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<憑依>巫女と魔物①~封じられた魔物~

代々続く神社の家系に生まれた姉妹。

そんな姉妹に、ある日、
魔物が襲い掛かる…

※リクエスト作品デス!
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神里家ー

数百年の昔から存在する神社を
代々継承している家系で、
父も母も、先祖代々受け継がれるこの神社の管理を
行っていたー

神里家には、
先祖から伝わる不思議な力が備わっており、
かつては、その力で魔物と戦ったー

と、いう言い伝えがあったー

「--も~!もっとちゃんと修行するの~!」
姉の愛結(あゆ)が妹の花楓(かえで)の方を見ながら言う。

二人は、巫女の修行をしていたー

”こんなこと意味があるのかな?”と
姉の愛結も思いながらも、
父と母に言われたことだし、
しっかりと跡を継ぐためにも、
頑張らないといけない、と
日々修行を続けていたー

巫女の服を身にまとい、
独特な修行を続けるふたりー。

二人は普段は、ちゃんと学校に通っていて
他の子と何も変わらない生活をしているー。

けれどー
放課後は、こうして
二人で巫女修行をすることが多かった。

「--も~…こんなこと意味ないよぉ~」

妹の花楓が言う。

「ははは…」
そんな様子を建物の入り口付近から見ていた父は笑う。

「--元気だな」
父は、修行をしている二人の娘を見ながら笑う。

「ええ…」
巫女服を身にまとった母も笑った。

二人の娘の母親も巫女で、
二人の娘をはるかにしのぐ”力”を持っていたー

40代に入ったものの、
どことなく神々しい雰囲気を持つような、
衰えぬ美貌を持つ母親ー

「---……まだ、娘たちには話していないのか?」
父が言う。

「えぇ…」
母がそう答える。

「---…」
神社の敷地内に存在する巨大な祠を見つめる父ー。

「--…あそこには先祖代々封印してきた
 強大な魔物が封印されている」

父は、そう呟くー

そうー
この神社には、
”古の魔物”が封印されていたー
現代社会では信じるものはいないだろうー

しかし、事実”それ”は存在したー

大昔、まだ、人と人が命を奪い合う時代ー
今とは違い、そこら中に、命を落とした人間の
怨念ー
この世への執着-

そういったものが充満している時代があった。

そんな時代にはー
”魔物”が生まれたー
歴史の裏に隠された事実ー。

魔物は、実在していたー

そんな時代に封印された魔物が、
この神社には存在している。

それゆえにー
神里家は、代々、この神社を守ってきたのだったー

護符を持って、力の修行をしたりー
心の修行をしたりー

一見すれば、意味のない修行ー

これらは、全て、魔物を封印する力を
弱めない為の修行だったー。

「---…あの子たちには、
 まだ、話さない方がいいわ」

最上位の巫女…としての力を持つ母は
そう呟いた。

”魔物”-
そんな存在を、まだ娘たちは
受け入れることができないだろうー

今はまだ、修行を続けているだけでいいー。

「--も~~!疲れたよぉ~!」
妹の花楓は、言うならば”天才”-。
生まれつき、強い”力”を持っていたー
本人は天然で、その才能に気付いていないけれどー
いずれ、最高の巫女になるー

「--ほら~!頑張るの!」
姉の愛結は、”努力型”
生まれつきの力は”ふつう”だったものの、
そのしっかりものの性格で、
着々と力をつけているー
将来は立派な巫女になるだろうー。


「---…」
母は、そんな二人の練習風景を見つめながら
優しく微笑んだー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数日後ー

その日は、激しい雨が降っていた。

父と母は、
神社関係の仕事で、今日の帰りは遅くなる。

「あ~あ、お姉ちゃん、大丈夫かな~!」
妹の花楓は、敷地内に振る大雨を見ながら足をバタバタさせていた。

花楓は、大雨の日に、神社の建物の中から、
外の雨を見つめるのが好きだったー。

今日は休業だから、
神社にお客さんは来ない。

「ふ~!」
広い敷地内に一人でポツンと過ごすこの時間。

なんだか、広い神社が自分だけのものに
なったような気がして、花楓は好きな時間だった。

「--お姉ちゃん、大変だろうなぁ~」

両親から頼まれていたお使いのために
買い物に向かった姉の愛結のことを
心配しながらも、
花楓は「あ、巫女さん修行~!」と笑いながら
一人、修行を始めるのだったー。

しかしー
”それ”は突然起きた。

ドーーーーーーン

という轟音が響き渡った。

”何事?”と
思いながら妹の花楓は外を覗くー

するとー

神社の敷地内にある”巨大な祠”に
雷が落ちて、それが粉砕されていたー

”魔物が、封印されている祠”がー。

「--わわ!?すっご~い!」
雷の力に驚く花楓。

壊れてしまった祠はー
花楓には”何のために存在しているのか”
伝えられていなかった。

「--あ~あ、めちゃくちゃ~!」
花楓が壊れた祠を見つめているとー

信じられないことが起きたー。

祠から、黒い煙のようなものが立ちこめてー
それがー、人のような、不気味なカタチに
変形したのだった。

「---わ…!?な、、なに!?」
花楓が戸惑う。

「グググググググ…」
”人ならざるもの”は不気味な雄叫びを上げる。

「---!!」
花楓は驚いて、目を見開いた。

前に、母から聞いたことがある。
”どうして、巫女修行なんて面倒くさいことをしなくてはいけないのか”
そう、聞いたときに、
母は答えたー
”わるものをやっつけるためよ”

とー。

「--わっ…わるもの!」
巫女服を身にまとった花楓は、
外に飛び出した。

雨は小雨になっているー。

”魔物”が花楓を見つける。

「グゴゴゴゴ…
 カミザトの…子孫か…!」

魔物は、自分を長年封印してきた
憎き敵を見つけると、襲い掛かってきた。

「わわわわわ~!?」
花楓は悲鳴を上げながらも
”巫女修行”でやってきたことを
実際にやってみたー

するとー
信じられないことに、
自分から、力が湧きあがってくるような
感覚を覚えたー

「わわ!?なんだかすご~い!」
花楓は笑う。

「よし!わるものをやっつけちゃおう♪」

”魔物と対峙”
そんなピンチを前にして、花楓の才能が発揮された。

花楓は、巫女の力を惜しげもなく発揮し、
魔物を圧倒するー

「グッ…グオオおおおお!?」
苦しむ魔物。

花楓を八つ裂きにし、この世界に
再び憎悪を振りまこうとしていた魔物はー
まだ幼い花楓に圧倒されー

そしてー
倒されたー

「やったぁ!」
花楓は嬉しそうに笑う。

「グ…ぐぐ…」
魔物は、溶けるようにして消えて行くー

だがー
魔物は力を振り絞って、
黒い煙のような姿に戻ると、
そのまま花楓の口に飛び込んだ。

「むぐっ!?」
花楓は驚く。

「げほっ!げほっ!げほ!」
咳き込む花楓ー

しかし、
すぐに違和感はなくなり、花楓は
その場で微笑んだ。

「やったぁ!わるものをやっつけた~!」
花楓は嬉しそうに飛び跳ねる。

少し濡れてしまった巫女服を見つめながら
ため息をつくと、そのまま建物の中に入って行く。

最後、消える直前の魔物を飲み込んだのが
少し気持ち悪くて、花楓はうがいをする。

うがいをしながら、
花楓は思う。

”さっきの、何なんだろう”

とー。

普通の日常生活では
”魔物”と会う機会なんてない。

天然で元気な花楓は
咄嗟に魔物を倒したが―
もしも遭遇したのが姉の愛結だったら、
”魔物”なるものがこの世に存在したことに
驚き、戸惑っただろうー

「--ま、いっか!」

花楓は笑いながら、
うがいを終えると
そのまま別の場所に歩いていく。

”ぐふふ…”

「--!?」
笑い声が聞こえた気がした。

花楓は、驚いて振り返る。

「---あれ?」
花楓は口に指を当てながら
気のせいか♪と笑いながら、
一人外の方に向かう。

さっきはいったん収まって来ていた雨が
再び激しく降り始めている。

「あ~あ…お姉ちゃん」
花楓は買い物に行った姉の愛結を
心配するー。

その花楓の影はー
人のカタチではなく、魔物のカタチをしていたー

「ぐふふ…」
花楓は不気味な笑みをこぼすー。

”巫女の小娘がもう一人いるのかー”

花楓は笑みを浮かべながら
そう考えるー。

この神社には、結界が張られているー。
一般人に認識することはできないが
強大な結界だ。

神里家の母親が、張っている結界。
巫女として強力な力を持つ、
あの女を葬らなくては、
”魔物”はここから出ることができないー。

だがー

「--ぐふふ…この小娘の体では
 あの母親を葬ることは難しいな…」

花楓は自分の可愛らしい手を見ながら
微笑んだ。

「--お姉ちゃん、早く帰ってこないかな~!」
花楓は、今、自分が恐ろしい事を
口走っていたことに何の違和感も感じず、
姉の帰りを待ったー。

花楓は、魔物に憑依されてしまっていたー。
だが、花楓はそのことに気付いていない。

”ぐふふふふふふふ”

また、笑い声が聞こえた

「あれ…?」
花楓はびくっとして振り返る。

しかしー
やはり、誰もいない。

「--!?」
花楓は自分の手が自分の未発達の胸を
触っていることに気付く。

「ふぇっ!?手が…?」
花楓は自分の手が勝手に
動いていることに驚く。

”もうすぐだ…
 もうすぐ…お前の身体は我のモノだ”

封印から久しぶりに解かれた魔物は、
まず自由に操れる身体を手に入れようとしていたー

だが、巫女でもある花楓は、無意識のうちに
”憑依”への耐性を身に着けていたー。

それ故に、完全に支配するまでに
少し時間がかかっている。

「---あれ…」

花楓が異変に気付く。

なんだか、身体がゾクゾクしているー

興奮ー?

「あれれれ…?」
花楓がふらふらと立ち上がる。

憑依している魔物が花楓の身体を
奪ったことで興奮している。

その意識が次第に浸透して、
花楓も興奮し始めているー

「…なんだか、、わたし、、へん…」
花楓は、ふらふらと、洗面台の方に向かっていく。

なぜ、洗面台の方に向かおうとしているのか
自分でも分からないー

ようやく、洗面所に辿り着いた花楓は
鏡で自分の顔を見るー

「---!?」

目が赤く光り、
花楓は邪悪な笑みを浮かべていた。

「きゃあああああああ!?」

花楓は思わず悲鳴を上げる。

花楓の背後には、さっき倒したはずの
魔物のシルエットが浮かび上がっている。

「--くくく…
 憎き巫女どもを根絶やしにしてやる」

花楓の口が勝手に動く。

花楓は、自分の口が自分の意思で
動かせなくなっていることに気付く。

「--むふふふ…ぐふ…ぐふふふふふふふふぅ!」

花楓はニヤニヤと笑いだす。

そしてー
その小さな拳で、鏡を殴りつけた。

鏡は紫色の邪気に包まれ、
そのまま粉々に砕けた。

「憎き、巫女どもよ…
 我が葬ってくれるわ!」

花楓はそう叫ぶと、
鬼のような形相で歩き始めた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

雨が降りつづけているー

「あ~もう!」
姉の愛結が傘をさしながら
ようやく神社に戻ってきた。

お使いを終えたようだ。

母と父は、別の神社関係の仕事で
今日の帰宅は遅いー

愛結は買ってきたものを片づけると、
巫女の服に着替えて、髪を整えー
いつものように巫女修行に励もうとしたー

「あれ…?花楓いないの~?」
愛結が言う。

そういうえば、花楓の姿が見当たらない。

神社の敷地は広いから
居住区以外にいるのかもしれないー

「---」

愛結が少し心配になって神社の敷地内を
歩いていると、大雨の中、
傘もささずに立っている花楓の姿があった。

巫女服はずぶ濡れだ。

背を向けている花楓に向かって
愛結は叫ぶ。

「花楓~!風邪ひいちゃうよ!」

とー。

すると、背を向けたまま、花楓は
クスクスと笑い始めた。

「---か、花楓…?」
愛結が、妹の様子がおかしいことに気付くー

そしてー
振り返った花楓は目を赤く光らせると微笑んだー

「--この身体は、我のものだー」

とー。


②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

昨年9月に頂きました神社を舞台とした
巫女憑依モノです~!
ずいぶんとお待たせしてしまいましたが、
ようやく今回書くことにしました!

あと2話ありますので、お楽しみに~!

コメント

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

おお待ってましたー
なるほど母親も強くて偉大な巫女なんですね
やはり巫女が憑依されるのは素晴らし過ぎるまさしく最強のカラダだしね
次回の姉妹対決はどんな感じになるのか・・・

確か自分がリクエストした最初のモノだったかな

Re: キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

> おお待ってましたー
> なるほど母親も強くて偉大な巫女なんですね
> やはり巫女が憑依されるのは素晴らし過ぎるまさしく最強のカラダだしね
> 次回の姉妹対決はどんな感じになるのか・・・
>
> 確か自分がリクエストした最初のモノだったかな

コメントありがとうございます~☆
ようやく話の内容が固まりました~汗

次回も楽しみにしていてくださいネ☆!
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プロフィール

無名

Author:無名
憑依小説好きです!
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