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<憑依>極悪非道の犯罪者④~人生~(完)

凶悪犯罪者に憑依された少女ー。
秩序は正義をあざ笑う室井。

「人生を楽しむ」
そう豪語する室井を止めることはできるのか。

凶悪犯罪者・室井シリーズ完結!!
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人生は一度きりだ。

その人生を、ルールという鎖にとらわれて
生きて何の意味がある。

俺の人生は、俺のものだ。
誰にも、縛られることはない。

昔からそうだ。
俺は、俺のやりたいように生きた。

親は言った。
「他人に恥じない生き方をしなさい」と。

俺は、自分の生き方を恥じてなどいない。
むしろ、誇りに思っている。

やりたいようにやり、
やりたいことをする。

何者にも縛られず、
自由に生きるー。

ルールだの、秩序だの、正義だの、そんなことは関係ない。

正義の定義とは何だ?
自分自身の決めた道こそが、正義ではないのか?
正義の定義はあいまいだ。
自分が正義だと思えば、それこそが正義なのだ。

そう、人生は一度きりだ。
牢獄のような人生を過ごして、それで満足か?

俺は、満足しない。

一度きりの人生ー、
なら、その人生、楽しもうぜー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--あっ…あ、、ああぁ…」
女体化薬を打ち込まれた佐伯警視長の
身体がみるみるうちに変化していく。

膨らむ胸の、
膨張を止めようとしているのか、
佐伯警視長は必死に胸のあたりを抑えている。

「くはははっ!
 必死じゃん!
 あははははははっ!」

段差に座り、脚を組みながら余裕の表情で
佐伯警視長の変異を見つめる裕香。

警視総監の孫娘として
真面目に生きてきた裕香が、これまでに
したことのないような悪い表情、
悪い言葉で佐伯警視長を罵る。

「あ、、く…くそっ!」
髪が伸びていく。
声が可愛らしくなっていく。

男を証明するアレがなくなっていく。

みるみるうちに身体は若返り、
目の前にいる裕香と同じぐらいの年齢の少女になってしまった。

「あはは!佐伯ちゃん!どう?
 女の子になった気分は?」

裕香がバカにするように笑う。

そして、色っぽくモデル歩きをしながら
裕香が近づいてくる。

佐伯警視長は、
裕香を見上げながら鋭い目付きで睨んだ。

「ふふふ…
 そんな可愛らしい顔で睨まれても、
 怖くねぇんだよ!」

裕香が叫ぶ。

「って、こんな見た目と声じゃ、俺も同じか!
 今の俺は裕香だもんね!
 うははははははっ♡」

裕香が両手を広げて大笑いする。
乗っ取られているのに、とても楽しそうだ。
本人の意思とは関係なく、全てを支配されてしまうー。

それこそが、憑依の恐ろしさー。

「--貴様…必ず、必ず、八つ裂きにしてやるぞ!」
可愛らしい声で佐伯警視長が言う。

「---ワン!ワン!」
洗脳されて精神が犬になってしまった
佐伯警視長の娘・典子が吼えた。

全裸で、四つん這いになり、犬のように吠える典子。
もはや、人間としての尊厳はズタズタだった。

「--いつまで、そんな風に強がっていられるのかな?」
裕香は微笑むと、
佐伯警視長の大きくなった胸を触った。

「んふぁっ♡」
佐伯警視長は、思わず甘いを出してしまう。

「---ふふ、可愛い声出すじゃない!」
裕香が、馬鹿にしたようにして笑う。

「--や、、やめろ・・・貴様…!」
佐伯警視長は身体から溢れる快楽を
必死にこらえながら叫んだ。

「--やめな~い!」
裕香は悪戯っぽく言うと、
佐伯警視長を抱きしめて、無理やりキスをした。

舌をからめさせて、
クチュクチュと音を立てる。

「んっ♡ あぁ♡ やめ、、、やめろ♡ やめてぇ♡」
佐伯警視長が叫ぶも、裕香はそれを無視して
胸を揉んだり、舌で佐伯警視長を攻めた。

現役の女子高校生と、
同じぐらいの年齢になった女体化した女が
抱き合ってエッチをしている。

はたから見れば、異常な光景。

「んんぁあああああっ♡
 あぁああああっ♡」
佐伯警視長はあまりの快感に、自我が壊されそうな
気持ちになった。

拒んでいた裕香を受け入れて、
されるがままになっている。

「はははっ!イイ声、出すじゃん!」
裕香が笑う。

「ほら!ほら!ほら!」
裕香が笑いながら、佐伯警視長を
さらに攻めていく。

喘ぐことしかできない佐伯警視長。

その時だったー。

「やめろ!」

声が廃工場に響き渡る。

密かに後をつけてきていた、
佐伯警視長の部下、春崎だった。

「--あら?」
裕香は、佐伯警視長を離して、
放心状態で床に横たわる佐伯警視長を
蹴り飛ばすと、春崎の方を見た。

「--…佐伯警視長」
女体化した佐伯警視長の方を見て
春崎は首を振った。

「うぉぉぉぉぉぉぉん!」
雄叫びを上げる犬になった典子を見て、
春崎は青ざめる。

「--お前、二人に何をした!」
裕香に向かって叫ぶ春崎。

裕香は悪びれる様子もなく、
微笑んだ。

「なにって?
 そうねぇ、TSFごっこ!
 あはははははっ!」

裕香が大笑いする。

「--室井!お前のせいで
 大勢の人々が苦しめられた!」
春崎が叫ぶ。

「俺は、お前を許さない!」
拳を握りしめる春崎。

最初に室井を追っていた
警察官の大室は、春崎が可愛がっていた後輩だった。

そして、殺された早川警視正は、
春崎を指導してくれた、先輩刑事だった。

「---へっ!お前もつまらない生き方をしてやがるな!」
裕香が叫んだ。

”ルール”に縛られて生きる馬鹿どもが!
室井は内心で、目の前にいる警察官を心底、蔑んだ。

「怒るのはいいけどよ、
 どうする?
 俺を撃つか?
 ま、撃っても死ぬのはわたしだけだけどね~
 きゃはははははっ♡」

裕香は挑発的に笑う。

「--俺はこの世界の神になった!」
裕香が手を広げて、
高らかに宣言する。

「すべての身体は、この俺のものだ!
 俺はすべての人間の運命を握っている!

 どうだ!
 見てみろよ!
 そこに転がってる女になった警視長!
 あまりの気持ちよさに悶えてやがる!

 そして、犬になった警視長の娘!
 ひはははは!
 誰をどうしようと、俺の自由だ!」

裕香が叫ぶと、
春崎はあるものを取り出した。

裕香の顔色が変わる。

「--それは、憑依薬!?」

春崎は、笑った。

「室井・・・お前が手に入れていた憑依薬を
 俺も手に入れさせてもらった。」

春先の言葉に、裕香は叫ぶ

「憑依薬を手に入れてどうする?
 俺と同じように、人生エンジョイするのか?」

裕香の言葉を無視して、
春崎は「こうするためだ!」と叫び、
憑依薬を飲み干すと、その場に倒れた。

霊体になった春崎はー
そのまま裕香に憑依した。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

暗闇ー

真っ暗な世界ー。

これが、裕香という少女の心の中か。
暗いのは、
乗っ取られている裕香本人の、
暗い気持ちを体現しているのだろうか。

「--!!」
男が、驚いた様子で振り向いた。

「--お前が、室井哲也だな」
春崎が言う。

室井は、笑みを浮かべた。

「まさかー、同じ人間に憑依するとはな」

春崎が裕香に憑依したことにより、
春崎は、裕香の中にいる室井に辿り着いた。

「--ようやくお前の本体に会えたぜ」
春崎が言うと、
室井はニヤリと笑みを浮かべる。

「---仕方ねぇ。
 サンドバックにしてやるぜ!」

室井はそう叫ぶと、春崎に殴りかかった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「はぁ…はぁ…」
快感から解放され、ようやく
正気を取り戻しつつあった、佐伯警視長は、
目の前にいる警視総監の娘・裕香を見つめた。

ぶつぶつつぶやきながら虚ろな目で立っている裕香。

「--お前を…倒す」

「そうは…させるか…」

春崎と室井、二人に憑依された裕香は、
体内での、肉体の主導権争いが
起きていた。

「---…」
佐伯警視長は、すっかり女になってしまった
自分の身体を見つめて、悔しそうな表情を浮かべた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

鈍い音が響き渡る。

「があっ!」
室井哲也が、春崎に殴り飛ばされて
鼻から血を吹き出していた。

「貴様のせいで、何人の人間が
 苦しんだと思っているんだ!」
春崎が、さらに室井を殴りつける。

「くくく…勝ったつもりか?」
室井が笑う。

室井の姿が、薄くなっていく。

「--もうこの身体に用はねぇ。
 俺は抜けさせてもらうぜ」

室井は、裕香の身体を捨てて、
また新たな身体を探しに行こうとしていた。

”しばらく、身を隠すか”
室井はそう思った。

警察を挑発すると、
騒がしくて仕方がない。

適当に可愛い女子高生にでも憑依して、
また、女子高生ライフでも満喫するか。

「--逃がすか!」
春崎が室井を羽交い絞めにした。

薄れていた室井の姿が濃くなる。

「--なにっ!」
室井は、裕香の身体から抜け出せなくなり、
困惑したー。

「--逃げられると思うなよ!室井!
 俺は、どんな手を使ってでも、お前を叩き潰す!
 たとえ、自分を犠牲にしてでも!」

春崎が叫ぶ。

そしてーーー

「聞こえますか!佐伯警視長!
 室井は抑えました!俺、もろとも、
 室井を…!」

春崎が叫ぶ。

「貴様ァ…!」
室井も叫ぶ。

最初に身体が撃ち殺された時も、
ショッピングモールの時も、
室井は、身体が完全に生命機能を停止する前に、
その体から抜け出しているー。

もしー
憑依したまま身体が死んだらどうなるのかー
それは、室井にも分からなかった。

「-----…!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

突然、裕香がうつろな目のまま叫びだした

「むろいは…おさえました・・・おれもろとも・・・」

「--!」
佐伯警視長はその言葉を聞いて、
銃を手にした。

警視総監の娘を撃ったらどうなる?
恐らく、室井を叩き潰すためでも、
南波警視総監は激怒するだろう。

だが、
もうどうせ自分は終わりだ。
女体化してしまった。

それならー

佐伯警視長は地下対策本部に
連絡を入れた。

「--B地点の廃工場を爆撃しろ!」

対策本部のメンバーは、
突然響いた少女の声に狼狽える。

「--あ、あなたは?」
その言葉に、
佐伯警視長は、無線越しに怒鳴りつけた。

「佐伯だ!いいから廃工場を爆撃しろ!
 室井を叩き潰す最後のチャンスだ!」

「し…しかし!」

佐伯警視長は、
少女の姿で大声で叫んだ。

「俺もろとも爆破しろ!ファイア!」

対策本部のメンバーは、
狼狽えたまま爆撃の指示を出した。

そしてー

廃工場は、ピンポイントで爆撃された。

女体化した佐伯警視長ー
犬にされてしまった佐伯の娘ー
そして、春崎と室井が憑依したままの裕香。


「一緒に地獄に行こうぜ!」
春崎が室井を押さえたまま言う。

「ーーやめろ・・・貴様…ひぃぃぃぁいああああ!」

室井の叫び声は、裕香の身体ごと、炎に
包まれてかき消されたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

後日。

一連の事件に対する警察の記者会見が行われた。
南波警視総監が、マスコミの質問に答えている。

ーー今回のショッピングモールの爆破、
   警察の対策本部の火災、
   各地での女性の凶行、
   これらの原因は何でしょうか。

「--海外に拠点を置く、過激派組織の犯行です。
 女性の凶行については彼らが裏で販売していた
 薬物の一種によるものです」

南波警視総監は淡々と質問に答えていく。

ーーでは、一部でうわさされている憑依薬、
   そして、それを使った室井なる男の
   犯行だというのは、偽りであると?

「--はい。室井哲也という男は、昨年、死亡しています。
 また、憑依薬なるものは、過激派組織が販売していた
 薬物の一種による豹変を目の当たりにした人々が
 憶測で噂をし、SNSを中心に広がったのでしょう。」

ーーショッピングモールの爆撃は、警察組織の
   佐伯警視長によるものだと、噂されてますが?

「--それは事実と異なりますね。
 我々警察組織は爆撃する力など有していません。
 過激派組織による犯行です。
 また、佐伯は、過激派組織との銃撃戦で殉職しております」

ーー警察組織内に、公になっていない暗部が
   あるとの噂は?

その質問に、南波警視総監は微笑んだ。

「--そんなこと、あるわけないでしょう?」

ーーと。


室井哲也と憑依薬の犯行は、徹底的に隠ぺいされ、
「海外に拠点を置く組織の大規模な犯罪行為、
 そして、その組織による薬物による混乱」であると、
世間には公表された。

真実は、闇に葬られたー。



室井は本当に消えたのだろうか?
しかし、あの日を境に、女性の豹変はなくなった。
そしてー、
もし室井が生きているなら、同じく憑依していた春崎も
生きているはずだー。
春崎が生きていれば、室井も生きているだろうと言うことを
誰かに憑依して伝えるはずだー。

それが無いと言うことはー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--見つけた」
とある週刊誌の記者が、ある場所に足を踏み入れた。

佐伯警視長が指揮をしていた
地下対策本部の跡地だー。

ここに勤務していた人間は
全員”この世にいない”

佐伯が死んだ翌日、
南波警視総監が警察の暗部を隠ぺいするため、
特殊部隊を送り込み、証拠隠滅のため、
全員を射殺したのだ。

地下対策本部は、明日、
秘密裏に焼却されることになっている。

「-----これは、ビッグニュースになるぞ」
佐伯警視長たちが残した資料を手に、
マスコミの男は、ほほ笑んだー。


おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

「凶悪犯罪者・室井」「変幻自在の逃亡者」と続いた
「凶悪犯罪者室井」のシリーズの完結です!
徹底的に悪用されたら、恐ろしいことになりますね…!

ここまでお読み下さり、ありがとうございました!

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Re: No title

>無 様
コメントありがとうございます~
作品ごとに憑依の位置づけを色々変えて書いてみてますが、
書けば書くほど、実際にあったら恐ろしいな~と思います(笑
極悪非道の犯罪者・室井みたいなキャラは、確かに他作品に
たくさんいますネ…

室井さんはちゃんと処理されましたけど、
野放しになっている人もちらほらと…
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プロフィール

無名

Author:無名
憑依小説好きです!
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