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<憑依>増幅する嫉妬心①~祝福~

21歳の妹が結婚することになった。

2つ年上の独身の姉は、
嫉妬することもなく、心から妹の幸せを祝福した。

けれどー
嫉妬心は”0”ではなかったー。
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妹の、坂松 晴香(さかまつ はるか)が
結婚することになった。

相手は、大学の先輩で、現在はIT企業に務めている
津留 大輔(つる だいすけ)
優しそうな男性だ。

晴香の姉、響子(きょうこ)は、
妹の結婚を心から祝福していた。

そしてー
結婚式、当日…。

姉・響子は、
結婚式会場で、妹・晴香と楽しそうに話していた。

「おめでとう、晴香」
響子が優しく微笑むと、
晴香は「うん、ありがとう」と答えた。

「--ふふっ、先を越されちゃったね」
響子がほほ笑む。

響子はー半年前、大学時代から付き合っていた
彼氏に浮気されて、別れたばかりだった。

彼氏・忠(ただし)は、
同じ大学に通っていた女子大生・蜜菜(みつな)と
浮気していたのだー。

泣き叫びながら響子は、別れを自分から告げたー。

当時は悲しかった。
けれど、半年が経った今、響子は吹っ切れていた。

「--お姉ちゃん、ごめんね」
心優しい妹の晴香は、姉より先に結婚したことに
少しだけ、引け目を感じていた。

「ううん、そんなこと気にしなくていいの!
 今日は晴香の大切な日なんだから!
 一緒に楽しも?」

姉の言葉に、晴香は微笑んだ。

晴香は準備のために別室に移動する。

廊下に出た姉の響子は、妹の結婚相手、
大輔と廊下ですれ違う。

「-あ、どうも。今日はわざわざありがとうございます」
爽やかなメガネ男子という印象の大輔が
響子に頭を下げた。

「--あ、いえ!妹をよろしくお願いします」

挨拶をかわすと、大輔は、そのまま廊下を歩いて行った。
彼も、準備があるのだろうー。

響子が一旦結婚式会場の外に出る。

ーー嫉妬はない。
妹とはずっと仲良しだった。
晴香には、幸せになって欲しいー。

その気持ちに、嘘、偽りはない。

けれどー。
やっぱり、時々悲しいことはある。

半年前に別れた忠のことは、
本当に信じていた。

なのにーー。

「---あれ?」
響子は、目を細めた。

式場の駐車場の入口にーーー

「何で、今ここに?」
響子が、その人物の元へと向かう。

「----」
響子がその人物に近づくと、
響子が思っている通りの人物だった。

「--あっ」
響子に気付くと、その人物は笑ったー。

そしてーー
響子にキスをしたーーー。

「---!?」

放心状態でその場に立ち尽くす響子。

やがてーー
響子は笑った。

「--ふふふ♡ げっと♪」
自分の体をベタベタ触りながら笑みを浮かべる響子ー。

響子にキスをした人物の姿は、消えていた。

「---あった」
響子は鞄から手鏡を出して、
微笑むー。

「もうすぐ…完全に自分のものにできる…」
響子がニヤリと笑みを浮かべる。

だがー、
今はまだ駄目だー。

憑依した人物は思う。

手に入れた”憑依薬”は、
劣悪品だったー。

”意志の強い人間”に強引に憑依すれば、
自分が逆に次第に取り込まれてしまう可能性があるのだ。

響子は、意思の強い人間だ。
しっかりと自分と言うものを持っている。

このままでは恐らく、
次第にー響子の意識が打ち勝ち、
自分は消されてしまうのだろう。

「でもねー」
響子が、笑う。

”その意思の強さを壊してしまえばー”

”堕としてしまえばー
 たやすく、憑依できるだろうー”


「---憎い」
響子がつぶやき始めた。

自分の脳裏に刻むように。

「--わたしより先に結婚するなんて許せないー
 にくいー
 私は、妹が、憎い」

響子は怒りの形相で呟き続ける。

「憎いー
 憎いー
 許さないー」

刻み付けるようにー

憑依されている今、思考は響子の脳を使って
行われているー。

憑依している人間が、響子の脳で、
強く念じたことは、やがて”自分の意思”だと
誤認されてしまうー

そしてー響子の脳は自らに刻み付ける。

”妹の晴香が憎い”

とー。

「---壊してやる」
響子はそう呟いて、笑みを浮かべた。

「--じゃあ、またあとで」

そう言うと、響子がその場に倒れる。

既に、結婚式参加者はほとんどが
中に入っている。

ーー響子の体から吐き出されるように
出てきた人物は再び実体化した。

「--あとは、嫉妬心に響子が支配されてー、
 ”心が乱れるのを待つだけ”

 響子が、嫉妬に支配されたそのときー」

響子が嫉妬に支配されるー
それは、すなわち心の弱さを露呈したことになるー。

そうなれば、この安物の憑依薬でも、
響子に憑依することはたやすいはずだー。

「---くくく」

憑依薬を持つ人物は、響子に嫉妬を植え付けて、
そのままその場を後にしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「うっ… あ、あれ…?」
響子が起き上がるー。

慌てて時計を見る響子。

「あれ…私、なんでこんな?」

響子は憑依された前後の記憶があいまいだったー。

もう、妹の結婚式が始まってしまうー。
そう思った響子は慌てて、結婚式会場に入って行った…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「どうしたのよ?遅かったじゃない?」
先に会場に入っていた母親に言われる。

「ご、ごめん!」
響子は母親の隣に座る。

「--今日は、晴香の晴れ舞台なんだから」
母親が笑う。

「---うん」

カチンーーー

何故だろう?
響子は不思議に思う。

”晴香の晴れ舞台”-

その物言いが無性に腹立たしかった。

「--あなたも早く相手が見つかるといいわね」
母が言う。

「--うん」
響子はそっけなく返事をした。

「---晴香の方が先に結婚するなんてね「」
母が悪びれる様子無く言う。

ムカッ…

響子は怒りが抑えられなくなった。

「--別にいいじゃない!そんなこと!」
イライラした様子で言うと、母親から顔をそむける。

「--ご、ごめん響子、そんなつもりじゃ」
”嫉妬”してる様子がないと思っていた母親は、
その響子の反応に少し驚いた。

「---はぁ…」
響子はため息をついた。
なんだかイライラするー。

さっきまであんなに祝福しようと思っていたのに、
イライラが止まらないー


”にくいー”

”壊してやるー”

”許さないー”

脳裏に刻み込まれた憎しみが、
響子を次第に支配していたー。

そして、新郎新婦が入場してきたー。
ウェディングドレス姿の晴香がほほ笑んでいる。

「ーーーー」

”綺麗”

ーーとは、思わなかった。

ぶっ壊してやりたい。
妹の幸せをーーー

そう思った。

けれどー

「(わ…わたし、何を考えてるの)」

立ち上がって、妹に駆け寄って
殴りつけてやりたい。
そんな衝動に駆られる。

響子はわけのわからないこの憎しみを必死に
抑えていた。

「ふざけんな…ふざけんな…」
響子は下を向きながら、そう呟いていたー。
叫びださないために、怒りを抑えるためにー。」

妹の婚約相手、大輔は
一瞬その姿に目をやったー

そしてーー
少しだけ笑みを浮かべたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

式は順調に進んでいた。

でもーー
姉の響子に笑顔は無かった。
長い髪を下に垂らし、調子悪そうに
下を向いている。

「どうしたの?」
母親が心配そうに尋ねる。

「----」
響子は答えないー。

新郎と新婦が何か挨拶をしているー

”きれいごとばっかりー”
響子はそう思った。

妹の顔を一瞬見る。

妹と目が合ったー。
妹の晴香は優しく微笑んだー。
けれど、姉の響子は微笑みを返さなかった。

違和感を感じる晴香。

響子は握りこぶしを作った。

”わたしより、先に結婚するなんてー”

”どうして私が”あんな女に”負けなきゃいけないの?”

”許せない 許せない”

響子は歯を食いしばる。

妹とは、いつも仲良しだった。
祝福してあげなきゃー。
なのに、私、どうしてーーー?

「--お母さんや、お父さん、お姉ちゃんにも、
 感謝してます。
 今まで、ありがとう」

妹の晴香が挨拶をそう締めくくったー。

「----っ」
響子は、もう我慢の限界だった。

「---きれいごとばっかり言ってんじゃないわよ!」
そう叫んで立ち上がった。

周囲が騒然とする。

「響子…?」
母親が驚いて響子を見る

「お…お姉ちゃん…?」
晴香が困った様子で響子を見る。

響子は怒りに身を任せて晴香に近づいた。

「お…お姉ちゃん?ど、どうしたの…?」
怯えた様子で響子を見る晴香。

「-----」

”憎い”
”にくい”

脳がそう叫んでいたー。


「---ねぇ、あんた何様?」
響子は鋭い目付きで妹を見た。

新郎の大輔も戸惑っている。

「--な、何様って…
 ご、、ごめん、何かわたし、
 お姉ちゃんを困らせるようなこと…した?」

晴香が遠慮がちに尋ねる。

パチン!

響子は晴香をビンタした。

「--な、何するの!?」
晴香が叫ぶ。

「--うざい!」
響子は晴香の顎をつかんで壁に叩きつけた。

「そうやって私を見下して・・・!
 うざい!!うざい!!!うざい!!!!」
響子が大声で叫ぶ。

「---響子さん、落ち着いて」
新郎の大輔が言う。

「--うるさい!あんたは黙ってて!」
怒りに我を忘れた響子が叫ぶ。

「---お姉ちゃん…やめてよ」
晴香が目に涙を浮かべて響子を見たー。


ーーーーーーー!!!!

「--は、、はるか…」

我を取り戻した響子が晴香から
手を離す。

静まり返った周囲。
泣きじゃくる妹ー。

「--わ、、わたし…どうしてこんなこと…」
響子が信じられないという表情で妹を見つめる。

「---ーーーご、、ごめんなさい」
響子は周囲に頭を下げると、そのままパニックを起こして
会場から走り去ってしまった。

「--お…お姉ちゃん…」
残された妹は、その姿を見ながら悲しそうにつぶやいた…。


②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

姉の響子に憑依して、嫉妬を植え付けた人物は
誰なのでしょうか。
そしてその目的は…?

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無名

Author:無名
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