FC2ブログ

<憑依>地獄のバスガイド①~支配~

観光バスは順調に運行していた。

多くの観光客が、バスでのひと時を
過ごす中、そのバスでは異変が起きたー。

”地獄のバスガイド”におびえる状況たち。
果たしてその運命はー?
-------------------------------

男は、絶望していた。

何に?

仕事に?
人生に?
それとも、人間関係に?

否ー。

”この世の全てに”

だ。

男は、会社をリストラされ、
信じていた彼女に浮気され、裏切られて、
プライベートではとある事故により、友達を失った。

もう、生きている意味はないー

しかし、男は考えた。
どうせ死ぬのであれば…

”最後に一花咲かせたい”

とー。

男の手には憑依薬。

そしてー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あちらに見えるのが、観光名所となって~」

とある観光バス。

多くの観光客を乗せて、
目的地を目指している。

まだ大学を卒業したばかりの
初々しさが残るバスガイドの
南原 阿由菜(なんばら あゆな)は、
観光地の説明を熱心にしていた。

「--じゃあここで問題~」
バスに乗っている子供たちのために
クイズを出して場を盛り上げる阿由菜。

若い割にしっかりとしているし、
臨機応変もできる。
それでいて、容姿も可愛らしい。

この子は、立派なバスガイドになるだろう、と
観光バスを運転している運転手・佐久原は思った。

観光バスは、パーキングエリアに到着した。
バスガイドの阿由菜も外に出て、
しばしの休憩をとる。

そんな、パーキングエリアに、
一台の乗用車が止まっていた。

その乗用車に乗るのは、
”この世に絶望した男”

人生の最後に
憑依薬を使って派手な事をしたいー

そう思っていた男は、
無意識のうちにこのサービスエリアにやってきていた。

「----」
このサービスエリアは観光客や旅行客が多く訪れる。

”これから始まる旅”に夢を抱いてー。

人間は、不幸であれば不幸であるほど、
他人の幸せが”輝いて見える”

そして、中には、輝いて見えるだけではなくー
それを妬み、壊そうと考える者さえいるー。

この男がそうだった。

「--楽しそうにしやがって」

男は憑依薬を飲み干して、
たった今、サービスエリアに入ってきた
観光バスを睨んだ。


お手洗いに入っていた
バスガイドの阿由菜は、服装を整えて、
バスに戻ろうとした。

その時”異変”は起きた。

身体に何かが入ってくるかのような
”ゾクゾク”した感じがしたのだ。

「--え?何?」
慌てて自分の身体を見るが何も起きていない。

「--なんだろう?今の?」
そう思った直後、
頭にズキッと激痛が走った。

「--!?
 うへ、、うへへへへへへへっへ」

口が勝手に動く

慌てて口を塞ごうとするが、
手が動かない。

”えっ? えっ?”

そう思っているうちに、
彼女の意識は闇に飲み込まれた。

男が、憑依した目的は
”命を絶つこと”

彼女は、もう2度と目覚めることはないのかもしれないー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

観光バスの発車時間が近づいてきた。

阿由菜もバスに戻ってくる。

「--?」
運転手の佐久原が違和感を覚える。

阿由菜の服装が少し乱れていて、
「はぁ、はぁ」と言っている気がしたからだ。

腹痛でも起こしたのだろうか?

「大丈夫か?」
佐久原が問いかけると
阿由菜はわざとらしい笑みを浮かべた

「はい!大丈夫ですよ」

と。

そして、バスに乗り込んだ阿由菜は、
不気味な笑みを浮かべた。

「最高だぜ…
 トイレで思わずイッちまいそうになったが…
 俺の目的はそれじゃない」

阿由菜は小さな声で呟いた。

幸せそうな奴らの幸せを壊して、
道連れにしてやるー

どうせ、死ぬなら、何だってやってやるー。

阿由菜に憑依した男は、
そう思っていたー。

阿由菜は乗客の確認をしながら、
物色するようにそれぞれの乗客を見た。

幸せそうな家族。
若い女子大生の3人組、
おじさんおばさんの団体。

色々な客がいる。
しかし、そのいずれもが、幸せそうだった。

男にとっては、腹立たしいこと
この上なかった。

ふと、阿由菜は可愛らしい少女の前で足を止めた。
家族で観光に行くようだ。

女子高生ぐらいだろうか?

「--あら、可愛いですね」
阿由菜が言うと、
女子高生は戸惑った様子で「は、はい、ありがとうございます」と答えた。

「--ちょっと触らせて」
阿由菜はそう言いながら、女子高生の胸を触った。

「ひゃぅ!な、何するんですか?」
女子高生が叫ぶと、
その女子高生の両親も異変に気づき、
阿由菜の方を見た。

「ちょっと!何してるんですか!?」
家族が叫ぶ中、
阿由菜は女子高生にキスをした。

そしてー

「---失礼しました。
 あまりにも可愛かったのでつい」

そう言って、微笑む阿由菜。
唖然とする女子高生と両親を無視して、
前の方に戻って行った。

「確認済みました」
阿由菜が言うと、
運転手の佐久原は不思議そうな表情を浮かべた。

「今の騒ぎは?」
佐久原は運転席の確認をしていたため、
何が起きたのかを把握していなかった。

「--なんでもありませんよ ふふ」
阿由菜が言うと、
「そうかぁ?」と言いながら、佐久原はバスを発進させた。


「さて、皆様、ここで、お姉さんからの重大発表~」
阿由菜が嬉しそうに言う。

「--なんだろ~?」
「なんだろうね?」
「ん?何が始まるんだ~?」

乗客たちは嬉しそうに声を出している。

しかしー
そんな乗客たちの楽しみを、
阿由菜の一言が打ち消した。

「--今からこのバスは、地獄に向かいま~す!」

高らかに、満面の笑みで阿由菜は宣言した

「な…何だって?」
運転手の佐久原がバスを運転しながら
驚いた表情で言う。

「--ど、どういうこと?」
「なにそれ~」
「な、何を言ってるんだ?」

乗客たちが騒ぎ出す。

騒ぎ出して混乱する乗客たちを、
見下すかのように見つめながら
阿由菜は腕を組んで微笑んだ。

何も言わない阿由菜に対して
乗客たちが恐怖と混乱から
色々な声をあげる。

「--ふふふ、怖いですかぁ~?」
阿由菜はようやく口を開いた。

「--さ、さっきから何を言ってるんだ?」
乗客の一人が言うと、
阿由菜は言った。

「--わたし、この世に絶望したんですよ~
 えへへ…
 だ・か・ら!死んじゃおうと思って!

 でもでも~
 わたしはこんなに不幸なのに、
 人生楽しそうにしてるお前らみたいの見てると
 と~ってもイライラするの!」

ぶりっ子のようなしぐさをしながら
阿由菜がとんでもないことを言う。

「--き、君!何を言ってるんだ?」
運転手の佐久原が横から声をあげる。

「--うるせぇな!黙って運転してろよ!」
阿由菜が声を荒げて言う。

乗客たちの中に、次第に恐怖が広がっていく。

「ふふふ…これから旅行?
 すっごく楽しい時ですよね~
 そんな喜びの絶頂にいるみなさんが、
 一転して絶望に突き落とされる…
 
 くふふ・・・興奮する…
 わたし、興奮しちゃう!
 あは、あははははははははっ!」

阿由菜が愉快そうに笑う。
笑っているのは阿由菜だけだ。
乗客の子供の一部は泣き出している。

阿由菜は泣いている赤ん坊の
方に近づいていくと、
その赤ん坊を無理やり奪い取った。

「--ちょ、何をするんですか!」
母親が叫ぶ。

「何って?お前たちが逃げないように人質だよ!」
阿由菜が、男言葉で凶悪な表情を
浮かべて笑う。

そこに、バスガイドとしての阿由菜の面影はない。

「--…!」
運転手の佐久原が動揺した表情を浮かべる。
彼は高速道路の端に車を寄せて
止めようとしていたが、
赤ん坊が人質に取られたことで
それができなくなった

「おいお前ら!」
阿由菜が、本人が出したことのないであろう、
恫喝するような声を出す。

「変な行動してみろ!
 この赤ん坊、外に放り投げてやるからなぁ!」

阿由菜の言葉に乗客たちの間にパニックが広がる。

赤ん坊を逃げられないように、自分の足元に置くと、
阿由菜は言った。

「---くはははははは!
 良い顔!良い顔だよお前ら!」

可愛い声で、乱暴な言葉を吐くー。
憑依している男はそのギャップに興奮しながら続けた。

「--楽しそうにしやがってよぉ、
 お前らみたいのがわたしは一番むかつくのよ!
 くくくく…ぶっ壊してやりたくなる…!」

阿由菜は女言葉と男言葉が入り乱れた口調で喋る。

「--あんた、自分が何をしてるか分かってるのか!」
乗客の一人のおじいさんが叫ぶ。

「--何をしてるかって?
 ふふふ、もちろん”わたし”は分かってるわよ!
 
 ま、でも”この身体”は分かってないだろうけどねぇ~!
 今はわたしの意思に従って動く、
 操り人形だからぁ!あはははははっ!」

阿由菜が嬉しそうに笑う。

「ど…どういうこと?」
先ほど阿由菜にキスをされた女子高生が言うと、
阿由菜は笑った。

「--憑依って言ったら、信じる?」
阿由菜が言う。

乗客たちの中にどよめきが起こる。

「-今、わたしは、男の人に憑依されて
 身体も心も思いのまま動かされてるの!
 わたしの意識とは関係なく、ね!

 だから~どんなことだってできるの!」

阿由菜が言うと、
乗客たちから失笑と、怒りの声が聞こえてきた。

「ふざけるのもいい加減にしろ!」

その言葉に、阿由菜は、「じゃあ、証拠見せてあげる」と叫んだ。

「ひぅっ!?」と声をあげて突然倒れる阿由菜。
白目をむいて、痙攣を起こしている。

そしてー

「ひっ!?」
女子高生が声をあげた。

乗客たちが女子高生の方を見る。

「--くくく、あははははははははは~
 今度は、この女が乗っ取られちゃいました~!」

嬉しそうに叫ぶ女子高生。

「--う、、、嘘だろ」
「ひぃぃぃぃぃ…」

今まで普通にしていた女子高生が憑依されたのを
見て”憑依”の存在を信じるしかなくなった乗客たちは
パニックを起こした

「--ほらほら!この女も俺の思いがままだ!」
女子高生はバスの中で上着からスカートを
乱暴に脱ぎ捨てる。
制止する母親を殴りつけると、
窓を開けて、脱いだ服とスカートを高速道路に投げ捨てた。

「どうだ!これが憑依だ!」
両手を広げて下着姿の女子高生が笑う。

そしてー

「--おい!ドアを開けろ!」
運転手の佐久原にそう叫ぶ女子高生。

「--な、何をする気だ?」
佐久原が言うと、
女子高生は「コイツを高速道路に捨てるんだよ!」と
自分を指さしながら笑った。

「--そ、、、そんなことできない!」
佐久原が叫ぶと、女子高生は「あっそ!」と叫び、
そして、低いうめき声をあげて倒れた。

バスガイドの阿由菜とおなじように白目を剥いて
痙攣している。

しばらくすると、阿由菜が立ち上がった。

「さぁ、みなさん。憑依は信じて頂けましたか~ふふふ♡
 地獄逝きのバスのガイドを、最後まで務めさせていただきますよ~」

その言葉に、乗客たちは凍りつく。

倒れたままの女子高生は泡を吹いて痙攣している。

戸惑う乗客たちを見つめてー
阿由菜が邪悪な笑みを浮かべたー


②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

この世に絶望した男の憑依。
果たしてバスの地獄行を阻止することは
できるのでしょうか。


コメント

非公開コメント

プロフィール

無名

Author:無名
憑依小説好きです!
TSF/憑依系メイン
の小説を公開していきます!

基本的に毎日更新しています!

無断転載はご遠慮下さい。。

ツイッターやってます!

カテゴリ

検索フォーム