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<憑依>極悪非道の犯罪者①~悪魔と悪魔~

もしも凶悪犯が憑依薬を手に入れてしまったらー。

憑依薬を手に入れた凶悪犯罪者・室井は
各地で、人々の身体をおもちゃのように
使いながら、逃亡を続ける。

その、行き着く先はー。

「凶悪犯罪者・室井」
「変幻自在の逃亡者」に続く、シリーズ最終作です!
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「---ふふふ…」
ショッピングモールを堂々と歩く、
スタイルの良い若い女性。
20代前半だろうか。

ミニスカート姿で、大胆に生足を露出し、
まるで男を誘うかのような格好をしながら、
堂々と歩いている。

自分を見せびらかすかのように。

彼女は、凶悪犯罪者であり、逃亡中の男・
室井哲也(むろいてつや)に身体を奪われていた。

入れ替わり薬なる薬を手に入れた室井は、
次々と人々の身体を入れ替え、
逃亡を続けていた。

「---今日の夜は、楽しみ…くふふふふふ♡」
イヤらしい笑みを浮かべる女性。

本来の彼女は、別の身体に入れ替えさせられ、
既に”処分”されている。
室井の憑依・入れ替わりによる被害者は
既に数百名を超えている。

最初に室井が憑依薬を手に入れてから1年ー。
警察も黙ってはいなかった。

ただし、憑依だの入れ替わりだの、そんなことを
表ざたにすることはできない。
だからこそ、警察側の、決して表にできない事件を処理するための
エキスパートである秘密部署を使って、
室井を始末しようとした。

だがー
結果は失敗だった。

最初に室井を追っていた責任者である
牧警視正は、室井に憑依された娘によって、命を奪われた。

後任の早川警視正も、そうだった。


そして、警察は、室井を始末するために、
”切り札”を投入した。

それがー
佐伯警視長だった。

佐伯 勝則(さえき かつのり)
警察組織の”裏”を事実上支配している男でもあり、
これまでに表ざたに出来ない事件の数々を処理してきた。
彼が担当するのは、国家の危機レベルの事件。
そのため、民間人をも巻き添えにしてでも
事件解決を図る、悪魔のような男でもあった。

彼に倫理観など存在しないー
警察内部に居ながら、悪魔のような存在。
彼の存在が表ざたになれば
警察組織は転覆するだろう。

しかし、それでも、佐伯は、この世の必要悪であった。

「---ショッピングモールを爆破する」
佐伯警視長の言葉に、これまで
早川警視正や牧警視正のもとで働いていた
警察官たちも唖然とした。

「-し、しかし…それでは、多くの民間人が」
30代の警察官、平塚 節也(ひらつか せつや)が言う。

「--若いの…
 室井を野放しにしておけば、これから何人が
 犠牲になると思う?
 既に未確認を含めて1000は超えているだろう。
 これがこの先続けば、室井の被害者は10万にも、
 100万にもなる
 
 ならここで、数万の命が犠牲になったとしても、
 安いモノだ」

佐伯警視長の発言に、誰もが唾を飲んだ。

強引な処理を行う
早川警視正や牧警視正ですら、
室井の手にかかり死亡したのだ。

もう、猶予はないのかもしれない。

「ヤツの現在の足取りは分かっている。
 憑依薬を失った奴は今、入れ替わり薬での
 逃亡を続けている。
 その足取りをたどるのは容易だ。
 そして今、西地区のモールで
 優雅にショッピングを楽しんでいる

 既に、爆撃の準備も整った」

佐伯警視庁は、スクリーンに映像を映し出した。

「”表向き”は、過激派のテロ活動ということで処理する。
 大きな事件として扱われるだろうが、
 室井の存在は闇に葬ることができる」

節也や、他の警察官たちは、
青ざめた表情でモニターを見た。

”準備完了です”

モニターから声が響いた。

「--室井哲也…
 この私、佐伯から逃げられると思うなよ。」

佐伯警視長はそう言うと叫んだ。

「殺れ!ファイア!!!」

佐伯の部下が乗っている戦闘機が、ショッピングモールに
爆弾を投下した。

そしてーーー
ショッピングモール全体が轟音に包まれた。

「--室井の生死を確認しろ!」
佐伯が叫んだ。

室井が現在使っていた”からだ”は、
女子大生の溝口 夏香(みぞぐち なつか)。
佐伯は、既にそれを突き止めていた。

佐伯の部下が、悲鳴の響き渡る
ショッピングモールを捜索する。
そこら中から、火が出ている。

「あ・・・あ・・・」
一人の女子大生が、身体から血を流して
苦しそうにしていた。

二人の警察官は
その女性の顔を見たー。

溝口 夏香ー。
室井だー。

「--た、、助けて…!」
夏香は警察官を見るなり命乞いをした。

しかしーー

パン! パン! パン!

二人の警察官は夏香を射殺した。

「クリア!」
二人が叫ぶと、
モニターでその様子を見ていた佐伯警視長が
立ち上がって拍手をした。

「ブラボー!」

周囲の警察官たちは黙り込んでいる。
室井は確かに始末することができた。
けれどー
そのために、何の罪もない人たちが、
相当数犠牲になった。

佐伯警視長が、得意げになって
拳を突き上げた。

「室井哲也は、死んだー!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

世間はショッピングモール爆破事件で
大騒動になっていた。

その犠牲者は数千にも上る。

しかしながら、
佐伯警視長は、それでも安いモノだと考えていた。

室井哲也が生きていれば、
今後も、犠牲者は増え続けるはずだった。

そして、室井哲也は法律で裁くことはできない。
彼は憑依薬や入れ替わり薬という人外の力に
手を出した。

法律で裁くことなど、出来ぬのだ。

そして、憑依薬を切らし、
入れ替わりだけで逃亡している今こそが
チャンスだった。

憑依と違い、入れ替わりは相手と接触
しなくてはならない。

そこに、盲点があったのだ。

報道陣が封鎖されたショッピングモールで
報道を続けている。

そんな中にー
不気味な笑みを浮かべながら
現場の状況を伝える、若い女性リポーターの姿があった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

警察官・御子柴は、
動揺していた。

彼は、裏で室井哲也と繋がり、
警察内部の情報を流していた。

見返りは、室井が支配した女とのエッチ。

「---・・・本当に死んじまったのか」
御子柴は呟く。

だが、室井が死んだとなれば
自分が室井と接点を持っていたという
証拠は無くなる。

「--夢は、終わりか」
御子柴はため息をつきながら
居酒屋にむかぅた。

室井が支配している女はとても魅力的だった。
それが、もう味わえないとなると、
寂しい思いは拭えないー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「はぁ・・・」
節也はため息をつきながら帰宅した。

佐伯警視長のやり方は正しいのかも
しれない。

だがー。

それでもーー

「--おかえりお父さん!元気ないね!」
高校1年の娘・愛果(まなか)が笑顔で出迎えた。

「---色々あってな・・・」
節也がつぶやくと、
愛果がほほ笑んだ。

「お父さん!今日の晩御飯は、
 美味しいお肉だよ!」

愛果が笑いながら、
リビングに父をつれて行くー

そこにはーー

「ヒッ・・・!」
節也は思わず声をあげた。

妻と、息子が、
血まみれになって、倒れている。

切り刻まれて、人肉にされている。

「--な、なんだ・・・これは」
節也が震えながら言うと、
愛果は笑った。

よく見ると、愛果の手は赤く染まっている。

「お父さんー。
 残念だったね」

愛果は自分の手についた血を舐めながら微笑んだ

「わたしーー憑依されちゃった♪えへっ!」
悪戯っぽく笑うと、愛果は包丁を
手に、節也に襲いかかった。

部屋中に、悲鳴が轟いた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日。

警察官たちが、節也の家に駆け付けた。

節也は無残にも惨殺されていた。
そして、節也の妻と息子も。

さらには、娘の愛果は自ら命を絶っていた。
顔に笑みを浮かべながら。

しかもー
愛果は自分の腕を切り刻み、文字を刻んでいた。

”お れ は こ こ に い る”

とー。


現役警察官の死。
あまりにも無残な死に同僚たちは
激しく動揺した。

そしてー

「--なんだと?」
佐伯警視長が驚きの表情を浮かべる。

「--間違えありません。
 確かに、自殺した長女が、
 腕に「おれはここにいる」と掘っていました。

 死んだ平塚の家族仲は良好だと聞いています。
 長女の愛果は真面目で優しい性格だと」

40代の警官がそう報告すると、
佐伯警視長は、困惑の表情を浮かべながら呟いた。

「室井めー。
 上手く生き延びたか・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夜ー。

「御子柴さん」
背後から呼び止められた警察官・御子柴は
振り向いた。

そこには、可愛らしい女子高生の姿があった。

「--ん?何か用かな?」
御子柴が言うと、
突然その女子高生は、御子柴を裏路地に引っ張り、
そのまま抱き着いてキスをした。

「---!?」
御子柴は女子高生の胸の感触を感じながら困惑した。

「--ー俺だよ、室井だよ」
女子高生は邪悪にほほ笑んだ。

「--む、室井・・・!てっきり死んだのかと・・・!」
御子柴が言うと、室井は笑った。

「--しなねぇよ。
 まさか警察があそこまでやるとは思わなかったけどな」

壁に片足をつけながら女子高生が笑う。

「警察は、俺が憑依薬を使い尽くして、
 入れ替わり薬しか持ってないと
 思ってたようだが、持ってるんだよ、憑依薬も・・・!」

その言葉に、御子柴が唾をゴクリと飲み込む。

「--爆撃される直前、俺は女から抜け出して、
 また別の女に憑依したってわけさ」

女子高生が自信に満ち溢れた表情で、
御子柴を見た。

「憑依薬に入れ替わり薬、もう、俺を
 止められるやつはいねぇ・・・
 見てろ、明日、宣戦布告してやるからな」

そう言うと、少しだけ微笑んで続けた。

「前祝だ。ホテル、行くか?」
女子高生から誘われて、
警官・御子柴は嬉しそうに微笑んだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日、川辺で女子高生が変わり果てた姿で見つかった。
目撃者の衝撃によれば、自ら油をかぶって
火をつけたようだ。
しかも、彼女は最後の瞬間まで笑っていたという。

その女子高生は、
昨夜、室井に憑依されていた女子高生だった

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--佐伯警視長!」
部下の警官が、佐伯警視長を呼ぶ。

「なんだー?」
佐伯警視長がうんざりした様子で答えると、
部下は言った。

「テ、テレビを・・・!」

焦る部下。

佐伯は「おい!テレビを回せ!」
と叫び、スクリーンにテレビを表示させた。

新人の女子アナが自信に満ちた表情で、
笑っている。

「--バカども!よく聞け!
 俺の名は室井哲也!」

女子アナが、狂気的な笑みを浮かべながら言う。

「--俺はな、人間に憑依する力を持っている!
 ほら、見ろよ!人気の女子アナだって思いのままだ!」

女子アナが、舌をペロペロしながら胸を揉んでいる。

周囲が止めに入るも、女子アナは
それを乱暴に振り払った。

「カメラ止めるなよ~
 止めたら、この女、死なせるからな~」

女子アナは笑いながらテーブルの上に
座って足を組むと宣言した。

「警察は俺の存在を隠そうとした!
 そして、昨日のショッピングモールの爆撃は、
 俺を始末しようとした警察による仕業だ!」

女子アナが手を広げながら
世界の支配者かのように、宣言する。

「--でもなぁ、俺は死ななかった!
 挙句の果てに、俺と勘違いして
 女子大生の命を奪った!

 実に愚かだよなぁ!あははははっ」

笑いまくる女子アナ。
周囲の出演者は青ざめ、
他の女子アナは目に涙を浮かべている。

「--お前らがその気なら、俺は
 全力で世界をかき乱してやるぜ!

 人生は一度きり!
 人生、楽しもうぜ!」

そう言うと、女子アナは「かっ・・・」と
うめき声をあげて、その場に倒れた。

殺到する電話。
世間は大混乱に陥った。

憑依ー
ショッピングモール爆撃の真相ー
生放送の放送事故ー


「くそっ・・・」
佐伯警視長は呟く。

そして、鋭い目付きで叫んだ。

「--御子柴を呼べ!」
と。

すぐに、御子柴が呼び出されて
佐伯警視長の前にやってきた。

「お呼びでしょうか?」
御子柴がそう言うと、
佐伯警視長は鋭い目付きで言った。

「今朝、川辺で焼死体になっていた
 女子高生と、昨夜ホテルに入っていたのを
 目撃したものが居るんだが、
 どういうことかね?」
佐伯警視長が尋ねる。

「そ・・・それは・・・」
御子柴は青ざめた。

バン!

銃声が響き渡った。

力無く倒れる御子柴。

「--疑わしきは罰する」
佐伯警視長はそう呟くと、
叫んだ。

「-おい!勤務中の心臓発作で処理しろ!」

そう言うと、部下は御子柴の死体を運んで行った。

佐伯警視長は、
怒りの形相で呟いた。

「室井哲也・・・
 私を怒らせると、どうなるか、
 思い知らせてやるー。

 何人犠牲にしようとも、貴様を地獄に送ってやるぞ・・・」

と。


②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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憑依と入れ替わりを駆使する室井哲也と、
手段を択ばない警察の暗部の長・佐伯警視長の
し烈なTSFバトル(?)をお楽しみください!

続きは明日デス!

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無名

Author:無名
憑依小説好きです!
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