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<憑依>逆光②~消えた笑顔~

中学時代の初恋の相手と大学で再会したー。

けれど、彼女は変わり果てていた。
その裏に潜む憑依。

もう一度、彼女の笑顔を見たいー。
そのために、彼は、真実を追求する…。
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大学を歩きながら、
イライラした様子を浮かべている菜々美。

大学の壁を蹴ると、
ため息をついて壁に寄り掛かった。

「---私は…」

ペンダントを手にして、悲しそうな表情を浮かべる
菜々美ー。

その中に、写真が入っているー。

中学生ぐらいの可愛らしく微笑む少女の写真がー。

「---まだ、苦しまないといけないんだね…」
菜々美はその写真の少女に語りかけた…

その少女はー。

眩しい太陽を見つめた菜々美の表情にはー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今日は大学の用事はヒルで終わりだ。

稔は、大学が終わった後、
菜々美の兄・郁也に会いにいくつもりだった。

郁也は現在 大学3年になっているらしい。
菜々美より2学年上の兄のようだ。

その郁也が、3年前、つまり高校3年の時に
オークションで憑依薬を出品していた愛染なる男から
憑依薬を購入したー。

そして、菜々美は高校1年の時に豹変した。

で、あれば…
この郁也が菜々美に憑依した、
もしくは、郁也が誰かに憑依薬を提供した可能性が高い。

稔は、郁也に会いにいく決意を固めていた。


「---あ」

たまたま菜々美と鉢合わせした。

「---?」
稔は菜々美の目の近くに泣いたような跡が
あるのに気付いた。

「--何よ」
菜々美が稔を睨みつける。

「--…憑依」
稔は、菜々美を揺さぶる為に、その
キーワードを出してみた。

これで何らかの反応を示せば…

「---それを、どこで…」
菜々美が明らかな動揺を浮かべた。

「--矢向さん、もしかして…」
”もしかして、誰かに憑依されているのか”
そう尋ねようとした。

「----も、、もう私に近づかないで!」
菜々美が叫んだ。

「--もし憑依されてるんだったら…」

「近づくな!」
菜々美が大声で叫んだ。

「--もう放っておいてくれる?
 迷惑なのよ!」

菜々美はそう吐き捨てるように言うと、走り去ってしまった。

「---矢向さん! くそっ!」
稔は、周囲の目線から、追いかけることもできず、毒づいた。

「--一体、何が」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夕方ー。

郁也の住むアパートの前にやってきていた稔。

郁也はー、菜々美とは違う場所で
一人暮らしをしている。

整った格好の、真面目そうな背の高い男がやってきた。

「--矢向 郁也さん?」
稔が尋ねると、
郁也は驚いた表情を浮かべた。

稔は、これまでの経緯を説明した。
中学時代、好きだった菜々美に何も告げることができず
そのまま逃げたこと、

その菜々美と大学で再会したこと、
今でも菜々美が好きだということ、

そしてー
その菜々美と、憑依薬の関係を尋ねた。

すると、郁也は「ここじゃなんだから、中で」と
言って、自分の部屋に稔を案内した。

部屋の中は綺麗に片づけられていた。

人当たりの良さそうな青年。
それが、郁也に対するイメージ。

それに、今、こうして郁也が存在しているということは
菜々美に憑依しているのは郁也ではないのか。

それともー。

「---」
ふと、仏壇が目に入ったー。

中学生ぐらいの可愛らしい女の子が
微笑んでいる写真。

「・・・・・-!?」
一瞬、その写真が菜々美に見えた。

だが、よく見たら違う子だった。

会ったこともないのに、
会ったことのあるような、そんな気がした。

「--中学時代…って言ったかな?」
郁也がお茶を差出ながら言う。

「はい…。中学時代、妹の、菜々美さんとは
 仲良くさせてもらってました。
 まぁ、結局付き合うことはできなかったんですけど」

稔が言うと、
郁也は笑った。

「じゃあ、君が稔君か。」
郁也は稔の事を知っていた。

”妹”から聞かされていたからー。

「--最近、大学で彼女と再会したんです。
 でも、彼女、人が変わったように荒れていて…。
 で、、俺、調べたんです。
 そしたら、兄のあなたが憑依薬なるものを
 3年前に購入したと聞いて」

稔はそこまで言うと、
他人行儀な態度を捨てて言った。

「まさかーー憑依薬を妹に…」
稔が少し睨むようにして言うと、
郁也が頭を下げた。

「--その通りだ」

郁也の言葉に稔は、
こみ上げる何かを感じた。

「--お前!」
敬語を殴り捨てて、
今にも掴みかかりそうな勢いで、菜々美の兄・郁也を睨む。

「--6年前…」
郁也が呟いた。

「---俺が憑依薬を初めて購入したのは6年前だ…。
 それから3年間、定期的に憑依薬をある男から購入していた。
 定期的に服用しないと、憑依状態が解けてしまう 不完全な
 憑依薬を…」

郁也の言葉に
稔は思う”6年前?”と。

6年前と言うと、
菜々美や稔が中学時代の話だ。

「--けど、家のお金も限界だった。
 そんな時、オークションで憑依薬を売っている別の男の存在を知り、
 その男から憑依薬を買った。
 それが3年前ー。
 つまり、稔君、君が調べた、オークションで購入したときのことだ」

郁也の話が見えない。

「--6年前だとか、3年前だとか、
 そんなことは言い!
 矢向さん…菜々美に何が起きているんだ!」

稔が必死に叫ぶと、
郁也がとあるビデオを手に取って再生した。


ーー映像には、可愛らしい女子中学生が映し出された。

「--寧々(ねね)…
 俺の妹だ」

稔は、仏壇の写真とビデオの少女を見比べるー。
同じ姿ー。

つまり、この寧々という子は、既に死んでいることになる。

「--寧々は長女、菜々美は次女…。
 寧々は…中学1年のとき、交通事故で死んだよ。
 当時小学6年だった菜々美を守ってな」

映像の少女を見るー。
映像の姉・寧々は、優しい笑みを浮かべていた。
まるで、中学時代の菜々美を見ているかのようだった。


「---菜々美は、小学生の頃からワルでさ…
 よく手を焼いていた。
 ある日も夜遊びをしていて、で、妹のーー 
 菜々美から見れば姉の寧々が迎えに行ったんだ」

郁也が悲しそうに言う。

「--そして、その帰りに、寧々は事故にあって…」

郁也の言葉を稔はさえぎった。

「待て。それと菜々美の豹変に何の関係がある?」
稔は尋ねた。

郁也はビデオの中の寧々を悲しそうな目で見つめた。

「寧々は植物状態になったよ。
 目を覚まさなかった。
 菜々美は、責任を感じてふさぎ込んだ。

 ”お姉ちゃんにわたしの体をあげるから”
 よく、そう泣きわめいていた。

 見ていられなかった」

郁也は続けた。

「--ーーそして、菜々美は言った。
 俺に、”憑依薬”と言うものを買って欲しいと。
 
 ”お姉ちゃんにこのからだをあげるから”と、
 菜々美は俺に泣きついたー 

 それで、俺は憑依薬を買ったんだ」

郁也の言葉に、稔は思うー

菜々美が小学6年生のころに、
菜々美の姉・寧々がこん睡状態になって、
責任を感じた菜々美が、姉に体を差し出したー?

「--それで、こん睡状態の寧々に憑依薬を
 飲ませて、寧々はー菜々美に憑依したーーー」

郁也は、稔の方を見て言った。

「--中学時代。
 そう言ったな?
 君が3年間、菜々美だと思って接してきた子はー
 菜々美じゃない…。
 俺の上の妹…寧々が憑依していた菜々美だ」

ーーーー!?

「---何だって?」
稔が聞き返す。

「--中学生時代の3年間、
 菜々美はずっと、寧々に憑依されていたー。」

郁也が目をつぶる。

「--じゃあ…今の菜々美は…?」

稔が尋ねると、郁也はうなずいた。

「今、君が大学で接している
 ”不真面目な”彼女ー、
 あれが本当の菜々美だー。

 菜々美は小学時代もワルだったー。
 中学時代だけ、真面目で優しかったのは
 ”中身が別人だから”-。」

郁也がうなだれた様子で言った。

「--な、何だよそれ…
 じゃあ、中学時代の、その憑依したお姉さんは、
 今、どうしてるんだよ?」

稔が言うと、
郁也は引出からあるものを取り出した。

「---寧々が、”消える”直前に書いたものだ」

少し濡れている手紙のようなもの。
それを渡された稔は、その手紙に目を通した。

”3年間 楽しかったよ
 ありがとうー。

 わたしはーー”


そこで、文章は途切れていた。

「--菜々美に憑依していた寧々は、
 稔君のこと、本当に好きだった。

 だから”消える前”に君に想いを伝えようとして
 それを書いていた。」

稔は手紙を見ながら思う。

「--消えた、とは?」

中学時代、自分と接していた菜々美は、
姉の寧々が憑依していた姿ー。
それは分かった。

つまり、今の菜々美は誰にも憑依されていない。
あの、不貞腐れた態度の菜々美が本来の菜々美ということになる。

だが、姉の寧々はそれなら今、どこに?


「---寧々は…
 もうこの世には居ない」

郁也は、暗い表情で言った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー。

結局、昨日、郁也からそれ以上話を聞くことは
できなかった。

妹・菜々美に憑依していた姉の寧々は
中学生3年間を妹の体で過ごしたのちに、
消えたのだと言う。

その理由は、教えてもらえなかった。


ーーーーー

夕暮れの差しこむ中、
稔は、菜々美を呼び出していた。

「---」
菜々美が屋上へとやってくる。

「---」
稔は菜々美の方を見た。
太陽光がちょうど、こちら向きでとても眩しい。

「---あのさ…」
稔が口を開く。

「ーーー聞いたよ、お姉さんの話。」
稔が言うと、菜々美は表情を少し変えた。

「---俺が、中学時代、一緒に居た、
 矢向さんは、、
 君に憑依したお姉さんの方だったんだね」

稔が言うと、
菜々美が少しだけ笑った。

「---そう。
 わたしは、中学の3年間をお姉ちゃんにあげたの」

菜々美が屋上の端の方に歩いていき、
遠くを見つめる。

「--お姉ちゃんは、私が殺したからー」

菜々美は目を瞑るー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

小学生6年のあの日ー。
雨が降っていたー。

地元の不良仲間と遊んでいた、菜々美を、
姉の寧々はずぶ濡れになりながら迎えに来た。

「---どうしうて心配ばっかりかけるの!」
寧々は言った。

「--うるさい!」
素直になれなかったー

姉が自分を心配してくれていることはよく分かっていた。

「--どうせお姉ちゃんだって、わたしなんかいなければ
 いいと思ってるんでしょ!」

菜々美は叫んだー。


パチンー。

姉の寧々にビンタされたー。

”やっぱりだ”

そう思った。
嫌われているとー


「---私はー」
寧々が涙を流しながらそう叫んだー

「--うるさい!あっちいけ!」
菜々美は、姉の言葉を聞かずに、姉を突き飛ばした。

車道のほうにー。


一瞬だった。
水しぶきを上げた車がーー
姉を吹き飛ばしたーーー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--だから、お姉ちゃんが死んだのはわたしのせい」
菜々美が、稔の方を見た。

「--私は、そんなことになるなんて思ってなかった。
 寝たきりになったお姉ちゃんを見て、
 私は決めたのー。

 死ぬべきはわたしだったー。
 だから、このからだはお姉ちゃんが使うべきだって」

菜々美が話し終えると、稔は尋ねた。

「--お姉さんは、今、どこにいるんだ…?
 それに…矢向さんは、どうして俺を避けるんだ…?」

稔の言葉を聞いて、菜々美は自虐的に
微笑んだ…。


③へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

今日は比較的目の調子も良いので
スムーズに書けました^^

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