ、あはっ!おっかし~!
 あんたいつの時代の人間?
 時代遅れも大概にしなさいよ!

 ”からだ”は奪う時代でしょ??
 この女の体も奪われたことを誇りに思うべきよ!」

勝手なことを言う彩紗。

「--10円の価値しかないごみのようなからだ、
 わたしのからだのように、5万円の値がつくからだ…。

 評価されるって素晴らしいことじゃない?」

彩紗の言葉に唖然とする
正春。

「---」

だが、正春は彩紗を睨みつけるようにして言った。

「---5万円だな?」

「え?」

正春は続けて叫んだ。

「なら俺が5万円で彩紗のからだを買い戻してやるよ!!!
 だから彩紗を返しやがれ!!!!!!!!」

「---ふふっ♡ この子が好きなのね」

彩紗は、不気味な笑みを浮かべて、
正春の方を見つめた…。


②へ続く

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BODY OFF
これこそ世の終わりですね…(汗)

続きは明日です!




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