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<憑依>フュジティブ THE END④~約束~

龍平は、対峙したー。

やはり、ヤツは消えていなかった。
いつも優しいクラスメイトの表情が歪むー。

座間に、操られ、意のままにされた彼女は、
龍平に牙を向く…。
----------------------------

高校2年のクリスマスー。

龍平と彼女の彩香は、遊園地デートを
楽しんでいた。

「--高校に入学したときは、僕が
 こんな風に、遊園地デートを
 するなんて思いもしなかったよ」

龍平が照れながら言うと、
彩香が微笑んだ。

「--そうね。龍平、あまり恋愛とは
 縁がなかったもんね」

「--何だかバカにされている
 気がするなぁ」

笑いながら、遊園地のネオン輝く中を
歩く二人。

「もうこんな時間かぁ…」
彩香が残念そうに呟く。

少し、雪もパラついてきた。

「---わたし、龍平と一緒に
 観覧車も乗りたかったなぁ」

彩香が呟く。

「--じゃあ、今から並んで、
 最後に観覧車で締めくくりにしようよ」

龍平が優しく言うと、
彩香は首を振った。

「--いいの。
 ”来年の楽しみに取っておく”から」

彩香が、龍平の方を見て笑った。

本当に、楽しい1日だったー。
大好きな人との、とても、心温まる時間ー。

ライトアップされた観覧車が二人を照らすー。

「--来年もまた、一緒に来ようね。
 --約束だよ?」

彩香の言葉に龍平は頷いた。

「---もちろん、約束するよー」

と。


あれから、半年が経とうとしていたー。

高校3年の1学期も、もうすぐ終わるー。
けれど、
もうすぐ終わるのは、1学期だけではなくーー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

市村 龍平(いちむら りゅうへい)
高校生。凶悪犯の座間の憑依を突き止めた。

市村 孝彦(いちむら たかひこ)
龍平の父親。座間を追っていた。

松本 彩香(まつもと あやか)
高校生。龍平の彼女。座間に憑依されていたが救出された。

清水 由香里(しみず ゆかり)
高校生。生徒会副会長で、読書好き。

竹内 美香(たけうち みか)
高校生。お嬢様育ちでわがまま。

小笠原 淳子(おがさわら じゅんこ)
高校生。ショートカットが似合うスポーツ好きの少女。

座間 良一郎(ざま りょういちろう)
凶悪犯罪者。現在もとある女子生徒に”成りすまし”をしている

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ホテルの屋上ー。

周囲の建物のネオンが、輝く、その屋上に、
3人の高校生が立っているー。

屋上の端っこでは、電気的なトラブルがあったのか、
火花を散らしている配線がそのままになっている。
”危険 立ち入り禁止”ー。

龍平たちが到着した1日目、
確かに電気工事の作業員みたいな人たちが
大量に出入りしていた。
何か、トラブルでもあったのだろうか。

「---ふふふ、市村くん、怖い顔しちゃって」
由香里が、笑いながら言うー。

「---座間…」
龍平は由香里の目を睨みながら言った。

「--ざ・ま? うふふ?
 どうしたの市村くん?
 どう見ても、わたし、ゆ・か・り でしょ?

 可愛いくて、真面目で、優等生な
 由香里ちゃん…。

 目でもおかしくなったのかしら?」

挑発的な態度を崩さない由香里。
もはや、隠す気も無いー。

彩香が不安そうに龍平の方を見る。

「---座間ァ!!!」
龍平は、怒りを爆発させて叫んだ。

「---ぷっ…くくく、
 あははははははははは!」
由香里が、突然笑い出す。

そして、龍平の方を見た。

「---うるせぇんだよ!このクソ餓鬼が!
 俺はなぁ、由香里の記憶を全部、
 読み取ってるんだ!

 あぁ?だったら、俺が、いや、わたしが
 由香里そのものじゃない!
 違う??
 座間と由香里、2人の記憶を持ってるんだから…
 由香里と何も変わらないじゃない!?」

由香里が、本性を現して笑う。

「--ふざけるな…
 お前まさか、彩香から抜けたときからずっと…!」

龍平の言葉に、由香里は笑う。

「そうだよ…
 あの時、そこの彩香ちゃんから吐き出されたあとー
 すぐに、この女に憑依した」

由香里は屋上を歩き回りながら言う。

座間は、龍平たちに”座間は消えた”と思わせるために
演技をして、姿を消すつもりだった。

けれどーそれは座間の予定とは違うカタチで実現することになった。

あの時、彩香に憑依していた座間は、
龍平の必死の呼びかけで、わずかに心を取り戻した彩香の
身体に”拒絶”されて、人がウイルスを吐き出すかのように、
スライムのようなペースト状の物体として吐き出された。

そんなこと、起こるはずはなかった。
彩香のことは、身も心も完全に支配していたはずー。

けれど、龍平の強い想いが、彩香の龍平の気持ちに答えたいという
想いが、憑依している座間を拒絶しー座間は吐き出された。

しかし、座間は龍平に踏み潰される直前に、
そこから抜け出して、
すぐに由香里に憑依したー。

「市村くんー、何でわたしが憑依されちゃったか、わかる?」
背を向けながら言う由香里。

「・・・・・」
龍平は、答えない。

「ーーーわたしには、守るべきものがなかったからー」
由香里は、不気味な笑みを浮かべながら振り返った。

彩香から、追い出された座間が、由香里を選んだのはーー
”守るべきものがなかった”から。
彩香として、過ごしていた少しの期間で、座間は
彩香の記憶や、由香里、淳子、美香とのやりとりで
気づいていた。

由香里にはー”守るべきものがない”

彩香のように、強い思いを抱いている人に憑依しても、
追い出されてしまう可能性がある。
そう”学習した”座間は、守るべきものがない由香里に憑依した。

彩香は、龍平を想っているー。
おしゃれ好きの美香には、自分で決めた大きな夢があるー。
スポーツ好きの淳子には、大切にしている弟が居るー。

けれど、由香里にはー、
龍平への想いは届かず、兄弟も居ないー、
真面目だけれども、夢もないー。
学校で、優等生として通っているけれど、
実のところ、心は”むなしさ”で満たされていた。
いつも、寂しく、人から嫌われることを恐れ、もがく、由香里。

座間にとってはピッタリの素材だったのだ。

「--わたしの身体、憑依するのにぴったりだったの…
 ふふふ、よ~く、馴染むの…!
 この か・ら・だ!」

由香里が、舌を出して、自分の手を舐めまわす。

「-ーあの時のように、吐き出される心配もない。
 そこの彩香と違って、
 わたしの心はむなしさと寂しさでいっぱいだったから…!」

由香里が髪をなびかせながら、
龍平たちの方を見て笑う。

「--最高だぜ!この女!!!
 うはははははははははっ!」

屋上に由香里の笑い声が響き渡るー。

「---由香里…」
彩香が悲しそうな目で見つめる。

「--もう手遅れなのよ…
 わたしの身体、どれだけ汚されたか知ってるぅ?」

挑発的に言う由香里。

龍平は、無言で由香里を睨んでいる。

「この胸!毎日毎日
 揉んで揉んで揉んで揉んで揉んで揉んで!
 うひひひひひ♡ はぁぁ…♡ あぁん♡」

狂ったように胸を触りながら由香里は続ける。

「-男と遊びまくって!
 何人もの男とヤリまくって!!
 タバコを吸いまくって、酒を飲みまくって…!

 くくく…
 真面目なわたしがぶっ壊れていく日々…!!
 あぁ、…ゾクゾクするぅ…!うふふ・・・あははははは!

 そんなわたしを、今更助けてどうするの?
 えぇ??市村くん!!」

叫ぶ由香里ー。

「---黙れ」
龍平は静かに呟いた。

「--僕は、お前と話す気なんかない」
龍平の言葉に由香里は失笑した。

「--そうだ。市村くん。教えてあげよっか。」
由香里が意地悪そうな笑みを浮かべる。

「わたしー、市村君の事が好きだったのー。」

「えっ?」
彩香が驚いて由香里の方を見る。

屋上に強い風が吹き荒れるー。
近くのビルのサーチライトのようなものが、
3人をー色とりどりに照らしているー。

「---知ってた」
龍平は静かに答える。

龍平は、由香里の好意に薄々気づいていた。
けれどー、
自分は、その気持ちにこたえることはできないからー、
気づかないフリをしていた。

「--へぇ、知ってたのに、わたしの気持ちに
 答えてくれなかったんだ!寂しいなぁ~~!」

由香里がケラケラと笑いながら言う。
さらに、由香里は続けた。

「--じゃあ、私が、市村くんにしたアドバイス…
 あれは…”市村くんが彩香に告白して、
 振られればいい---”
 そう思ってしたことだって、知ってる?」

由香里は意地悪そうに笑ったー。

まるで、本人が、叶わなかった恋心を吐き出すかのようにー。

龍平は、高校1年の時、図書室で由香里に
されたアドバイスを思い出す。

「--私から一つだけアドバイス…!
 自分から行動しないと何も始まらないよ…!」


「--嘘だ。清水さんはそんな子じゃない」
龍平は言った。

「--うふふ、嘘じゃないわよ!
 わたしは、由香里の記憶を読み取れるんだから!!
 わたしは、この女は!そういう女なのよ…!
 ふふふ…あはははははっ」

由香里が笑う。
隠しておきたい秘密のはずなのに、
とても嬉しそうに、秘密を暴露していくー。

「---信じない」
龍平は強い口調で言った。

「あ?」
由香里が不愉快そうに口にする。

「僕はお前の言葉なんか信じない…そう言ってるんだ!
 たとえそうだったとしても、
 僕は清水さんのアドバイスのおかげで告白できて、
 彩香と付き合うことができた…!

 だから僕は、清水さんに感謝してる…!」

龍平の言葉を聞いて
由香里が狂ったように笑い始めた。

「あっはははは…バカじゃねぇの…!」

由香里はそう言うと、彩香の方を見た。

「そういや、アンタさ…
 アンタ、内心でわたしのこと、見下してるよね?」
由香里が挑発的に笑う。

「えっ…何言ってるの?」
彩香が答えると、
由香里は彩香の方に歩いていく…。

「わたし、アンタにも憑依してたんだから、
 当然じゃないー。
 彩香、あんたの記憶は、ぜ~んぶ、わたしの脳の中にある。
 こ・こ・に・あ・る・の!」

由香里が自分の頭を指さしながら笑う。

「---由香里に対して優越感を感じていたりー、
 本当は、市村くんとエッチなことしたかったり…
 あ、でもでも、市村くんが奥手だから我慢してたりとかぁ~
 あとは、市村君の奥手なところにイライラしてたりだとか~
 ふふふ…」

由香里が、芝居がかった手振りを加えながら
彩香の秘密を暴露していく。

「---そんなことない!黙って!」
彩香が声を荒げた。

「---市村くんをオカズに、エッチしてた日も
 あるよねぇ~
 気持ちよかった???
 ねぇ、教えてよ あやかぁ…
 わたしの好きな人を奪って、その人を想って
 するえっちは、気持ちよかったぁ?」

歪みきった由香里が笑うー。

「---もうやめて!」
彩香が由香里をビンタしようとして手を止めるー。

「彩香…」
龍平が、寂しそうに二人を見つめる。

例えそうだとしてもー。
僕は彩香を信じるし、嫌いになることなんてない。
そう、思いながら。

「殴るの?殴りなさいよ!」
由香里が不敵に笑う。

「殴れるの?わたしを!?
 ふふふっ、殴りなさいよ!
 ほら、殴ってみろよ!このクソ女!!!」

由香里が叫ぶ。

彩香は怒りに手を震わせながらもこらえた。

「--ふふ、わたしはね…
 彩香、あんたのことを憎んだこともあった・・!
 この身体を通じて伝わってくるの…

 あんたを蔑んでいる今も…
 ゾクゾクしてるの、わたしのからだ…!!!
 うふふふふふふっ♡」

由香里の言葉に、
彩香は目に涙を浮かべて、由香里を見つめている。

「---くふふふふふふ・・・
 わ・た・し、アンタのせいで、こんな風に憑依されて
 好き勝手にされちゃってるのかもねぇ~!
 どう、彩香?わたしのこと助けたい???
 ねぇ、、どう???」

「--座間!!!」
龍平が叫んだ。

「お前の目的は僕だろ!!
 彩香には手を出すな!」

そう言うと、由香里は、龍平の方を見たー。

そして言った。

「お前に見せてあげる…
 男なんてね…、女の身体があれば、
 いくらでも壊せるってことを…」

由香里が服をはだけさせながら、横に居る彩香に言う。

「---…?」
彩香が不安そうに二人を見つめる。

「--市村くん・・・
 今、ここで、わたしとエッチなことしましょ…?」

由香里が上着を静かに脱ぎ捨てて、
下着姿になって微笑む。

「---ふ、ふざけるな!」
龍平は顔を赤らめるー。

「うふふ・・・♡ 赤くなっちゃって・・可愛い…」
スカートに手をかけ、静かにそれを脱ごうとする。

由香里のー
手には刃物も握られているー。

「---あ、、、や、、やめろよ!」
龍平が叫ぶ。

「---龍平!惑わされちゃダメよ…!」
彩香が叫ぶー。

けれど、龍平は戸惑っていた。

龍平は、
由香里を前にすると、時々照れたり、
戸惑ったりすることも多かった。

それはー
”由香里が自分に好意を抱いているかもしれない”という
ことに気づいていたからー。

そして、無理にそれに気づかないようにしていたから…。

「---うふふ♡」
龍平の目の前にやってきた由香里が笑う。

「--」
由香里は眼鏡を外して、屋上の端に放り投げたー。

(ここで、コイツとエッチをして、
 欲望を満たしたら…”破棄”だ)

由香里の中に居る座間は笑うー。
由香里で最後に喘ぎ狂ったら…
龍平を刺して、彩香を刺して、自分は笑いながら屋上から
飛び降りてやるー。

そして、目をつけていた1年の女子生徒に…

龍平に抱き着く由香里ー。

龍平はーーー
突然、鋭い目付きになって、
由香里の顔をつかんだ。

「---!?」

「--清水さん…僕は、清水さんの想いに
 気づいていたけど、逃げていたー。

 振ることで、清水さんを傷つけて、友達で
 いられなくなるのが嫌だった…。
 
 都合の良い話かも知れないけど…。
 僕は、清水さんのこと、大切な友達だと思ってるし、
 大事なクラスメイトだと思ってる」

龍平が、すぐ近くに顔のある由香里に向かって
真剣な表情で言う。

「---でも…
 それでも…」

龍平は彩香の方を見た。

「僕には、彩香が居るー。
 彩香のことが大好きだし、僕は絶対に彩香を裏切らない」

彩香は、龍平の言葉を聞きながら
涙ぐんで頷く…。

「--な、何言ってんだテメェ・・・!」
由香里が汚い言葉を口にする。

「---ごめん…僕は清水さんの気持ちには応えられない…
 でも…それでも、清水さんは大切な友達だし、
 大切なクラスメイトだ…

 清水さんだけじゃない、
 小笠原さんも、竹内さんも、他のみんなもだ!」

龍平の感情をこめた叫びに、
由香里がぶち切れた。

「うるせぇって言ってんだろ!!」

「---お前は黙ってろーーー!」
龍平が、由香里以上の怒鳴り声で、由香里ー、
いや、座間に向かって叫んだ。

「----!!」
由香里の表情が歪む。


「---清水さん、僕を信じて…
 お願いだから…”希望を失わないで”」

龍平は目をつぶるー。
修学旅行出発前に、父の孝彦と交わした会話を思い出す。

「龍平、お前に守りたいものはあるか?」

「なら、その”守りたいもの”が、もしも危険な目に
 遭ったときは、お前も、絶対に諦めるな。
 信じて、信じ抜いて、必ず、その人を守ってみせろ」


そうー、
僕の守りたいものー。

「父さん…約束したもんね…」
龍平は静かに呟いた。

そして、彩香の方を見たー。

「ごめん…最初で最後の浮気」
龍平の言葉に、
彩香は首をかしげた。

「龍平…?」


龍平はーーー
由香里の顔を引き寄せて、
由香里にキスをした。

「---むぐっ…!?!?!!?」
由香里が信じられないというような表情を浮かべる。

例え、由香里を助けるためでもー、
彩香の前でこんなことはしたくないー。
けれどー、由香里も大切な、友達だからー。

”清水さんー、帰ってきてー、
 座間になんか負けちゃだめだ”

龍平はそう強く念じた。

「---ぐぶっ…!」
由香里に異変が生じた。

喉から、何かが込み上げている。

そしてーー
”由香里”から吐き出された物体は、
そのまま龍平の口に渡り、
由香里は、白目を剥いて、龍平から離れる。

「あ・・・・・・・・・ぁ…」
身体を震わせながら、抜け殻のようにその場に倒れる由香里。

「---由香里!」
彩香が、由香里の倒れた身体を抱き起す。
半年以上も支配されていた由香里はー、
小刻みに震えて、痙攣を起こしているー。

「---く…く…バカな」
龍平が口を開いた。

「---りゅ、龍平?」
彩香が心配そうに龍平の方を見た。

「くそが!!!
 こいつ!!自分の身体に俺を吸い寄せやがった!」
龍平が叫ぶー。

これはーー”座間”

「--こうなったら今すぐお前も、由香里も、
 こいつも、全部ぶっ壊してやる!」

龍平が、由香里の持っていたナイフを手に、
彩香の方に迫る。

「---や、、やめてよ…龍平!」
彩香が涙を流しながら言うー。

「-----」
龍平が立ち止まる。

「ーーーお前は…僕たち…を、 舐めすぎだ…」
龍平が言った。座間に対しての言葉ー。

「--りゅう、へい…?」
彩香の言葉に龍平は優しくうなずいた。

「大丈夫・・・僕だよ…」
龍平の優しい微笑み----。


龍平の心の中ではーー
憑依したはずの座間が、龍平に押さえつけられていた。

「は…離せ…!」
座間は必死に叫ぶ。

「---離さない…。僕たちは、お前なんかよりも強いー」
龍平は冷たく言った。

そして、龍平は続けて、座間を睨んで言った。

「僕はーーお前を許さない」



「-ーーだ、大丈夫なの?龍平?」
彩香が心配そうに尋ねる。

龍平は、悲しそうにー
けれども優しく微笑んだ…。

「彩香…ごめん…
 ”約束”守れないやー」

龍平の言葉に彩香が”約束?”と首をかしげる。

そしてハッとするー。

あのライトアップされた遊園地での約束ー
「--来年もまた、一緒に来ようね。
 --約束だよ?」


「ダメ!!!龍平!」
彩香が叫んだ時にはーー
龍平は既に走り出していた。

屋上の隅のーーー
火花を散らしている機械のところに向かってー


”な、、何をする!!!”

座間が叫ぶー。

「---僕は父さんと約束したんだ…!!!
 大事なモノを、命を懸けても守るって…!!!」

龍平が、むき出しになっている配線のところに
辿り着くと、
そのままナイフで、力強く、引き裂いた。

周囲に、激しく電流が流れ始めるー。

「ぐっ…ぎゃあああああああああああああ!」
龍平の身体に激しい電流が流れる。

「--りゅう、龍平!!!」
彩香が、叫ぶーー。

「ぎぃあああああああああああ!!!」
龍平は、漏電したケーブルをしっかりと
握りしめて手を離さないー

倒れていた由香里が少しだけ目を開く…
「い…いちむら…くん…?」
そう、呟いた…。


”くそっ…こいつから抜けないとー”
座間はそう思った。

しかしー
龍平が座間を押さえつけていた。

「--父さん……
 ごめんね…
 でも、僕…約束は守るからー」

「龍平、お前に守りたいものはあるか?」

「なら、その”守りたいもの”が、もしも危険な目に
 遭ったときは、お前も、絶対に諦めるな。
 信じて、信じ抜いて、必ず、その人を守ってみせろ」


龍平は、父のことを思いながらー
全てを焼き尽くすかのような電流を、
その身で受けた。


ごめん…父さん…
ごめん…あやか・・・


「ぐああああああああああああああああっ!」
龍平の中に居た座間にも、電流が伝わり、
座間は悲鳴を上げたー。

薄れゆく意識ー。

座間は虚空に向かって手を伸ばしたー。

「--欲しいものは、力ずくで奪い取れ」

「強く生きろ、良一郎」


父の”幻影”を見ながらー
座間は思う。

「俺はただーーーー…」
座間はーー
父の幻影に向かって手を伸ばしたー。

けれども、その手は父に届くことなくー、
そのまま座間は、光に飲み込まれたーーー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--お疲れ様でした」
警察官が挨拶をする。

龍平の父親、孝彦は「あぁ、お疲れ」と
答えて、その場を後にしようとするー。

バキッ…!

机の上に飾ってあった家族写真に
突然ヒビが入った。

ーーそのヒビは、龍平の部分だけを
ボロボロに引き裂いていたー。

「・・・龍平?」
父・孝彦は不安そうにその写真を見つめた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

屋上ー。
激しい漏電が止み、
龍平はその場に倒れたー。

「---りゅ、龍平!!」
彩香が泣きながらその場に駆け付けるー。

「--ど、どうなってるの…?」
後から屋上にやってきた淳子と美香は、
その様子を只々、唖然と見つめるしかなかった…


⑤へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

今日は8000文字近くまで書いちゃいました!
明日で最終回です!

みんなしあわせになれるといいですねっ!(意味深な棒読み)

コメント

No title

ほんとに読んでてドキドキさせられます。さて、どんな結末を迎えるのか。
しかし1日8000字一気ですか。頭の中でストーリーが出来上がっているんでしょうね。あとはそれを書くだけという。

Re: No title

> ほんとに読んでてドキドキさせられます。さて、どんな結末を迎えるのか。
> しかし1日8000字一気ですか。頭の中でストーリーが出来上がっているんでしょうね。あとはそれを書くだけという。

ありがとうございます!
私の小説の作り方が 頭の中で最後の展開まで組み立てる⇒書く!なので、
書いてる途中はノンストップで、入力できます!

明日が最終回です!
お楽しみ頂けると嬉しいです!
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プロフィール

無名

Author:無名
憑依小説好きです!
TSF/憑依系メイン
の小説を公開していきます!

基本的に毎日更新しています!

無断転載はご遠慮下さい。。

ツイッターやってます!

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