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<変身>リアルデュエリストVol23~凶悪~

その世界では、カードを現実化させる力が、蠢いていた。

リアル・デュエリスト。

その力を凶悪犯が手にしてしまったときー
世界は破滅に向かっていくー。
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犯罪者・骨塚 義雄(こつづか よしお)は
警察に追いつめられていたー。

連続殺人、連続暴漢ー
あらゆる罪に手を染めた骨塚は、
全国的な指名手配犯として、
警察に捜査され、
そしてー追いつめられていたのだ。

「くそっ…くそっ!」
骨塚は廃虚のビルの中に隠れていた。

しかしー
既にこのビルは囲まれている。

潜伏している場所がばれてしまったのだ。

「---俺は…俺はこんなところで終わる男じゃねぇ」

骨塚は持っている拳銃を確認するー。
弾は既に1発しか入っていないー。

骨塚がビルの窓の外を見つめる。
もう、逃げ切ることはできないー。

警官隊に囲まれているー。

「---くそっ…くそっ!」
骨塚は銃を投げ捨てた。

弾1発では、どうすることもできない。

「---俺も…ここまでか」

警官隊の足音が聞こえてくる。
もう、終わりだ。
逃げ切ることは、できないー

しかしー
諦めかけた骨塚の視線の先に、
あるものが目に入る。

廃虚のビルの一角に、
人気のカードゲームのカードが落ちていたのだ。

7,8枚は落ちているだろうか。

「---へ…へへへ…」

骨塚はそのカードを手にする。

するとー

「----!?」

骨塚の手が突然金色に輝き始めた。

「な…なんだ!?なんだこれは?」
慌てて自分の手を見つめる骨塚。

そしてー
”夢幻崩界イヴリース”というカードを手にすると、
自分の身体が光に包まれてー
そのカードの姿になっていたー。

土壇場に追いつめられた骨塚は、
”まだ捕まりたくない”という執念から、
カードを現実化(リアル)させる力を手に入れたのだったー

「うぉぉぉぉ…!?お、おれが女の子になっている?」
骨塚が叫ぶ。

イヴリースという美少女モンスターの姿に変化した
骨塚は笑う。

「うへへへ…」
声も、可愛らしい声に変化していた。

太ももが眩しい。

けれど、今はそんなことをしている場合ではない。
警官に囲まれているこの状況を打破しなくては。

「--まさか」
可愛い声で呟いたイヴリース骨塚は、
残りのカードを確認した。

「こりゃあ…いけるぜ」
不気味な笑みを浮かべるイヴリース骨塚。

そしてー

警官隊が骨塚の潜伏している部屋にかけつけた。

凶悪犯罪者が相手ということで
警官隊たちは銃を構えている。

しかしー
骨塚のいるはず部屋にいたのは、
骨塚ではなくー
美少女だった。

部屋に蹲って泣いている美少女。

夢幻崩界イヴリース。

「---き、、きみ…?大丈夫か?」
警官の一人が言う。

「---わ…わたし…
 あの男の人に…乱暴されて…」
イヴリースになった骨塚は
か弱い少女のフリをして涙を流す。

「---そ…そうか。もう安心しなさい。」
警官の一人が言う。
残りの5人の警官は背後に控えている。

「それで、その男はどこに?」
警官の一人が言うと、
イヴリース骨塚はにやりと笑みを浮かべながら、
気付かれないように、奥へと続く廊下を指さした。

「---」
警官が合図をすると、残り5人の警官がイヴリース骨塚の
言った方向へと向かっていく。

「--こんな格好させるなんて」
イヴリースの姿を見て、カードを知らない警官は
そう呟く。

「---ふふふふふ…」
イヴリース骨塚が突然笑い出した。

「--!?」
警官が驚いた表情を浮かべる。

そしてー
警官がハッとしたときにはもう遅かった。

イヴリース骨塚が軽い身のこなしで警官を
倒すと、警官の首を足で絞めはじめた。

綺麗な太ももに絞めつけられて苦しむ警官。

「ひひひひひ!俺が骨塚だよ!」
イヴリース骨塚はそう言いながら、警官にトドメを刺した。

この部屋に落ちていた残り7枚のカード。
これで、たっぷり遊んでやるぜー

骨塚は、残り5人の警官たちの向かった方を
見つめて微笑んだ…。

イヴリースの身体で骨塚は歩いていく。

「---ん」
5人のうちの警官一人が、周囲を警戒していた。

「まずは、こいつだ」
可愛い声でそう呟いたイヴリース骨塚は
カードをかざした。

”千本ナイフ”

実際のカードゲームでは、
それほど使い道のないカードではあるが
”リアル・デュエリスト”の彼にとっては違う。

千本のナイフが空間上に浮かびあがりー


直後、警官の悲鳴が響き渡った。
残り4人の警官が気付いたころには、もうその警官は
串刺し状態。
完全に手遅れだった。

「ふふふふふふ…」
イヴリース骨塚が笑いながら4人の警官たちの前に立つ。

4人の警官が唖然としている。

「き…きみは…?」
人質にされている少女…のはずではなかったのか?と
警官がうろたえた表情で、イヴリース骨塚の方を見つめた。

「--ふふふふふ…ははははははははは!」
笑ながら彼女は叫んだ。

「俺が骨塚だよぉ!」

と。

「なんだと!?」
警官たちが叫ぶ。

そして、骨塚は6枚のカードを手に、笑みを浮かべた。

「俺はさぁ!目覚めちまったんだよ!
 リアル・デュエリストの力にー!
 カードを現実化させる力にー!」

そう叫んだ骨塚は、
残り6枚のうちの一枚ー

”召喚士ライズベルト”というカードをかざした。
2人の少年少女が描かれているカード。

警官の一人が、それに変身してしまう。

「えーー?」
「あれーー?」
一人の人間が、カードの力によって、二人に分裂したー

「うわああああ」
「ああああああああっ!」

2人の少年少女がパニックになって声をあげる。

「--ああ…ああああ…」
”1つだった身体”がいきなり二つに分裂した。

記憶も二つに分裂してしまい、
脳が、その処理を上手く行うことができず、
ライズベルトになった警察官は
発狂してしまう。

「かわいいねぇ…」

ライズベルトの少女の方に近づいていくと、
イヴリース骨塚は不気味な笑みを浮かべた。

ライズベルトの頭を撫でると、
骨塚は思う。

”カードの力で分裂させた2人のうち一人を
 消したら…どうなるんだ?”

骨塚はイヴリースの姿のまま、狂気の笑みを浮かべた。

「面白れぇじゃねぇか…!この力!」

残り5枚のうちのカードの1枚、
”万能地雷グレイモヤ”を相手に投げつける。

ライズベルトの少女の方にグレイモヤが直撃し、
そのまま少女は爆発した。

「あ…あ…あああ」
残された少年の方が膝をつく。

そしてー
そのまま目から涙をこぼしながら、次第にその姿が薄れて
消えてしまった。

「ほぅ…そうなるのか」
イヴリース骨塚は満足そうな笑みを浮かべると、

唖然としてその様子を見ていた残り3人の警察官ー

そのうちの一人が叫ぶ。
「撃て!撃て!」と。

銃声が響き渡り、
骨塚の方にその銃弾が飛ぶ。

骨塚は、残り4枚のカードのうちの1枚、
”聖なるバリア ミラーフォース”を発動した。

「なっー!」
3人の警官のうちの一人が叫ぶ。

銃弾が跳ね返されてー
残る警官3人に直撃した。

「ぐふぅ…!」

イヴリース骨塚は笑みを浮かべて
その3人に近づく。

「ふふふ…すげぇなこの力は…
 これがカードの力を自在に引き出すことのできるという
 ”リアル・デュエリスト”ってやつか」

骨塚が苦しむ警官3人を見ながら微笑んだ。

3人ともとても苦しそうだ。

「--わたしの足、舐めて掃除したら
 助けてあげてもいいよ?」

ふざけた口調で警官たちに
そう言うと、警官たちは苦しみながらも
イヴリース骨塚を睨みつけた。

「---ふふふ…
 生意気な目だ!」

そう言うと、骨塚は”火あぶりの刑”のカードを
発動して、3人を焼き尽くした。

「--あ~あ!2枚余っちゃった!」

骨塚は笑う。

”ククク…これからが楽しみだ”

今までこのカードゲームは遊んだことが無かったが、
こんな力を発揮できるのであれば話は別だ。
たっぷりとカードで遊んでやる。

「それに…」
骨塚はイヴリースになった自分の姿を見て、
不気味な笑みを浮かべる。

「いい身体じゃねぇか…!」

「-----!?!?!」
背後に光を感じてイヴリース骨塚が振り返ると、
そこには、死んだはずの警官が一人立っていた。

警官は”リビングデッドの呼び声”というカードを
持っていた。

死者を蘇生させるカード。

「これがあって助かったよ…」
そう言うと、警官は持っていた銃を捨てて、
ポケットからデッキを取り出した。

「--くっ…こいつも!」
イヴリース骨塚は表情を歪めた。

目の前に居る警官も、
自分と同じ”リアル・デュエリスト”

で、あれば…

「まずい…!」

イヴリース骨塚は表情を歪めた。
どんなカードを持っているか分からない。

危険なやつを残してしまった。

そう思いながら骨塚は
残り2枚のカードを見つめた。

「--犯罪者ごときがぁ…!
 我々をてこずらせやがって…!」

生き残っていた警官が言う。

そして警官は”闇の呪縛”というカードを発動した。

「---!」
イヴリース骨塚が驚きの表情を浮かべる。

何もないところから出現した謎の鎖が、
イヴリース骨塚を縛り上げた。

「うげええええええ!」
可愛らしい表情を苦痛に歪める骨塚。

「---あ…ア……」

苦しむ骨塚を見て、
警察官は微笑んだ。

「ったく、よく見たらお前…
 可愛らしい姿をしてるじゃねぇか」

そう呟くと、拘束された
イヴリース骨塚に近づいてきた警官は
イヴリース骨塚の身体をベタベタと触り始めた。

「--俺はなぁ、犯罪者に人権なんてないと思っている

 それに…
 今のお前はモンスターカードのモンスター
 だからなぁ!

 何をしたって許されるんだ!」

そう言うと、警官は、イヴリース骨塚の胸を
力強く触った。

「あうっ♡ はっ♡ やめ…♡ やめろぉ♡」

これが女の子の快感か。
イヴリース骨塚は表情をゆがめながらも、
その快楽に身を委ねていたー。

「---さぁぁぁて…と。
 遊んでばっかりもいられないからな」

苦しむイヴリースの表情をじろーっと見つめると
警官は満足したかのように、
カードを取り出した。

「そろそろ、トドメを刺させてもらうぞ」

その言葉に、イヴリース骨塚は反応したー。

わずかに動く左腕で、
あるカードを発動したー

最初から発動すれば良かったのだが、
骨塚は、カードに精通していないため、
その効果をよく知らなかった。

そして、今、骨塚が利用しようとしているカードは、
今、この状況にぴったりなカードだった。

それはー
”大嵐”

闇の呪縛が破壊されて、
イヴリース骨塚が拘束から逃れるー。

さらにー

「---そんなことをしてもむ…」

警官が自分の身体の異変に気付く。

「---!?」
身体が、溶けだしていたー

何故…?

警官は溶け逝く自分の身体から
視線を逸らし、背後にあった自分のカードを見つめたー

”リビングデッドの呼び声”

「----し…しま…!」

このカードが破壊された時、
このカードで蘇生したモンスターは破壊される。

この警官は、
先ほどの攻撃で一度死に、
そしてこのカードで生き返った。

だからー

「うぎあああああああ」
警官はそのまま溶けるようにしていなくなった。

「ふふふふん♪」
一人残されたイヴリース骨塚は微笑みながら、
警官の残したカードたちを拾っていく。

「---これで、たっぷり楽しめそうだなー」

絶対絶命の窮地を乗り越えた
イヴリース骨塚は笑顔のままその場から
立ち去って行ったー。


また一人、
カードの力を悪用する悪魔が、
世に放たれたのだったー


おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

久しぶりに、ゲスト出演でも続き物でもない
リアルデュエリストを書きました~!

今後も定期的に書いていきますよ!

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無名

Author:無名
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