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<憑依>逆光①~あの日の眩しい笑顔~

偶然の再会。
時として、人生には起こりうることだ。

彼も、
その"偶然”の再会を果たした。

中学時代の初恋の相手ー。

けれど…
その子は、変わり果てていたー。
------------------------

大学に入学してから、少し経ったある日…

大学生の
崎田 稔(さきた みのる)は、
ある人物と再会した。

中学時代のクラスメイトだった女子生徒、
矢向 菜々美(やこう ななみ)-。

「---矢向さん…?」
稔は、声をかけた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

彼女は、稔の初恋の相手。

まじめで、優しくて、
いつも笑みを絶やさないー
そんな子だった。

中学入学時に、遠方から引っ越してきた菜々美は、
知り合いの居ないクラスにもあっという間に溶け込んだー。
それだけ、菜々美が、人当たりの良い性格だったということだろう。

そんな、菜々美との再会にー、
大学生となった今でも、稔は胸を高鳴らせていた。

中学生の頃ー、
稔は、菜々美のことが好きだった。

いつも優しくて、誰からも慕われる菜々美のことが。

分かってはいた。
菜々美は、決して自分の手の届くような存在じゃない。

あくまでも”無難”な自分の立ち位置では、
菜々美に相手にしてもらえるはずもないー。

でも、それでも、良かったー。

同じクラスになって、
とある行事の実行委員では、一緒に笑いあったり、
クラスメイト数名で、遊びに行ったりー。

そう、別にそれだけでも幸せだった。

自分なんかでは彼女とは付き合えないー。
彼女の微笑みは、いつも眩しかったー。

でも、稔は、その笑顔を直視することはできなかった。
まるで、逆行にさえぎられているかのようにー。

案の定ー
卒業式の日まで、何かが起きることはなかった。

当たり前だ。

何も行動しなかったのだから。

卒業式が終わりー
教室に戻った。

菜々美と稔の進路は違うー。
これで、お別れ…。

クラスの最後の挨拶が終わり、
解散となった。

稔は自虐的な笑みを浮かべて、
教室から立ち去った。

しかしー
”奇跡”は起きた。

校舎前で、稔は呼び止められた。

「---崎田くん」

振り返ると、そこには菜々美が居たー
綺麗な黒髪の、明るく、可愛らしい菜々美がー。

「--矢向さん?」
驚いて尋ねる稔。

すると、菜々美は言った。

「--あの…崎田くん…
 もし、迷惑でなかったら…で、いいんだけど…」
菜々美が緊張した様子で言う。

「--え、、、え??」
稔の心臓がバクバク高鳴る。

え?これって、告白ーー?

「--わたし、崎田君のことが好きーーー」


眩しかった―――
その、悲しそうで、けれども、美しい微笑みがーー

逆光で、その微笑みが
隠れていればどんなにーーー

あの時、稔は素直になれなかった。


「--ご、、ごめん!急いでるんだ!」
稔は逃げ出したー。

嬉しかった。
本当は…


けれどー
恥ずかしかった、照れ臭かった。

だからーー
逃げた。


「---……崎田君…」
菜々美は悲しそうな表情を浮かべるー。

それが、
菜々美との別れだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今ー
その菜々美が、美しい女性になって、
目の前に居るー。

あの時の面影を残したまま。

「---誰?」
菜々美が、不機嫌そうに声を出した。

「あ、あぁ…ホラ、中学時代の…崎田だよ!
 崎田 稔!覚えてる?」

稔が言うと、
菜々美は失笑した。

「あぁ…アンタね…」
菜々美は腕を組んだまま、不機嫌そうに歩き出す。

「--あ、なんかごめんな。急に話しかけて。
 でも矢向さん、懐かしいなって…さ」
稔が菜々美についていきながら語りかけると
菜々美は言った。

「--気安く話かけないでくれる?」
その声には嫌悪がにじみ出ている。

「--え…あ、、あの日のこと?
 ご、ごめん、俺…最後まで話を聞けなくて」
稔が言うと、
菜々美は”失笑”したー。

笑みを浮かべている菜々美ー

けれどーー
あの時の笑みとは違った。

「---そういうの、いいから。消えて。ウザい」

そう言うと、菜々美はそのまま立ち去ってしまった。

「---矢向さん…?」
稔は、あまりにも変わってしまった菜々美に
違和感を感じた。

高校時代、何かあったのだろうか。


それから1週間ー。
稔は、菜々美のことを調べた。

大学での素行はお世辞にも良いとは言えないらしく、
男関係の問題を起こして一度、厳重注意を入学早々に
起こしていたらしい。

「---どうしちゃったんだ…」
稔は困惑するー。

稔の知る菜々美はーー
とても、心優しかったー。

けれど、今は…。


そんな中、菜々美と同じ高校出身だと言う
男子学生と知りあうことができた。

食堂でラーメンを食べながら、稔は、
その男子学生に話を聞いた。

「--中学時代優しかったぁ?」
菜々美と同じ高校出身だと言う、健二郎(けんじろう)が笑う。

「---何言ってんだか。
 矢向さんは、相当なワルだったぜ。
 喫煙で停学にもなってる」

健二郎の言葉に驚く稔。

「--そんなバカな…
 中学のとき、彼女は優等生って感じの子だったぞ」

稔が言うと、健二郎は考え込んだ。

そして言ったー。

「そう言えば…入学直後は、優しい感じだったな。
 けれど、ある日を境に急に変ったって言うか…」

健二郎の言葉に、稔は反応する。

「--その、急に変った時に、何かあったのか?」
稔が聞くと、すぐに健二郎は「いや、聞いたことはない、けど…」と続けた。

「--”憑依”がどうこう、ってその時、
 矢向さん、クラスのワルとよく話してたなー」

「--憑依?」

稔は、嫌な予感を覚えるのだった。


それから稔は”憑依”について入念に調べ上げた。
どうやら、人の体を乗っ取るというもののようだが、
そんなことが本当にできるのだろうか。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日、稔は再び、菜々美と出会った。

「---なぁ、中学の時とはずいぶん違うイメージだけど
 何かあったのか?」
稔が聞くと、菜々美が不愉快そうに舌打ちする。

そして答えた。

「--人は変わるのよ。3年もあれば」

答えになっていない。

「--雰囲気はあのままなのに、どうして?
 俺…矢向さんの優しいところが…」

「---そういうのいいって言ってんでしょ?」
菜々美が怒りをにじませる。

「---で、、でも…!何かあったなら!」
稔が叫ぶと、菜々美は言った。

「じゃあさ…」
とても、意地悪そうな笑みだった。

「--わたしの前から消えて!目障りよ…」
はっきりと、憎しみの感情をこめて、菜々美はそう言った。


「--おう!菜々美!」
金髪の男がやってくる。

「--あ、拓斗!うふふ♡」
菜々美が甘い声を出して手を振る。

そしてそのまま、菜々美は腕に抱きかかえられて
その男と共に歩き去ってしまった。


ーー憑依

ーー豹変

まさか…

「---」
稔の嫌な予感はさらに増長したーー。

菜々美の高校時代のクラスメイト達につてがないかを
調べた稔は、
自分の友人の友人に、菜々美の高校時代のクラスメイトが
居ることを突き止めた。

友人に頼んで、その人物とコンタクトをとった稔は、
とある事実を聞くー。

それは、菜々美の兄が、菜々美の高校時代に
憑依薬をオークションで購入したという話だった。

稔は、
オークションで、憑依薬なる薬を販売している男に
電話をかけることにした。

「---3年前?当時、高校生の男に
 オークションで憑依薬を売ったかって?」

電話相手の男、愛染亮(あいぜん りょう)は若い男だった。

「---あぁ。久々に会った俺の知り合いの子が
 憑依されてるかもしれないんだ…。」

稔が言うと、
愛染は失笑した。

「悪いけど。僕は、誰が憑依薬を買おうと、その後のことは
 知らないよ。
 一応、プライバシーだからね」

愛染が冷たく言う。

「--おい、ふざけるな!
 俺の知り合いの子が憑依されてるかもしれないんだぞ!
 人の体を勝手に使うなんてこと、あっていいはずがない!

 大体なんなんだお前は!?
 憑依薬なんてものをオークションで売って、
 何をたくらんでいる!?」

稔が喚き散らすと、
愛染はしばらく沈黙した後に答えた。

「-----わかった。いいだろう」

そう言うと、
愛染は続けた。

「当時、男子高校生の矢向 郁也(やこう いくや)って
 男に憑依薬を売ってるよ。
 
 でも、僕はそれ以上のことは知らない。
 発送したら、それで終わりだからな」

愛染の言葉に稔は「わかった、ありがとう」と言って
電話を切った。

愛染と言う男が何故憑依薬を売りさばいているのかよりも、
菜々美の異変の砲が、稔には大事なことだ。


「--矢向さんの兄が、憑依薬をオークションで購入して、
 矢向さんが高校1年のときに、兄に憑依されたってことか?」

稔はそう呟いた。

兄ー郁夫。
そいつが、今どこに居るのか調べる必要がある。

「--」
稔はショックだった。

あの時の菜々美がー、
せっかく再会できた菜々美が変わり果てていることに。

しかも、誰かに体を乗っ取られているという可能性が
高いということにー。

「--矢向さん…
 俺、、もう一度、矢向さんの笑顔を見るために
 がんばるよ…」

そう呟いて、稔は、歩き出した。

「・・・って、よく考えたら今のセリフ、気持ちわるいな」

稔は苦笑いしながら、大学へと向かった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夕日差し込む屋上でー、
菜々美は、小さな写真入れを取り出した。

「---」

悲しそうに菜々美が見つめるその写真にはーー
可愛らしく笑う、少女の姿が写っていたー。


②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

第1話だけじゃ、話が見えてこないタイプの作品ですね。
続きは明日です!

コメント

No title

彼女を救える可能性があるのか、それとも? 
ここからどう展開するか、楽しみですね。

Re: No title

> 彼女を救える可能性があるのか、それとも? 
> ここからどう展開するか、楽しみですね。

ありがとうございます!
この先の展開は意外と…!?

No title

これはお兄さんが稔を好きで告白したんだよ!
振られたお兄さんが憑依を解いたら、本来の彼女が出てきて……。
まあ、そんなわけないけど(笑)

Re: No title

> これはお兄さんが稔を好きで告白したんだよ!
> 振られたお兄さんが憑依を解いたら、本来の彼女が出てきて……。
> まあ、そんなわけないけど(笑)

むむ・・・
ストレートにいかない作品であることは否定はしません(笑)
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プロフィール

無名

Author:無名
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