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憑依小説 あなたに見せたくない②

乗っ取られてしまった彼女は何を想うのかーー。

ライトアップされた遊園地で、彼女は彼氏に
別れを告げたー。

その別れの言葉に隠された真実とはー
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人々が楽しそうに行きかう地ー。

遊園地。

あたりが少しずつ暗くなり、
観覧車がライトアップされた。

色とりどりの輝きが、俺たちを照らす。

俺と、彼女の相原詩織を…。


だが、彼女は、何者かに体を乗っ取られてしまった。
そして、俺の目の前で、俺への連絡先関連を全て削除し、
ブロックしてみせた。


「……俺は」
俺はなおも、彼女にすがろうとした。

だが、憑依系小説が好きな俺にはわかるー。

何を言っても、詩織が意識を取り戻すことない。
体を乗っ取ったヤツが、彼女を解放する気にならない限りー


「…やめとけ。諦めろ」
詩織が乱暴な口調で言う。

詩織のそんな言葉ー

詩織のそんな仕草、見たくなかったーーーー


「俺はこれからもずっと一緒に居たかった…」
俺は辛い思いを押し殺してそう言い放った。


「---諦めろよ。
 もう、この女は心も、体も支配されたんだからよ…。

 別の女を探しな」

詩織がニヤつきながら言う。


「……」
俺はどうするべきか考えていた。 だがーー


「あ~~面倒くさい!
 早く分かれろ!で、ないとこの女の体でそこら中の男と
 遊びまくるぞ!」

詩織が叫んだ。
何故だろうーその目は涙ぐんでいるように見える。

あの涙はーーー
元の詩織のーーー?


「……くっ・・・」
俺は諦めざるを得なかった。

そして彼女の別れの言葉を承諾してしまった。

もう、、どうすることもできない。
彼女を守る為ーーー
俺にはこうするしかなかった。

「じゃ…」

詩織は冷たくそう言い放つと、俺に背を向けた。


ふいに詩織が立ち止まった。

俺と詩織を、遊園地の幻想的な光が照らす。


「---一つだけお前に教えておいてやるよ」
背を向けたまま詩織が言う。

「ーーこの女、お前のこと、本当に愛していた。
 好きで好きで、たまらなかった…。
 今も、貴方のこと、いつまでも好き、と…
 コイツの心が叫んでる」

詩織が静かに語る

俺はその言葉を静かに聞く。

詩織!と叫んで、助け出したい気持ちでいっぱいになったが、
そんなことをしても、、、詩織がさらに苦しむだけだ


「あと、もう一つー。
 お前には見せたくないってさ」

詩織がそう言った。

”見せたくないー?”

「……肉体関係の…事か?」
俺はそう呟いた。
詩織は確かにそういう行為があまり好きではなかったはずだ。
そういうことなのだろう


「…………」
詩織がしばらく沈黙する。

「……」
俺もなんて言葉をかけたらいいか分からない。
そして…


「じゃあな、、この女の事は忘れて、
 新しい相手でも探すんだな ハハハ」

そう言うと、背を向けたまま、詩織は立ち去ってしまった。


ーーーそれが、俺と詩織の
”最後の日ーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あれから2か月。

俺は彼女の事にも諦めがつき、
次第に詩織の記憶が薄れていっていた。

まだ時々悲しい気持ちになることもあるが、
いつの日か、あの憑依した(たぶん)男が、
詩織から出て行ってくれた時、詩織の体が
傷ついていないことを願うのであれば、
こうするしかなかった。


そんな時だった。
配達日指定の手紙が届いた

差出人は相原詩織ー。

俺の彼女だった。

差出日は2か月前…
ちょうど、詩織が憑依された日だった。


「なんだ…?」
俺はそう思いながら、手紙を開いた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

雄二君、お久しぶり、
詩織だよ?覚えてる?

もう今頃新しい彼女さん出来ちゃったかな?

まず最初にお詫びしなければならないことがあるの…。

実は私、、
”憑依なんかされてない”の…。

あの日、遊園地で雄二君と話したのは
まぎれもない私。


そしてーーー
あなたがこの手紙を読んでいる頃には
私はもう、この世には居ません

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「どういうことだ?」

俺は焦り、手紙の先の部分に目を通した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

覚えてる?
あの日の前の日。。

私、結構 咳き込んでいたの…。

実は、1週間前ぐらいから調子悪くて、
病院で検査受けてたの。

最初は風邪だと思ったけど…
あの日、レストランで雄二と別れたあとに
検査結果を聞きに行ったら、末期がんだった。。。

まだ若いのにね…
笑っちゃうよね。。。

もって1、2か月。お医者さんからそう言われた。


でもね…

私、貴方に 私がどんどん弱っていく姿なんて、
見せたくないのーー

みじめに、弱っていって、死んでいく姿を
”あなたには見せたくない”-

だから、私はあなたと別れようとした。
理由も告げずに。


ちょうど、あの日、雄二が憑依小説うんぬんの話してたの
思い出してね…

それで「憑依されたフリ」をすれば雄二、鵜呑みに
して別れてくれると思って…
それであの日、「憑依したフリ」をして雄二と会った…。

翌日からは入院することになってたし、
あの日が最後のチャンスだったから…


私ね…自分で言うのも何だけど
素直じゃないから…。


弱っていく私を見せたくないし、
あなたにも辛い思いをさせたくない。


だから憑依されたフリをして
あなたと別れたのーーー


傷つけちゃったよね。。
ごめんね…。

「ーーこの女、お前のこと、本当に愛していた。
 好きで好きで、たまらなかった…。
 今も、貴方のこと、いつまでも好き、と…
 コイツの心が叫んでる」


あの日、最後に言った言葉は本当。
あなたのことは、本当に心から大好きだった。


本当は死にたくない。
でも、あなたの顔を見ると、安らかに死ねなくなっちゃうから…

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

俺はあの日、彼女が涙ぐんでいた理由、
そして観覧車をしきりに見ていた理由を理解した。

彼女は憑依などされていなかった。

手紙の残り部分を見る


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

本当は、、、こんな手紙なんて送らなきゃ、
良かったんだろうけど…。

どうしても、、最後に一言言いたくなっちゃって…


ごめんね…最後まで自分勝手で…


あなたが好きだからーーー
わたしのこんな姿を見せたくなかったーーー
そして、あなたに苦しい思いをさせたくなかったーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

俺はふと、届いた荷物にもう一つ、モノが入っていることに
気づいた。

腕時計だった。


そういや、ずっと前から使ってる俺の腕時計。
よく詩織はぼろいって言ってたっけ…

時計の近くに、メッセージが添えられていた

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「約束したよねーーー?
 ハイ、プレゼント。

 ちょっと遅れちゃったけど。。

 雄二ったら、いつもボロボロの腕時計なんかしてるから、
 ホラ…腕時計。

 大切にしてね。

 そしてーーーーーー


 -----さようなら」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

さようなら、の隣に濡れた跡があった。。




詩織ーーーー



「なんで…もっと早く言ってくれなかったんだよ…

 どうして…そうやって一人で…」

止まることのない涙が俺の頬を伝うー。

誰も居ない、俺一人だけの部屋で…
俺はたった今、自宅に届いた手紙を見て、
ただ、ひたすらに涙を流した。

明かされた真実を前に、
俺は、涙を流すことしかできなかった。

ーーもう、俺の手は彼女には届かない。


そう、永遠にーーーー。


「どうして、、そうやって一人で抱え込んじゃうんだよ…」




俺はふと思い立った。
咄嗟に共通の友人に連絡した。

事情を告げると友人は言った。

「ーー彼女、今日が峠だって…」



俺は無我夢中で走り出した。

そして病院へとついた。

相原詩織ーーーー
その名前の病室を発見するーーー


彼女はーーーまだ生きていた。


病室へと入ると、すっかり弱った詩織が横たわっていた。

もはや意識はない。

「おい詩織!」
俺が叫ぶと、周囲に居た医師が止めに入る。

だが、俺は涙を流しながら詩織の名を呼んだ。


すると、彼女の口が少しだけ動いた。


俺は耳を近づける。

「----馬鹿…
 だから、、、イヤだったのーーーーーー

 あなたがそうやってーーー悲しむから…---

 でもーーーー
 ありがとうーーーー 」


微かな声でそう詩織がつぶやくと、
詩織の心肺が停止したーーーーーー。


医師たちは静かに首を振る。


詩織がこの世から居なくなってしまったーーーー。


むなしく静寂に包まれた病室。

ただただ、そこに立ち尽くす俺に
「ありがとうーーー」と詩織の声が聞こえた気がした



おわり


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コメント

憑依ものじゃ無くなっちゃいました!
スミマセン(汗

明日から悪の魂 の第2部を掲載します!

コメント

No title

完全にやられましたわ
今までの展開から今回もとは思ってましたが

そしてすぐに涙腺が崩壊しかける自分は老いを実感せざるを得ない。良憑依?はあまり無いから、余計に感慨深く感じたのかなあ

Re: No title

> 完全にやられましたわ
> 今までの展開から今回もとは思ってましたが
>
> そしてすぐに涙腺が崩壊しかける自分は老いを実感せざるを得ない。良憑依?はあまり無いから、余計に感慨深く感じたのかなあ

ありがとうございます^^
ちょうど、こちらの続きを8日に載せる予定です!
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プロフィール

無名

Author:無名
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