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<憑依>リングの呪怨③~後悔~(完)

憑依された彼女と、彼氏は対峙した。

自分のプレゼントによって、彼女が支配されてしまった。
その事実を知り、苦しむ彼氏をあざ笑うかのように、古の大悪党は
運命を弄ぶー。
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「し、、静香…どうしちゃったんだよ!」
幸人が叫ぶと、
静香はリングを指差しながら言った。

「くくく…俺はお前の知るこの女じゃねぇ!」

静香の乱暴な口調を聞くのは初めてだ。
幸人は、そこにも戸惑っていた。

「--なんだって…?」
幸人が、困り果てた様子で言うと、
静香は続けた。

「俺はな・・・3000年前、このリングに封印された
 悪党さ…。
 お前がこの女に、このリングをプレゼントしてくれたおかげで、
 俺はこいつを宿主に、現世に蘇えることができたってわけさ!」

静香が得意気に、堂々とした様子で話す。

「-う、、嘘だ・・・!嘘だ!」
幸人が現実を受け入れられずに言うと、
静香はバカにしたように笑う。

「---よく見たらこの女、可愛いよな。
 俺の時代にもここまで可愛い女は居なかった。
 どうだ?この女の胸は。見たことあるか?」

服をはだけさせたまま、
下着の上から胸を触る静香。

「--や、やめろ!静香に触れるな!」
幸人が怒りを露にする。

「--ふふ、興奮でゾクゾクしてきたー!
 おい、お前。この女の喘ぎ声、聞きたいか?
 今の俺ならこいつを死ぬほど喘がすことだって
 できるんだぜ?

 彼女のえっちな声、聞きたいだろぉ?」

静香が舌を出して挑発するように、唇を舐めた。

「--やめろって言ってるんだ!」
幸人が言うと、静香はしらけた顔で幸人を見つめる。

「静香を返せ!」
幸人が、怒りに拳を震わせながら言うと、
静香が微笑んだ。

「-ーーー」
静香のリングが光り、静香の表情がいつものように
おだやかになる。

「--あ、、幸人」
静香がボーっとした様子で言う。

「し、静香なのか?」
幸人が問いかけると、
静香は不思議そうに頷いた。

だが、何かがおかしい。
服をはだけさせていることを、全く気にしていない。

「--し、静香!そのネックレスを今すぐ外せ!」
幸人が叫ぶ。

「ど、どうして?これは幸人がくれた
 わたしの大切なもの!
 絶対に外さない!」

皮膚に食い込んでいることも、気にも留めない。

「--静香!外せ!頼む!」
幸人が叫ぶ。

「--外さないって言ってるでしょ!」
静香が大声で反論した。

古の大悪党に静香は、半分洗脳されている。
だからー、
リングを何があっても外さない。

「--静香!!!!」
幸人が大声で叫ぶ。
この思いが届いて欲しい。
その一心で。


けれどー
思いは届かなかった。

リングが再び光り、
静香が邪悪な笑みを浮かべた。

「--くくくくく…静香は俺のものだ!」
静香が両手を広げて大笑いする。

「貴様ぁ!」
幸人は怒り狂って静香に突進した。

しかし、静香はその場でバック転をして、突進をかわすと、
幸人を壁に叩きつけて、押さえ込んだ。

「---俺にはむかうなんて、笑わせてくれる」
静香が、鼻で笑う。

「し…静香…、こんなやつに負けるんじゃねぇ・・・」
幸人は静香に呼びかけた。

「ふふふ・・・♡ 無駄無駄」
静香がほほ笑む。

リングがさらに静香に深く突き刺さり、
静香の体から出血している。

「--おい!貴様!」

「--もう、この女は、俺のものだって言っただろ。

 あぁ…それとも幸人、
 わたし風に喋った方が興奮するかな?
 ふふふ♡」

静香の口調で話し始める古の大悪党。

「---うふふふ♡ 
 聴きたいでしょ?
 わたしの喘ぐ声」

そう言うと、静香は胸をわしづかみにして、
色っぽい声を出し始めた。

「うふぅ♡ この女・・・すげぇや♡
 ちょっと刺激しただけで…
 あぁん♡ すっごい…♡」

静香が顔を真っ赤にして、
飢えた表情で声をあげている。

「やめろやめろやめろ!
 俺はそんな静香、見たくない!」
幸人が叫ぶと、
静香はさらに声をあげた。

「あぁ…♡ 幸人だっけ?
 あなたのこと、わたし、大好きだったみたい うふぅ♡
 あぁん♡ あなたのこと、想像すると、
 すっごい興奮する♡
 からだが、あなたのこと♡ だいすきみたい♡
 うふふふふふふ♡ ふふふふふふっ♡」

静香の淫らな行為に、幸人は耐え切れず、
静香を取り押さえようとした。

「---邪魔しないで!」
静香はそう言うと、幸人を押し倒した。

そして、そのまま、幸人の顔を太ももで
押しつぶした。

「ぐあっ!」
静香の太ももが顔の上に乗っかっている。

「---ふふふふ♡
 どう、彼女であるこのわたしの
 太ももの下敷きにされた気分は?
 え??」

静香が笑いながら言う。

「くっ・・・くそっ…目を覚ませ…」
幸人が言うと、
静香は脚に力を込めて、幸人の顔を
太ももで力強く押し込んだ。

「ぐあああああああっ!」
こんな状況でもーー
太ももに押しつぶされているという状態に
興奮してしまうことを、幸人は悔しく思いながら
歯を食いしばった。

「ほらぁ!」
静香が足をどけて、今度は、胸で幸人の顔を押しつぶした。

「ぐがぁ…!」
興奮と屈辱。
幸人は怒りに震えていた。

胸で幸人の顔を押しつぶしていく静香

「あははははははっ♡
 幸人~!わたしの胸に押しつぶされる気分はどう?
 嬉しい?興奮しちゃうでしょ?
 うふふふふふふふ、あはははははははっ♡」

静香の言うとおり、
幸人は興奮していた。

こんなやつ、静香じゃないと、分かっているのに。

それでも興奮してしまう、自分を憎いと思いながらー

「--ふざけるなっ!」
幸人は力を振り絞って、静香を押し返した。

押されて幸人から離れる静香。

「---そのリングだな!
 そのリングを外せば静香は!」

幸人が、静香の胸元のrングを引きはがそうと、静香に近づいて
リングをつかむ。

皮膚に食い込んでいる部分からは血が流れている。

「----触るんじゃねぇ!ゴキブリが!」
静香はそう叫ぶと、
幸人に強烈な蹴りを喰らわせた。

「調子に乗るなよ!
 俺にとってお前ら人間はゴキブリだ!」
静香がそう言うと、見下すようにして幸人を見た。

「--くそっ…静香を返せ…!
 静香が何をしたってんだ…!」

幸人がそう言うと、
静香は、服を整えながら笑う。

「--お前ら、
 自分の食糧にするために動物を平気で
 料理するよな?

 家に入ったゴキブリを平気で始末するよな?

 あいつらが何をした?
 何もしてねぇだろ。

 それと同じさ」

静香は髪を結びながら不気味にほほ笑む。

「--虫を始末するときに、罪悪感を感じるのか?
 豚肉喰ってるときに豚さんごめんなさいと思ってるのか?
 思ってねぇだろ!

 俺も同じさ。
 この女の体を道具として使うことに
 罪悪感なんてねぇんだよ!

 じゃあな!幸人!ひゃはははははは!」

静香はそのまま笑いながらどこかへ出かけで行った。

「待てー!」
幸人も静香の家から飛び出す。

”なぜ、自分は人形にされずに見逃されたのか”

少しだけ疑問に思いながらも、幸人は走った。

そこにーー
”ネックレスを販売した”老婆が居た。

「---おやおや…可愛そうに…」
ローブをかぶった、シワの目立つ顔立ちの老婆。

「--貴様!あのリングを俺に売ったのは…」
こいつは、古の大悪党が封印されていることを知りながら俺に
リングを売ったんだ!幸人はそう思った。

「--そう。どう?生き地獄に落とされた気分は?」

老婆の声に聞き覚えがある。

幸人はハッとして顔をあげた。

「-----ふふふ」
クラスメイトの変装好きの女子―暁美の顔がそこにはあった。

ローブと、メイクで、老婆だと思い込んでいた。

「あ、藍本さん…」

静香の浮気疑惑を語ってくれた暁美ー。
その暁美がどうして?

「---幸人くんさぁ?
 わたしが去年あげたバレンタインチョコ、捨てたんだってね?」

幸人は思い出す
去年、暁美からもらったバレンタインチョコを捨てたことを。
あまりにも不気味なチョコだったので、捨てたのだ。

「クラスの男子と、”藍本さんのチョコ捨てちゃったよ”って
 笑い話にしてたよね?」

老婆メイクの暁美が言う。

「---そ、それは…」
確かにそんな話をした。
暁美の義理チョコをー

「一生懸命つくったのに…!
 幸人くんへの愛をこめて作ったのに…!」

幸人はハッとする。
あれは義理チョコなどではなくーー

「ーーー許さない」
暁美の目に憎しみが宿っている。

「--わたしの家にはね、
 先祖代々伝わるリングがあったの。
 それが、幸人くんにあげたあのリング。

 わたしの遠いご先祖様が、古の大悪党を
 封印したリング。

 ゼッタイに触るなって言われてたんだけど…
 幸人くんへの復讐のために使うことにしたの」

暁美が笑う。

「ふ…ふざけるな!静香は何も悪くない!
 チョコのことで恨むなら俺を…!」

そう言うと、暁美が呪文のように呟き始めた。

「静香静香静香静香静香静香静香…!
 どんだけあの女のこと好きなのよ!
 わたしをバカにして…!」

怒り狂った様子で言う暁美は
そのまま立ち去ろうとした。

「--待て!」
幸人が叫ぶ。

「ーーー」
暁美は振り返って冷たい声で言った。

「--ー地獄に堕ちろ」

そう言うと、老婆メイクの暁美はそのまま立ち去って行った。


「---そ、、そんな…」

静香を救うことは…
できない…

そう直感した。

幸人はその場に泣き崩れた。
もう、どうすることもできないー。

自分は、無力だー。


生き地獄に落とされた幸人は
リングを静香にプレゼントしたことを”後悔”したー。
けれども、もう、遅い…。


おわり

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コメント

昨日書いた②で、
幸人の名前を間違えて表記していました(汗)
既に修正済みです!

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無名

Author:無名
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