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<憑依>壊れる日常② ~浸食~

生徒会の中に広がっていく憎悪ー。

歪められていく日常。

生徒会長である志穂の豹変は次第に、
日常を壊していくー。
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「---宮渕さん」

昼休み、
廊下を歩いていた生徒会長の志穂を
聡は呼びとめた。

「----なに?」
不機嫌そうな様子で振り返る志穂。

いつも心優しい志穂に何があったのだろう。

イライラした様子で腕を組み、聡の方を
見つめている。

「---夕紀から聞いたよ…
 三園のやつに、何か言われたみたいだって…。

 何があったんだよ?
 俺に言えよ。力になるから!」

聡が言うと、
志穂は心底バカにしたように笑った。

「ふん…何言ってるの?
 わたしが、三園くんに何か弱みを握られてるとでも
 思ってるわけ?」

低いトーンの声で言う志穂。
メガネの下の瞳に、嫌悪感がにじみ出ていた。

「--だ、、だってそうだろ?
 このところ、三園のやつと、生徒会室でやりたい放題だって
 聞いたぞ!
 宮渕さんが、そんなこと自分の意思でするわけがー」

「----わたしは、好きでやってるの」
志穂が冷たい声で言う。

「--わたし、三園くんのこと、好きになっちゃった♡
 だからね、わたし、三園くんのためなら何でもするの!
 三園くんの思い通りの女になるの!」

志穂が甘い声を出し始める。
浮いた話を聞いたことがない志穂が、
こんな声を出すとは思えなかった。

「---な、何言ってるんだよ…
 ど、どうしたんだよ宮渕さん!」

聡がなおも食い下がる。

「うふふ・・・知ってる?
 わたし、三園君に言われたから、勉強するのやめたの!
 だってさ、勉強なんてバカらしいじゃない?」

「--な、何だって!?」
聡が心底驚いた声を出す。

「ーーでね、今は毎日、わたしの部屋で
 夜、えっちしてるの!
 三園くんが、わたしの体、もっともっと楽しんでくれるように…」
志穂が顔を赤らめながら言う。

記憶を塗り替えられた志穂にとって、
今や三園の存在が全てだった。

勉強なんてどうでもいいー

他のやつら何てどうでもいいー。

そう思えるようになってしまった。


「---み、、宮渕さん」
唖然とする聡を一人残して、志穂は颯爽と歩き去ってしまった。


教室に戻った聡は、
幼馴染で生徒会副会長の夕紀と目が合う。

「--駄目だったんでしょ?」
夕紀がため息をつく。

今日もポニーテールがよく似合っている。

「あぁ…何があったんだろうな?」

夕紀から、志穂のここ数日での異変について
聞かされた聡は、「俺が話してみるよ」と自信満々に
志穂のところに向かったが、
結果は、ご覧のとおりというわけだった。

「---絶対、三園が何か志穂の弱みを握ってるのよ!」
夕紀が怒りをこめて言う。

「--そうだといいけどな」
聡は呟く。

何かーー

何か違う気がする。

志穂のあの甘い表情…
脅されている人間のできる表情じゃない。

「ーーどうしたの?
 世界が10秒後に終わります、みたいなカオして?」
夕紀が、聡の顔を覗き込む

「俺は一体どんな顔してんだよ!」
聡はそう突っ込みを入れて、笑みを浮かべた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーねぇ、刈羽君へのいじめ!
 最近酷くない?」

生徒会室。
今日も話し合いが行われていた。

夕紀たちのクラスメイトでもある「刈羽」という生徒が
最近、三園によっていじめを受けている。

前々から問題になっていたことではあるものの、
先生たちがなかなか動かないため、
生徒会で密かに助けの手を差し伸べようと
以前から、生徒会長の志穂を中心に話し合いが続けられていた。

「同級生がいじめられてたら、わたしたちが救いの手を差し伸べないとねー」

志穂は、そう言っていた。

けれどー
最近は三園と一緒になって志穂まで嫌がらせを始めていたのだ。

「---うざいやつをいじめるのは当然だろ?」
三園が、志穂のひざの上に乗りながら笑う。

「---うん、三園くんの言うとおりよ!」
志穂がうっとりとした表情で続ける。


「---…志穂、最近の志穂、変だよ!
 どうかしてる!!
 刈羽君を苛めるなんて、おかしいよ!」

夕紀が叫ぶ。

志穂は涼しい顔でそれを聞き流す。

「---ねぇ!みんなも何か言ってよ!」
他の生徒会メンバーに声をかける夕紀。

生徒会メンバーは
会長の志穂、副会長の夕紀、そして後輩で書記の彩月、
他に3年の男子が二人、2年の男子が一人、1年の男女が一人ずついる。

「---そ、、そうですよ!
 宮渕先輩!どうしたんですか!?」

後輩の彩月も、夕紀に賛同して声をあげた。

だがー。
他の男子たちは黙っている。

一人はトラブルに関わりたくないからー、
一人はそもそも生徒会のやる気が無いからー、
一人は誰にも嫌われたくないからー

そんな理由で、関わろうとしなかった。

そして1年の男女二人は、
既に、三園に一度憑依されて、三園の忠実な手ごまとなっている。

「---ねぇ、夕紀ちゃんこそ、
 いつまでもわたしに反抗的な態度とるのやめてくれる?」

志穂が挑発的に言う。

「---」
夕紀が悲しそうに俯く。

「--わたし、志穂のこと、いつも頑張っていて
 同じ年だけど尊敬してた!
 なのに何よ!今の志穂、そいつの言いなりじゃない!
 カッコ悪すぎるよ!」

夕紀が叫ぶと、
志穂が表情を曇らせた。

「そいつ?」
低い声で言って、夕紀を睨みつける志穂。

「-ーーー訂正しなさい」
志穂が怒気を込めて言う。

「はぁ?何言ってるの?
 そんなやつのどこがいいのよ!
 いじめはするし、学校の雰囲気は乱すし、
 最低じゃない!」

パチン!

志穂がーー
夕紀の頬を思いっきり叩いた。

「---最低」

憎悪に満ちた目で夕紀を見つめる志穂。

暴力なんて絶対に振るわなかった志穂。

けれどー
今の志穂には我慢できなかった。

”ご主人様”である三園を侮辱する夕紀の
ことを許せなかった。

「---夕紀ちゃん…ううん、
 あんたには失望したわ!
 もう絶交よ!
 生徒会室にも来なくていいから!」

もの凄く不機嫌そうな様子で、乱暴に夕紀の荷物を
まとめて、夕紀の方に投げつける志穂。

「---し、、、志穂…」
夕紀は唖然としている。
そして、くやしさで目に涙を浮かべている。

「--あんた、、、志穂に何したのよ!」
三園を睨んで叫ぶ夕紀。

「--別に?
 ちょ~~~っとだけ”カスタマイズ”しただけだよ」

「---カスタマイズ?あんた何をいっ…」

ガン!

イスがもの凄い勢いで、夕紀のそばに投げつけられた。

「---早く出てけ!」
志穂が怒鳴り声をあげた。

「--三園くんに対して失礼でしょ!!
 本っっ当に許せない!
 出て行け!二度と来るな!」

志穂がさらに机を投げようとしたところで、
三園が止めに入る。

「---志穂、もう十分だよ」
三園が言うと、志穂は、嬉しそうな表情で

「うん・・・♡」と答えて、その身を三園に任せた。


「----バカ!」
夕紀はそう叫んで、後輩の彩月の手を引いて
生徒会室から飛び出した。


「---み、、宮渕先輩、どうしちゃったんですか?」
戸惑う彩月。

「--わからない。
 でも、三園のやつが関係してると思うの」
夕紀がそう言うと、聡がやってきた。

「---夕紀!生徒会の話し合いは?」
聡が不思議そうに言うと、
夕紀は、言った。

「-ー知らないわよ!
 また志穂が三園とイチャイチャしてるだけで
 話にならない!
 他のみんなもやる気がないし!」

夕紀が怒り心頭な様子でそこまで言うと、
突然、涙ぐみ始めた。

「志穂…どうしちゃったの…」
思わず本音がこぼれて、涙をこぼす夕紀。

ふだん、気丈に振る舞っている夕紀の涙を見て
聡は心を打たれるー。

「…夕紀……
 泣くなよ」

優しく言うと、
聡は続けた。

「--俺が、話してくるから」

そう言うと、夕紀の肩を叩いてから顔を覗き込んで微笑んだ。

「--世界が終わる10秒前みたいなカオして泣くなよ!な?」

その言葉を聞いて夕紀は「わたしのセリフ、パクってんじゃないわよ」と
少しだけ微笑んだ。


聡は、夕紀の笑顔を見て、笑い返すと、
そのまま生徒会室へと向かった。

「---先輩」
後輩の彩月が、涙を流す夕紀を
寂しげに見つめた…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

生徒会室の前に立つと、
中から喘ぎ声が聞こえてきた。

「あぁ♡ ご主人様ぁ♡
 もっと♡ もっと、志穂をめちゃくちゃにしてください♡
 あぁん♡ あん!!」

聡は握りこぶしを作り、生徒会室に飛び込んだ。

聡はー
志穂のことが好きだった。

その志穂を、こんな…。

「---あぁ♡ …---!?」
志穂が振り返り、唖然とした表情を浮かべる。

制服を脱ぎ捨てた下着姿だ。

「---宮渕さん…
 なんてことしてるんだよ…」

聡が悲しそうにつぶやくと、
志穂と抱き合っていた三園が笑った。

「---お前か」
三園は志穂をどかすと、バカにしたように笑いながら近づいてきた。

「---お前・・・宮渕さんに何をした!」
聡が叫ぶと、
三園はニヤリと笑った。

「---憑依」
三園の呟きに、聡が「は?」と聞き返す。

「--憑依だよ。
 言ったろ?生徒会を支配するって…。
 そのために志穂に憑依して、思いのままに
 したってわけさ」

三園の言葉に唖然としながらも、
自分の胸を一人揉み続けて喘いでいる志穂を見て
”普通ではない”ことは聡にも理解できた。

「---お前が操っているのか?」
聡が聞くと、
三園は人差し指を立てて「チッチッチッチッ」と言いながら
不気味な笑みを浮かべた。

「---”カスタマイズ”
 俺はそう呼んでいる」

三園が言うと、
聡が「何言ってんだお前は?」と呆れた様子で言う。

「---憑依してる最中にさ、
 志穂の記憶に直接呼びかけて、
 志穂を作り変えてやったんだよ。」

そう言うと、三園は志穂のアゴをつかみ、
そのまま口づけをした。

「---お前!」
聡が叫ぶのを無視して、三園は続ける。

「--今じゃ志穂は俺のことしか考えられない。
 俺の為に忠実に生きる最高の女・・・
 いや、雌になったんだよ!
 
 知ってるか?今の志穂はもう勉強も何もしてねぇ!
 毎日家に帰ってから一人でえっちを繰り返す、
 最高に乱れた女になったんだよ!」

笑いながら言う三園。
志穂も一緒になって笑っている。

「---な、、何だって!?
 み、、宮渕さんの人生を何だと思ってるんだ!」

「---おばあちゃんが言ってた」
三園が言う。

「”人の嫌がることはするな”ってな」

聡が三園を睨みつけながら話の続きを聞く。

「--でもさぁ、見ろよ!この志穂の嬉しそうな顔!」
三園が志穂の綺麗なロングヘアーを後ろから掴んで
引っ張って、聡に顔を見せつけた。

髪を引っ張られながらも、志穂は
「んぁ・・・♡」と言いながらとても嬉しそうにしている。

「---人の嫌がることはしてないぜ 俺はぁ!!
 ひひひひひ!はははははははははっ!」
三園が笑う。

「そうよね~~♡
 うふふふ、わたし、大喜び!うふふふふふ♡」
志穂も笑う。

「---お前!今すぐ宮渕さんを元に戻せーー!」

そう言うと、三園が言った。

「いいのか?俺が”カスタマイズ”したのは志穂だけじゃねぇ。
 生徒会の1年の男女も、カスタマイズした。
 今、その二人に俺が”お願い”して、
 お前の大事なお友達の夕紀と、後輩の彩月のからだを
 ”カスタマイズ”してくるように指示しておいた。

 くく…
 志穂も、1年の二人も、俺の手ごまになったあと、
 憑依薬を飲んでるからな…
 俺に変わってどんどん他人の記憶を塗り替えることが
 できるのさ」

三園の言葉に
聡が叫ぶ。

「貴様!!!まさか夕紀たちを!!!」

幼馴染の夕紀ー。

男女関係じゃないけれどー、
大切な存在。

「くそっ・・・!」

聡が慌てて生徒会室から飛び出そうとした。

「----おい、待てよ!」
三園が笑いながら聡を呼び止めたーー。


闇は広がり続ける。

生徒会が浸食されつくすその日は、
着実と近づいていたー。


③へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

あぁ…早く最後の展開を書きたいデス(笑)
ゾクゾクできるかも!?

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無名

Author:無名
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